悪魔の場合ー夏は終え秋を迎えるー
僕と君の終わらない夏完結です!!
次のお話も書き始めているので少々お待ちください。
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@kirisame_ouka
「ハッパーエンドか。チッ。」
暗がりの部屋に青年がいた。青年の手元にはタブレットらしきものがあり、そこには彼が過去へ送った男。紫藤颯汰と大切と言っていた女性。詩季美桜が映し出されていた。
「俺は何処で間違えたんだ。途中で奴は確実に狂ったはず。あの終わりのないループを地獄と言っていた。なぜ。何故奴は途中で自分の記憶を思い出したんだ。何故もう一度自分から地獄へ身を投げたんだ?わからない。何故だ。何故だ。」
青年は癇癪を起こし部屋を暴れ回る。部屋が徐々に壊れていく。青年の顔はだんだん悪意に満ちた表情へ姿は醜い姿へと変わっていく。青年は悪魔だった。青年は願いを叶えるふりをし相手の望んでない形で願いを叶え絶望する姿を見て愉悦に染まるということを長年続けてきた真の畜生だった。
「畜生。畜生。」
ついには暴れる体力がなくなったのか座り込む。
「ここに居たのか。」
青年の目の前で声が響く。青年は前を向くとシスター服と言われている服装に身を包み首には十字架を右手には無骨な直剣を携えている。そんな非現実的な姿をした女性。しかし青年にはその正体は嫌というほど知っていた。
「エクソシスト。」
エクソシスト。それは悪魔を祓う人間たちの総称。悪魔と戦うことができない人間たちの最終防衛ライン。細身で非力そうな目の前の女性も対悪魔においては無類の強さを誇る。そういうふうに調整されているのだ。
「お前に引導を渡しに来た。大人しく払われろ。」
女性はその無骨な直剣を構える。それを見るや否や青年はドアへ走る。
「こんなところで殺されてたまるか。じゃあな。」
青年いつのまにか手に持っていた煙玉を地面へ叩きつけ姿をくらました。
「何処へいった。くそ。めんどくさいことをする悪魔だ。」
女性は女性は逃げていった青年を追いかけて部屋を出た。
「捕まってたまるもんかよ。」
青年はエジプトのピラミッドの中にいた。あいも変わらず片手にはタブレットらしきものがにぎらていた。そして青年はタブレットらしきものに何やら入力を行い何かを探していた。
「次はミスはしない。」
青年はタブレットらしきものに写る無数の人間を見つけ出しては諦め見つけては諦めを繰り返していた。そこで1人の人間を見つけた。いじめられ惨めな姿の1人の男の姿を。静年はその姿にニヤリと口の口角を上げる。
「こいつなら。俺が望むバットエンドが見れそうだ。」
青年はタブレットらしきものに猛スピードでタイピングをしていく。そうすると青年が次のターゲットに選んだ男の個人情報が出てくる。
男の好きなものから嫌いなもの。年齢生年月日。ありとあらゆるものが出てきた。そこまで見て青年は確信する。こいつならやはり俺が思っている結果を出してくれると。思い立ったが行動をと言わんばかり行動を開始しようとする青年の前に先ほどの女性が現れる。
「ここにいたのね。」
女性は剣を抜く。
「お前しつこいぞ。」
青年は空中に手を伸ばす。するとそこから一本の豪華な装飾が施された剣が現れる。
「やる気?私はエクソシストよ。あなたじゃ勝てないわ。」
「そう決めつけるな。もしかしたら勝てるかもしれないだろ?」
青年も女性も剣を相手に突き出す。静寂が走る。お互いの息遣いが汗の流れる音が聞こえる。
ピチョン
天井から雫が流れ落ちる音が聞こえる。その音を合図として女性と青年は一歩を踏み込み、剣を交わす。赤い火花が散る。2人は同時に振り向き剣を振り合う。剣が拮抗する。
「私と剣を押し合うなんてあなた相当強力悪魔ですね。」
少女は力を入れる。
「そりゃそうかい。ならよかったな。」
青年も力をさらに込める。
ミシミシ
互いも剣から嫌な音がなる。それに気づいた両者は同時にバックステップを行う。そして青年の方が僅かに早く一歩を踏み出し、女性の持っている剣を弾き飛ばす。
「もらった。」
青年は自身の剣を女性を振り下ろす。
ごうぅ
瞬間青年の剣は止まった。
「クっなんでだ。動け。」
青年は腕に力を入れる。しかし一ミリたりともそこから止まった場所から動かない。女性はこのタイミングを逃すまいと弾き飛ばされた剣へ手を伸ばしそれを横薙ぎに払おうとした。しかし女性の剣も青年の当たる直前で止まる。
「何故だ。動け私の腕。」
女性も力を入れるしかし同じように一ミリたりともそこから動かない。互いに剣を寸止めしている異様な光景がそこに生まれていた。
「くそ。」
悪魔は悪態を吐くと剣を仕舞いピラミッドに出口へと向かう。やがて青年の姿は見えなくなった。
「まさか、お前なのか?」
女性の脳裏に1人の少年が現れる。かつて一緒の孤児院で過ごしそして死んでしまった姉と慕ってくれていた1人の少年の姿が。しかし彼女はそれを肯定も否定も出来ずただそこに立ち竦んでいた。
「何故その時とどめをさせなかった。」
青年はそのことをずっと考えていた。今まで色々なエクソシストに狙われその度に殺していた。しかし今回は殺せなかった。そのことをずっと考えていた。しかし青年の方も答えが出るはずもなくその疑問を放棄した。今やるべきことの青年は集中することにした。青年は懐からtype-Ω症候群と書かれているラベルが貼られている試験管とtype-α症候群と書かれているラベルが貼られている試験管を取り出し目の前で起こしていた焚き火に焚べた。双方のウィルスは火に強くないので火に焚べるとたちまち死滅した。そして懐からcero試薬品と書かれているラベルが貼っている試験管を取り出した。
「今度はこいつを試すか。」
青年はそれを使った次の物語を頭の中で妄想し笑いが込み上げてきた。しかし青年はその薬の弱点を知っている。しかしそれと同時に狙っている男に限ってそれはないと確信している。
「さて、そろそろ次の物語を始めるとするか。」
青年は胡散臭い笑顔を引っ提げ目標の男へ向かう。
男の部屋は無茶苦茶に散らかっていた。目当ての男はパソコンにの前にいた。青年は男に近づこうとする。
グシャ
床に放置されていたポテトチップスの袋を踏んでしまう。その音に男は青年の方へ向く。男は調べた通り太っている訳ではなくその逆に痩せているが、イケメンではな所謂モブ顔だった。
「お前は誰だ?」
男は初対面の青年が部屋にいるのにも関わらず混乱することもなく青年へ話しかける。青年はその姿に笑いが込み上げてきた。ここまでうまくいくのかと。しかし青年は込み上げてきた笑いを我慢し自分が望んだ結末を送ってくれそうな男へ向かって両手を広げる。そして問いをかける。
「秋が終わったら死ぬがそのかわり全能に等しい力をお前にやろう。」
今回は期待しているぞ。そういう意図を満面な笑顔の裏に隠した。
新しい物語は始まる…
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