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僕と君の終わらない夏  作者: 霧雨桜花
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彼女の場合-新しい夏は迎えにくる-

彼女の場合編です。まだ悪魔の場合編を今書いております。少々お待ちください。


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@kirisame_ouka

「美桜。朝だよー。起きてきなさーい。」

母親の声が聞こえる。その声に私は起こされる。今日は日曜日だというのに母はそんなことは関係なく早起き推奨している。私は目を擦りながら下へ向かう。

「もう。美桜あなたはもう大学生なの。1人で起きれるようにしなさい。来年からは一人暮らしなんだから。」

母の小言が始まる。

「わかってるわよ。もう休日ぐらいはいいじゃない。」

私は小言に顔を顰めながら母の意見に反対する。

「ハハ。美桜、母さんのいうことちゃんと聞いた方がいいぞ。」

父が笑いながら母との会話に混じってくる。

「父さんは関係ないでしょ。」

私は父に苦言を吐く。しかし父は何食わぬ顔で朝ご飯の続きを食べる。私はそれに思うとこはあるものも母がそろそろ怒ってくるタイミングなので渋々朝ごはんを食べる為食卓につく。

「いただきます。」

私は目の前にある朝ごはんを食べる。母が作った朝ごはんは一般的に朝食べる和食。しかし母が作るものはとても美味しい。先程までの不満感はなくなり食べる速度を上げる。母がつけたテレビをふと見ると

『type-Ω症候群の特効薬が完成。完成させた天才紫藤颯汰氏に迫る。』

私はそれを見てドキッとした。今私が患っている病気がテレビで出ていたからだ。しかも特効薬ができたというから。私は気になりテレビに釘付けになる。

『いやー。すごいですね。誰も解明できなかったtype-Ω症候群を解明するだけではなく特効薬を作ってしまうなんて。』

『そうですね。しかも彼の意向でこの特効薬安く世界に配られるだけではなく特許も取らずに技術を公開しているらしいですよ。』

『それはすごい。現代に産まれた聖人ですね。そこまでいったら。』

『今年のノーベル医学賞とノーベル平和賞の受賞は確実と言われています。』

『ここまでの成果があればそうですよね。このtype-Ω症候群の特効薬を作った彼がどれほどすごいが専門家をお呼びしております。ジャクソンさんお願いします。』

『はいこんにちは。個人でウィルスの研究をしています。ジャクソンと申します。今日はお願いします。』

『お願いします。ではまずtype-Ω症候群について…』

そこまで聞いていて1つ私の耳から離れない単語があった。紫藤颯汰。私はその単語が耳からずっと離れなかった。まるでかつて大事だったように、その名を愛していたかのように。しかし私は自慢ではないが産まれてこの方彼氏なんて出来たことがない。告白されたことはあっても付き合う気は起きなかった。今となっては後悔している。しかし異様に耳に残るこの言葉正体を知りたくテレビの内容に耳を傾ける。

『そもそもtype-Ω症候群っていうのはなんでしょうか。ジャクソンさん。』

『はい。type-Ω症候群とは10年前に発見された今まで生命体のいずれにも当てはまらないDNA成分と螺旋構造を持つウィルスが原因で引き起こされる未知の病でした。』

