魔法の国の王子様
「とある魔法が発達した1つの国がありました。その国には4人の王子様がいて今日も王位継承争いに燃えに燃えています。」
アンサンブルによる説明から物語がはじまるり、オープニングが流れ、オープニングが終ると同時に物語が始まる。
「ジャン、そのドライヤーつぎ貸せよ。」
大夢演じるエリスが言う。
「やだよ、お兄様には自然乾燥がお似合いだ。」
コウ演じるジャンが意地悪そうな笑みを浮かべて言う。
「お前、俺の美髪のキューティクルがどうにかなったらどうすんだよ!」
エリスが怒りながら言う。
「キューティクルの意味もわかってなさそうなのによく言うよ。」
鼻で笑いながらジャンが言う。
「お前、キューティクルの意味がわかるのか?」
エリスが前のめりに言う。
「そ、それは……。キューティーでクルに決まってるだろ!」
ジャンが慌てながら言う。
「お前もわかってないじゃん!」
笑いながらエリスが言う。
「な、なっ……!?」
ジャンは肩を震わせる。
「キューティクルと言うのは髪の毛を覆っている1番外側の組織ですよ。兄様方」
拓真演じるゲルティが言う。
エリスとジャンが口を開けてぽかーんとする。
「エリス兄様、ドライヤーがなければ魔法で乾かしてはいかがでしょう?」
ゲルティが言う。
「そうだな!その手があった!おい、ニコル?」
エリスが頷きながら言う。
「はい、ニコルお兄様。お呼びですか?」
優斗演じるニコルスキーが言う。
「俺が火の魔法を出すからお前は風魔法を出してくれそしたら熱風が出て俺の髪が乾くわけだ!」
得意げな顔でエリスが言う。
「わかりました。」
頷きながらニコルスキーは返事をする。
「俺がせーのって言ったら出せよ!」
エリスがそう言うとニコルスキーが頷く。
「せーの!」
エリスが言った瞬間──。
床に水が打ち付ける音がした。
「何これ、寒いんだけど……。」
顔面に水を被ったエリスが言う。
「火じゃなくて水魔法出すとか!流石、兄様!」
ゲラゲラと笑いながらジャンが言う。
その横でゲルティがうちわでエリスを扇ぎ、ニコルスキーが床を拭く。
「なんの騒ぎじゃ!」
田口演じるエドウィン皇帝陛下が来て言う。
「あなた落ち着いて。」
皇帝陛下の後ろにいる藤山演じるアマミー皇后陛下が言う。
「「父上、母上!」」
突然の登場に驚いたように4人の王子達が言う。
「お前らは顔を合わせれば喧嘩ばかり、兄弟で力を合わせて国を盛り上げて行かねばならぬと言うのに……。」
呆れたように皇帝が言う。
「申し訳ありません、父上。ですが、騒ぎを起こしてたのはこの愚兄です。」
申し訳なさそうな顔をしながらジャンが言う。
「な、なんだと……!」
肩を震わせながらエリスが言う。
「私はそう言う事を言ってるのではない!兄弟、皆仲良くしろと言っているのだ!」
皇帝が怒る。
「父上、何か用事があっていらしたのではないのですか?」
咳払いしながらゲルティが言う。
「そうじゃった!ゲルティいつもすまぬな。今日から1ヶ月ほど休暇を取ったからアマミーとバカンスに行ってくる。くれぐれも問題は起こさぬように!あと、公務の方は4人で協力して任せたぞ!」
皇后の方を見ながらデレて言う。
それを聞いた4人は口を開けて驚く。
「それじゃああとは任せたぞ!」
笑いながら皇帝が言う。
「父上、母上。道中お気をつけてください。」
ニコルスキーが言う。
「ニコルありがとうな!行ってくる!」
笑顔で皇帝が言う。皇帝と皇后はバカンスに出かける。ニコルスキーは手を振りながら二人を見送る。
「「本当に急だな!」」
エリスとジャンとゲルティが言う。
4人は公務に追われる。
「もう無理だ……。この量の仕事を置いていくとか父上逃げたとしか思えない……。」
げっそりとしたようにエリスが言う。
「エリス兄様、口ではなく手を動かしてください。ジャン兄様も寝ないでください」
ゲルティが呆れながら言う。
