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成長とゲネプロ

「やっぱこんな話し急に聞かされても困るよな。ごめんな……!」

 大夢が少し明るげに言う。

 「いや、大夢君のこと知れて嬉しいよ!それになんか大夢君のこと改めて好きだなって思った。」

 優斗は照れながら言う。

 「いや、なんか照れるわ……。優斗はさ、なんで芸能界に入ろうと思ったんだ?」

 大夢が聞く。すると優斗は少し気まずそうな恥ずかしそうな顔をする。

 「本人を前に言うのは照れくさいんだけどさ……。大夢君がきっかけなんだ……。」

 照れくさそうに大夢を見ながら言う。

 「えっ……!?俺?」

 大夢が驚く。

 「俺、ライクエが好きで大夢君とコウ君がライクエの舞台に出てたとき正直舞台とかあんまり興味なかったんだけど姉ちゃんが連れてってくれたんだ。」

 優斗が言う。

 「そうだったんだ。観に来てくれてたんだな。」

 大夢が頷きながら言う。

  「初めて舞台を見たときに馴染みのある音楽が客席で流れててすごくテンションがあがった。なんか舞台を見ながらゲームの楽しい思い出も蘇るし、ゲームでは見られなかったキャラクターの顔も見れて感激した。なによりも大夢君のリックを見てたときなんかすごく惹かれたし、尊いって思ったんだ。」

 懐かしむように優斗が言う。

 「なんかやばいな。照れるわ。」

 はにかみながら大夢が言う。

 「やっぱ、大夢君ってかっこいいね。」

 優斗が真面目に言う。

 「なんだよ。当たり前なこと言うなよ。で、続きは?」

 大夢が言う。

 「そこから大夢君が出演する舞台見に行くようになって、毎回舞台の前には遠足に行く小学生みたいに眠れなくなるくらいワクワクして色々な大夢君を見てるうちに気づいたんだ。」

 優斗が言うと大夢が頷く。

 「俳優って何にでもなれるんだって。」

 優斗が言うと大夢の目が大きく開く。

 「確かにそうだな!何にでもなれるな!」

 大夢が微笑みながら言う。

 「そう気づいたときに今まで父さんにもっと現実的な夢を持てって否定されて諦めた夢を思い出して……。」

 優斗が言う。

 「優斗は何になりたかったんだ?」

 大夢が言う。

 「えっと……。勇者に魔法使いに戦隊もののレッド!」

 照れ臭そうに笑いながら優斗が言う。   

 「今回で1つ夢が叶ったな!魔法使い!」

 大夢が笑顔で言う。

 「うん……!」

 優斗が頷く。

 「戦隊ものとか懐かしいな。優斗のときは何が流行ってたんだ?タイヨウジャーとか流行ってたな。」

 懐かしそうに大夢が話す。

 「俺のときはアイドルジャーとかオドルンジャーとか!ヒーローショーに行くときに剣の形したペンライト買ってもらった!」

 優斗が嬉しそうに言う。

 「でた!それすごいよな!俺たまたまテレビでみたとき進化が凄すぎて箸落としたわ!」

 大夢が笑いながら言う。

 「俺もいつか日曜の朝の何かに出たいな!」

 優斗が言う。

 「優斗、まだ初舞台も始まってないのに生意気だな!俺だってまだ出たことないんだぞ。でも、どっちが先か勝負だな。」

 大夢が言う。

 「そんな、俺が勝負なんて……。あと、俺叶えたい夢が1つだけあるんだ。」

 優斗が言う。

 「お!なんだなんだ?」

 興味津々に大夢が聞く。

 「大夢君みたいに誰かをワクワクさせたい。俺が大夢君が出る舞台を見る前にワクワクしてそれを楽しみに頑張る誰か頑張る元気の源みたいな存在になりたい。そして、大夢君みたいにあの日俺が夢中になったように誰かがその役に夢中になれるような存在になりたい!」