『なるほど。DNAの成分の時点でもう未知だったんですね。ではこれを解き明かした颯汰氏はとても凄いということですか?』

『そうですね。颯汰はとても素晴らしい1000年に1人も天才だと思います。』

『颯汰さんのことはよくご存知で?』

『はい。颯汰は日々誰かを救うために寝る時間や食べる時間もギリギリまで削り一時期は研究をドクターストップをかけられるほどまで熱心でした。』

『寝る時間や食事の時間までも削っていたんですか。それはもう研究熱心な人ですね。』

『いいえ。颯汰は研究に熱心ではありませんでした。』

『しかし、今研究に熱心だったと言っていましたが?』

『颯汰が熱心なのはtype-Ω症候群を消すことに熱心でした。』

『なるほど。だから自分の研究結果をやすく売ったり、特許を取らなかったんですね。』

『この研究で少しでも世界から病気がなくなればと颯汰は言っていました。』

『そうですか。では次のニュースです。ジャクソンさんありがとうございました。』

私が食べ終わるのと同時にニュースは終えた。私の疑問は解消されないままだった。私は彼の正体を知りたくスマホのネットを立ち上げ、調べ始める。



調べ始めて1時間わかったことは15歳にしてハーバード大学を卒業。ハーバードの大学院でウィルスの研究を始める。その半年後自らtype-Ω症候群の研究所を立ち上げ独立。そこからわずか2年でtype-Ω症候群の特効薬を作った若き天才だということがわかった。彼の口癖は彼女を必ず救うだそうだ。しかし、彼には当時付き合っている気配はなく誰を救いたかったのかは未だに不明だそうだ。私はこの情報を見て天才なのに妄想の彼女がいるのかなと思った。どんな顔をしているのかなと画像検索をかけてみる。そこに出てきた顔を見ると。

どっくん。

胸が痛くなる。脳裏にある光景が再生される。ベットに横たわる私。そばには画像で見た天才颯汰が私の手を握っており泣いている。そこまで再生されると急に光景が現実に戻る。今のはなんだったのだろうか。わからず答えを出せずにいると。

「美桜、病院から急遽来てほしいってお知らせが来てるわよ。」

母が私に声をかける。

「わかった。」

私は部屋から出て病院へと向かった。




「美桜さんに渡すものはある。」

私に担当医が引き出しから一つの瓶にを取り出す。それはさっきテレビで見たtype-Ω症候群の特効薬だった。

「それはさっきテレビで見たtype-Ω症候群の特効薬ですか?なぜここに?」

疑問しかない私は担当医に質問をかける。

「何故だか分からないがこれに開発者が君に使ってほしいと日本送ってきたらしいんだ。」

「これを私に。」

瓶を受け取る。私は彼のことを知らない。彼も私のことを知らないはずだ。何で私に。

どっくん。

また心臓がはねる。次は私がなぜか亡くなっており颯汰さんは泣いている。そして彼は謎の青年の手を取り、過去へと戻った。

そこまで見て私は全てを思い出した。前世のことを。私は死んだ。今天才と謳われる彼の目の前で。そして察した。私が知っている彼とテレビの彼では受ける印象が違う。それは何回も戻り、天才とまで言われる頭脳を身につけたと。私はいつの間にか涙を流していた。

「美桜さん大丈夫ですか?」

担当医が心配をしている。

「大丈夫です。」

私は担当医から受け取った瓶を固く握り決意する。彼にまた再び会うと。そこからは今までやる気のなかった英語をしっかりと始めた。英会話教室にも入って本格的なレッスンを受けた。バイトも初めていつでも海外に行けるようパスポートも取った。



それから3年後私は覚悟を決めアメリカへ渡った。まず私はハーバード大学へ向かった。しかし彼は既に大学院を出ており今はアメリカの各地を放浪していると言っていた。次に私は彼の連絡先を知っていると紹介されたジャクソンさんのところへ向かった。ジャクソンさんは今彼はロサンゼルスにいると言っていた。私はその情報が新鮮であるうちにロサンゼルスへ向かった。そして彼はいた。思い出して以来一度たりとも忘れたことはなかった。私は彼に後ろから声をかける。

「あのー。今いいですか?」

辿々しい英語だと思う。

しかし彼はこちらを振り向いた。そして彼の顔は驚きに満ちていた。私はその顔に喜びを感じつつ、彼にわたしの心からの声をかけた。

「ただいま。颯汰。そしてありがとう。」

彼は泣いていた。8月25日7:25。あの日終わってしまい始めてしまった夏は過去のものとなり、今新しい夏が迎えに来た。

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