「お前寝てたのかよ!」
エリスが驚いたように言う。
「なんだよ……。まだ残ってんじゃん……。」
眠そうに起きながらジャンが言う。
「お前な!」
エリスが怒る。
「兄様方!」
ゲルティが怒鳴る。
「ゲルティ兄様、こちら終わりました。次は何をしたらいいですか?」
ニコルスキーが書類を渡しながら言う。
「ニコル、ありがとうございます。次はこちらをお願いします。」
ゲルティが言う。
「かしこまりました。」
ニコルスキーがお辞儀をしながら書類を受け取る。
ゲルティはため息をつく。
「兄様方もニコルを見習ってください……。」
ゲルティは呆れたように言う。
扉をノックする音がする。
「どうぞ」
ゲルティが言う。
「失礼します。王子達宛にこちらの封書が先程届きました。」
城の従者が1枚の封筒を王子達に差し出す。それをゲルティが受け取る。
「ありがとうございます。下がって大丈夫です。」
ゲルティが従者に言う。
「失礼致します。」
従者が部屋から出る。
「宛先が書いていませんね。」
ゲルティが封筒を見ながら言う。エリスが封筒をゲルティから取る。
「開けてみればいいんじゃねぇか?俺ら宛なんだしさ」
エリスが言う。
「だな!」
ジャンが言う。
「兄様方、罠かもしれないのですよ?封筒を開けて魔法が発動でもしたら!」
ゲルティが言い終わる前に2人は封筒を開ける。
「うわぁぁあ!」
ニコルスキーが急に叫ぶ。
「「なんだよ!」」
エリスとジャン驚いたように言う。
「なんでもありません。」
うっすらといたずらっ子のような顔をしながらニコルスキーが言う。
「驚かせるなよ、ニコル。」
ほっとしたようにエリスが言う。
「兄様、手紙にはなんと書いてあるのですか?」
ゲルティが言う。エリスが手紙を読み上げる。
「皇帝と皇后の身柄は預かった。返してほしければ王子4人だけで地図の場所まで来い。」
エリスが手紙を読み終えると王子達の顔から血の気が引く。
「これってやばいんじゃ!」
慌てたようにジャンが言う。
「ですが、これこそ罠かもしれないですよ。」
ゲルティが言う。
「父上と母上は大丈夫なのでしょうか?」
不安そうにニコルスキーが言う。ゲルティーがニコルスキーの背中を優しく叩く。
「騎士団長に相談してみてはいかがでしょう?」
ゲルティが提案する。
「僕もそのほうがいいと思います。」
ニコルスキーが言う。
「ああ、そうしよう。」
エリスが言う。
4人の王子は騎士団長のとこに向かい手紙の内容を伝える。
「なるほど、話しはわかりました。ですが、王子達を危険に晒すようで申し訳ないのですが……。」
言いづらそうに騎士団長が言う。
「構いません。言ってみてください。」
ゲルティが言う。
「手紙の言うとおりに王子達で地図の場所まで向かう方がよろしいかと思われます。敵が誰か分からない以上我々が王子達のフリをして行った際、偽物だとバレたら陛下達のお命に関わります。ただ、敵の狙いやの敵の戦力が分からないのが不安要素なのですが……。」
騎士団長が渋る顔で言う。
「いいじゃねぇか!行こうぜ。皇帝を攫うなんて国への反逆罪とみなして全員半殺しだ!」
ジャンが言う。
「珍しく意見が合うな!俺もそれでいいと思ってたとこだ。」
エリスが言う。
「ジャン兄様は少々口が悪いですが……。でも、私もそう思いました。ニコルはどう思いますか?」
ゲルティが言う。
「僕は……。」
不安そうな顔でニコルスキーうつむく。
「ニコル、怖いなら城で待ってろ。」
ジャンが言う。
「そうだなその方がいい仕事もたんまり溜まってるしな。」
エリスが言う。
「ですが、兄様方手紙には4人の王子と書いていました。ニコルを連れて行かないと行けないのでは?」
ゲルティが困ったように言う。
「ニコル、戦いになっても俺らが守るから一緒に来ないか?」
エリスが言う。
「また、それもそうだな。まあ、兄様より俺の後ろのほうが安全だけどな!」