 声を大きくして優斗が言う。

 「立派な意気込みだな!それに優斗はちゃんと自分の目標持って偉いな。」

 大夢が言う。大夢に偉いと言われ優斗は一瞬頭の中でリピートした。

 「でも、俺みたいにじゃ駄目だ。自分で言うのはかなり複雑なんだど……。」

 大夢が渋る感じで言う。

 「俺を超えろ。」

 大夢が真剣に言う。

 「いやいや、大夢君を超えるなんて……。」

 首を横に振りながら優斗が言う。

 「アホか!そこはいつかは超えます!って言うとこだろ。例えだし俺も越されないよう上を目指すしな!」

 大夢が言う。

 「でも、優斗この世界で残こりたいなら俺の背中だけを追うな。俺の先を追え、もっと色々な経験をつんでくと沢山の人生を演じられるチャンスが巡って来るからな!」

 大夢が言う。

 「うん!」

 優斗が力強く頷く。

 「じゃあ色々な偉そうに人生語ったけどご飯行こうぜ!でもってアドリブシーンの秘密の会議もな!」

 大夢が言うと優斗が頷いてブランコから降りる──。


 次の日――。

 「優斗なんか吹っ切れたか?間合いもいい感じだしな。」

 落合が言う。

 「ありがとうございます。」

 優斗が言う。

 そこから順調に稽古が終了し、場当たりも終了してついに本番前のゲネプロをの日を迎える。

 「どうしよ、ひろむん、僕緊張し過ぎて胃の中のもの全部出ちゃう……。」

 ぴょんぴょん飛び跳ねながらコウが言う。

 「コウそれ飛び跳ねながら言うことではないから。てか、優斗まで飛び跳ねるな!」

 少し緊張感のある顔で言う。

 「俺も緊張し過ぎて、胃の中のもの全部出ちゃう!」

 冗談めかしたようにコウの真似をしながら優斗が言う。

 「おーい、優斗大丈夫か?」

 大夢が聞く。

 「だ、だ、だ、だ、大丈夫かな?」

 優斗が真っ青な顔で言う。

 「いや、それ俺が聞いてんの。」

 大夢が笑いながら言う。

 「優斗、深呼吸だ。」

 拓真が言うと王子役4人で一緒に深呼吸をする。

 「あと、人って書いて飲み込むんだよ!」

 コウが無邪気に言うと自分の手に書いた人の文字を優斗に飲ませる。

 「く、苦しい……。でも、ありがとう!」

 優斗が苦しそうにでも、嬉しそうにお礼を言う。

 「人間は息を吸って吐くだけでも偉いのに緊張に立ち向かう優斗はもっと偉いな!」

 大夢はふざけながら言う。

 「それリックの言葉もじってるでしょ?

 優斗が笑いながら言う。

 「わかるか?」

 大夢が言うと4人で笑いあう。

 そして、ゲネプロが無事に終わる――。

 優斗は家でここまでの道のりを思い出しながら台本を読み返すとめいに呼ばれる。

 「ご飯できたって!」

 めいが言う。

 「すぐ行く!」

 優斗が言う。

 「ついに明日、初日だね。緊張してるの?」

 めいが笑いながら聞く。

 「もちろんしてるよ!でも、ゲネプロ乗り越えてからワクワクもしだしている。」

 決意のこもった瞳で優斗が言う。めいが「そっか」と言う。

 「今日のご飯はご馳走よ。ちゃんとケーキも買ってきたんだから!」

 母が言う。

 「俺、今年が一番人生の中でホールケーキ見てる気がするわ。」

 優斗が言う。

 「お前まだ10数年しか生きてないのに人生語るな。」

 父が言う。

 「明日、3人で見に行くからね。」

 母が言う。

 こうして、明光家での「祝!初日祝い会」が幕を開ける。

 次の日の朝、大夢は父親の墓参りに来ていた。

 お墓の前で手を合わせると落合が現れる。

 「落合さん、俺の舞台の初日のときにほぼ毎回来てくれますよね。」

 優斗が少し呆れた顔で言う。

 「そんなのお前の息子、次こんな役をやるぞと友に定期的に伝えに来てやらないとな!」

 落合が言う。

 「定期的って頻度より多い気がするけど……。でも、俺落合さんがいなかったらきっとあのまま時が止まったように役者の夢も諦めてたと思います。ありがとうございます。」

 大夢が真っ直ぐ落合を見ながら言う。

 「お前もそれここで俺に会うたびに行ってるぞ。」

 落合が言う。

 「感謝の気持ちは定期的に言ったほうがいいですよ!」

 大夢が茶化したように言う。

 「なんだそれ」と言いながら落合が笑う。

 そしてついに初日を迎える――。

 「優斗昨日よりいい目つきしてるな!」

 大夢が言う。

 「本当だ!生きてだけでも偉いのに優君覚悟まで決めてえらい!」

 優斗の真似をしながらコウが言う。

 「俺の真似似てないな!」

 「いや、そんなことないだろう。」

 大夢が言うと拓真が言う。

 「そんなことないもん!ねぇ、優君!」

 コウは頬膨らませながら言う。

 「確かに似てるかも……。」

 優斗が言うと「優斗もかよ!」と大夢が言う。

 そして、初日の幕が上がる――。


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