ジャンが言うと「なんだと!」とエリスが怒る。
「兄様方もこう言ってますしどうですか?先程から父上と母上のことも心配してしているみたいですし。」
ゲルティが再びニコルスキーに問いかける。
「父上と母上のことはすごく心配です……。でも、僕がいたんじゃ兄様達の足手まといなんじゃ……。」
涙を溜めながらニコルスキーが言う。
「大丈夫ですよ。兄は弟を守るのも役割ですからね。」
ニコルスキーの背中をさすりながらゲルティが言う。
「わかりました。僕できる限り兄様達のサポートができるように頑張るので僕も連れてってください!」
決意を決めた表情でニコルスキーが言う。その言葉を聞いて3人はニコルスキーの頭を撫でる。
そして、4人の王子は父と母を助ける為に冒険に出たが……。
「ここはどこだ?」
地図を見ながらキョトンとしてエリスが言う。
「いや、本当にアホだろ。だから俺に任せろって言ったんだろ。貸せよ。」
呆れたようにジャンが言いながら地図を引っ張る。
「おい、離せ。」
「兄様が離せ。」
エリスとジャンが地図を引っ張り合う。
「兄様方、そんなに引っ張ったら地図が破れてしまいます……。」
ゲルティが言い終える前に地図が破れた。4人は騒然とした顔をしている。
「お前のせいだろ!」
「いや、兄様のせいだ!」
エリスとジャンは言い合いをはじめる。
「兄様方!今は喧嘩してる場合じゃありません!」
ゲルティが怒る。すると、ニコルスキーが何かに気づく。
「兄様方、なんか破れた地図から何か魔力を感じませんか?」
ニコルスキーが不思議そうに言う。エリスとジャンとゲルティは地図を見る。ゲルティが地図を裏返す。
「これは!?」
ゲルティが驚いたように言う。
破れた地図の裏に陣が描かれていた。ゲルティは2つに別れた地図を陣がつながるよに繋げた。
「これ、ワープゾーンになっているのか?」
ジャンが不思議そうに言う。
「そのようですね。なかなか巧妙な作りで、敵ながら賞賛を送りたくなりますね。」
関心したようにゲルティが言う。
「ニコルお手柄ですよ。」
ニコル頭を撫でながらゲルティが言う。
「じゃあ飛び込むか!」
エリスが言う。
「いや、俺が先だ!」
ジャンが言う。2人はそのまま言い合いを続けながら暗転して1幕が終わる──。
「とりあえず1幕終わったな!」
大夢が言う。
「お疲れ!」
コウが言う。
「優斗、大丈夫か?」
拓真言う。
「緊張して何がなんだかわかんないまま終わっちゃった……。」
へたり込みながら優斗が言う。それを聞いて大夢とコウと拓真が微笑む。大夢が頭に手をポンと置く。
「このまま2幕も突っ走るぞ!」
大夢の掛け声でみんなで円陣を組む。
そして、2幕が始まる──。
「ここはどこだ?」
エリスが辺りを見回しながら言う。
「なんだか気味が悪いな。」
渋い顔をしながらジャンが言う。
「どこかのダンジョンみたいですね。」
ゲルティが言う。その瞬間、何か鳥類のような羽音が聞こえ、ニコルスキーの肩が大きく飛び上がる。
「ニコル大丈夫ですか?」
ゲルティが心配そうに聞く。
「兄様、すみません。少し驚いただけです。」
ニコルスキーが言う。
「とりあえず進もうぜ。」
ジャンの言葉に一同が頷いて進む。
そして、プロジェクションマッピングで出くる敵を倒しながら4人の王子は先に進むと──。
「ここからはドニーの兄貴のテリトリーだ!この先は誰も通さないぜ!」
柄の悪そうな敵の集団が現れる。
「恐らくそのドニーってのに用があるんで力強くで通らせてもらうぜ!」
エリスが言うと戦闘が始まる。
戦闘が激しくなる中、詠唱中のジャンのとこに1人の敵が攻撃しようとすると……。
「あっぶねぇ……。」
エリスが敵を倒しながら言う。
「おい、ジャンたまには兄様に感謝しろよ……。」
言ってる最中に敵の1人がエリスの背後に立つがジャンが魔法で倒す。
「兄様こそたまには弟に感謝しろ。」
微笑みながらジャンが言う。
「ニコル、援護ありがとうございます。」
ゲルティが言う。
「いえ、そんな……。兄様次の敵が来ます!」
魔法で援護をしながらニコルスキーが言う。
「片付いたか?」
ジャンが言う。
「そうみたいだな。」
エリスが言う。
「さっきの人たちが父上と母上を攫った人の仲間ですかね?」
首を傾げながらニコルスキーが言う。
「恐らくな。えっと……。ジーニーだけ?」
エリスが考えながら言う。
「それ、どっかの精だろ。デリだろ。」
ジャンが言う。
「なんな美味しそうな名前ですね。」
ニコルスキーが言う。
「兄様方違います。ニコルスキーも乗らないでください。ドニーですよ。」
ゲルティが言うと……。
「俺様のことお呼びかい?王子様方?」
怪しい風体の男が現れる。
「お前が父上と母上を攫ったのか?ジーニー。」
エリスが聞く。
「いや、それランプの精だわ!ああ、そうだよ。」
末永演じるドニーが言う。
「父上と母上は無事なんだろうな?」
ジャンが聞く。
「俺様を倒してからその目で確認するんだな!」
ドニーがジャンを攻撃しながら言うが、4対1なのであっけなく倒される。
「なんだよ。お仲間がいないとこんなもんかよ。」
エリスが言いながら留めを刺そうとするが……。
「兄様待ってください!」
ゲルティが静止する。
「ゲルティなんだよ?」
機嫌悪そうにエリスが言う。
「少し聞きたいことがありますので。」
ゲルティが言う。
「なぜ、あなたは父上と母上を攫ったのですか?貴方の目的は?」
ゲルティが聞く。
「目的は1つ俺はお前らイケメン王子より優れてると証明したかっただけだよ!」
ドニーはイラつきながら言う。その言葉を聞いて4人の王子が口を開ける。
「俺らってイケメンだったのか!」
驚いたようにエリスが言う。
「確かに俺はイケメンだよな。」
ジャンがうなずきながら言う。
「何言ってんだよ。お前は兄弟の中で1番ブサイクだよ。」
エリスはジャンに言うと喧嘩がはじまるがゲルティが咳払いをして止める。
「なぜ私達よりも優れてると証明したかったのですか?」
ゲルティが質問する。
「そんなに俺の哀れな話が聞きたいか?」
ドニーが言うと「お願いします」とゲルティが頷く。
「先日あったニコルスキー様の成人お披露目パレードのことだ俺は好きな人と一緒にパレードを見に行っていた。」
ドニーが言うと回想シーンがはじまる。
王子達が通ると女性たちの黄色い声援が飛び交う。
「ニコルスキー王子おめでとうございます!」
「やっぱ王子みんな国宝級のイケメン!」
王子をみる女性たちが言う。
「やっぱイケメンって本当に癒やしだね!毎日拝みたい!」
ドニーの想い人が言う。そして、ドニーはショックを受けて元のシーンに戻る。
「え?それだけですか?」
ゲルティが拍子抜けした表情で言った。その言葉に4人の王子は頷く。
「それだけってあのとき俺は失恋同然の思いをしたんだぞ!」
ドニーが半べそで言うり
「でも、告白したわけじゃないんだからわかんないだろ?」
エリスが言う。
「冴えない俺がイケメンに勝てるわけないだろ。」
ドニーが言う。
「とんだ八つ当たりだろ。」
呆れながらジョンが言う。
「それで父上と母上はどこに?あと貴方のような一般人がなぜあのような巧妙なワープゾーンが作れるのですか?」
真面目な顔でゲルティが聞くと……。
「私が作ったのじゃよ。」
皇帝が出てきて言う。
「父上!母上!」
ニコルスキーが驚いた表情で言う。
「お前達がここに来るまで魔法でしっかりと見させてもらったぞ。しっかりと協力して来れたようで何よりじゃ。たまに喧嘩してたが……。」
皇帝が言う。
「ドニーも協力ありがとうございました。」
皇后が言う。
「協力とはどういうことですか?母上?」
不思議そうにゲルティが聞く。
「説明すると長くなるんじゃが……。」
皇帝が言うと4人の王子が頷き、コミカルな音楽が流れる。
「あれはワシとアマミーとバカンス先まで向かってる最中じゃ。道中に何か叫んでる若人がいたから声をかけて見たんだ。」
皇帝が言いながらドニーに近づく。
「王子よりイケメンな優男になりたい!なんですか?ま、まさか皇帝陛下!」
ドニーが膝まずきながら言う。
「そんなかしこまらんで良い何か悩んでるようでなわしで良ければ話を聞こう。」
皇帝が笑いながら言う。
「実は先日のパレードで想い人が王子達を見て、やっぱイケメンって本当に癒やしだね!毎日拝みたい!と言っていまして再びアプローチをする自信が持てるように鍛錬をしていました!」
ドニーが言う。
「なるほどな。思いついた!もし、そなたが良ければワシに協力してくれないか?礼に褒美やるからの。」
皇帝が言う。
「私にできることなら何でもやらせてください!」
ドニーが言うと皇帝とドニーは握手を交わす。
「こうして、ドニーの協力の元「王子一致団結作戦」を開始したのじゃ。成果もほどほどに見られて良かった良かった。」
皇帝がうなずきながら言う。
それを聞いたエリスとジャンとゲルティは呆れた顔になる。
「父上と母上が無事で本当に本当に良かったです。」
ニコルスキーがへたり込む。その背中をゲルティが擦る。
「危うくドニーさんは半殺しになるとこでしたし、父上は荒療治が過ぎますよ。」
ゲルティが言う。その言葉に「すまん。すまん。」と微笑む。
「でも、やっぱ俺はイケメンには叶わないんだな……。」
ドニーがうつむきながら言う。
「そんなことはない!ドニーは好きな人を振り向かせたくて必死に鍛錬してきたんだろ!本当の強さは武力じゃなくてここだろ。」
エリスが言いながらドニーの心臓の上をこぶしで叩く。
「なんだよ……。イケメンは性格までイケメンなのか。」
ドニーが言う。
「ドニー!貴方もイケメンよ!」
女の人が出てくる。
「マカロン!なんでここにいるんだよ!」
ドニーが驚いたように言う。
「「今度こそ美味しいやつ来た!」」
4人の王子が言う。
「ワシの従者に連れてきてもらったのじゃよ。」
皇帝が言う。
「ドニー、私が言った何気ない言葉でそんなに悩ませてしまってごめんなさい。でも、ステーキって毎日食べたら飽きるでしょ?だからイケメンは毎日拝めちゃいけないのよ。」
マカロンが言う。
「何かけなされてるか?」
ジャンが言う。
「いや、褒められてるだろ?」
エリスが言う。
「でも、パンは毎日食べても飽きない!そう私はドニーみたいな平凡な人が大好きなの!」
マカロンが言うとドニーとマカロンは抱き合う。
「俺もマカロンが好きだ!愛してる!」
ドニーはそう言うと2人は袖にはける。
「俺ら何見せられたんだ?」
エリスが言う。
「さあ?」
ニコルスキーの視界を塞ぎながらゲルティが言う。
「お前たちは次期皇帝を争って喧嘩してるみたいじゃが……。」
皇帝が言うと……。
「俺が皇帝になります!」
エリスが言う。
「いや、俺が皇帝になります!!」
ジャンが言う。
「いやいや、俺が皇帝になります!!!」
ゲルティが言う。
「僕は、兄様の足を引っ張らなければ……。でも、……。」
ニコルスキーが言う。
「「貴様らワシの話を聞け!!」」
皇帝の叫び声で物語は終幕する──。
優斗にとって初めての終幕。拍手が鳴り止まないままカーテンコールがはじまる。改めて観客の顔を見て緊張がこみ上げるが達成感や安堵がこみ上げて来る。
そして、大夢の挨拶が終わり舞台袖にはける。
舞台袖にはけた途端、優斗はへたり込む……。
「おい、優斗大丈夫か?」
拓真が言う。
「大丈夫……。ちょっと緊張が切れたらなんか腰抜かしちゃった。」
拓真から差し出された手を取りながら優斗が言う。
「優君、頑張ったね!」
優斗の背中をぽんぽんしながらコウが言う。
「優斗も頑張った!俺達も頑張った!明日からもこの調子で大千秋楽までかけ走るぞ!」
大夢が3人を抱きしめながら言う。
家に帰ると母が作った唐揚げとハンバーグが用意されていた。
「今、温め直すから!」
母が言う。
「ありがとう、母さん」
優斗が言う。
「優斗……。」
父が気恥ずかしそうに優斗を呼ぶ。
「どうしたの?え?もしかして父さん泣いてる?」
父が泣きだして優斗は慌てる。
「父さん優斗が出てきてからずっと泣いてるの。隣にいるこっちが引くよね。」
ため息つきながらめいが言う。
「当たり前だろ!息子が舞台の上であまりにもかっこいいと涙が出てくるもんなんだ!」
父が泣きながら言う。
「いや、優斗よりコウ君の方が圧倒的にかっこ可愛い。」
真面目な顔でめいが言う。
「お父さんはそう言うことを言ってるんじゃなくてこんなかっこいい子たちの中に優斗がいることに感激してるのよ。」
母が言う。「でも、優斗が1番ね」と付け加える。
「なんか恥ずかしいからやめて……。」
優斗が照れながら言う。
「でも、優斗本当にお疲れ様!明日からも頑張るんだよ!」
ガッツポーズしながらめいが言う。
「姉ちゃんありがとう!」
優斗が言う。
そして、無事に公演が進み東京千秋楽を迎える。
「東京凱旋は別の劇場だから今日でこの劇場でやる最後の公演だな。」
拓真がしみじみ言う。
「なあに?拓真きゅん寂しくなっちゃった?コウお兄ちゃんがよちよちしようか?」
コウが言う。拓真の頭を背伸びしながら撫でようとするも手をはらわれる。そして、隣から大夢も撫でようとする。
「コウやめろ……。大夢もやめろ……。」
拓真が言う。
「なんだよ、せっかく兄ちゃん達ががよしよししようとしたのに!やっぱ拓真きゅんは釣れないな。」
唇を尖らせながら大夢が言う。
「撫でてほしそうなのはあっちだろ。」
拓真は言うと優斗の方に指を指す。
「優斗どうしたんだよ?」
大夢が優斗に言う。
「今日、カーテンコールで挨拶あるから舞台の上で泣かないように今必死で考えていたら涙出てきそうで……。」
優斗が涙を溜めながら言う。それを聞くと大夢とコウと拓真がため息をつく。
「優斗、まだ大阪も福岡も1番公演数のある東京凱旋も残ってるんだ……。そんなんじゃ涙腺持たないぞ。」
大夢が言うとコウが頷く。
「まあ、1人くらいこんなのがいてもいいんじゃないか?」
拓真が言う。
「拓真、優斗に甘くない?」
ニヤニヤしながら大夢が言う。
「それ大夢が言うか?」
拓真が言う。
「「まあ、末っ子は甘やかしちゃうよな!」」
声を揃えて大夢と拓真が言う。
「ちょっと年中無休で末っ子枠の僕のことも甘やかして!」
コウが頬膨らませながら言うと優斗がコウの頭を撫でる。
「優君!ありがとう!」
コウはそう言うと優斗に抱きつく。
「どういたしまして!」
優斗が言いながら抱き返す。
どこからか泣き声が聞こえる。
「諒までお前は泣いてるのか?」
呆れたように拓真が言う。
「今日でここでやるのが最後だと思ったら涙が出てきて……。」
末永が泣きながら言う。
「1人どころじゃなかったな!」
笑いながら大夢が言う。優斗とコウが笑う。
「それじゃあ円陣組むぞ!」
大夢がそう言うと出演者全員で円陣を組む。
そして、東京千秋楽が幕を開ける。
話が進んでいき無事に終幕する。
カーテンコールで1人ずつ挨拶をしていくと、優斗の番が回る。
「本日はご観劇本当にありがとうございました。僕個人的な話になりますが、今回が初めての舞台での色々なひとの支えがあり、一旦東京公演まで走り抜けることができました。まだ、大阪、福岡、東京凱旋公演でニコルスキーとこのカンパニーとともに成長していきますので応援のほどよろしくお願いします。本当にありがとうございます。」
お辞儀しながらあいさつを終える。他の3人の王子の挨拶も終え、幕が閉じる。
袖にはけた後、優斗は涙をこぼす。
「だから、まだ終わってねぇって!次は大阪だろ!」
大夢が優斗の背中をさすりながら言う。
「うん!」
優斗が力強く頷く。
こうして東京公演の幕を閉じる――。