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夢の始まり

 現場が決まってから気づいたら観劇の日が来るということはなく気づいたら高校3年生1学期の中間テスト1週間前を迎える。観劇の日はテスト最終日の夕方の公演だ。普段机の上に飾っている羽柴大夢くんのブロマイドもテストが終わるまではダンボールに封印だ。

 日々、毎日を勉学勤しんでいたらあっという間にテスト最終日がきて、あっという間にテストが終わる。物販を買いに行ってから劇場の最寄駅からの一番近いファーストフードフード店に入ると「おまたせ」とめいがやってくる。

 「姉ちゃん、これ頼まれた物販。」

 「ありがとう。今日もコウ君のお顔本当に綺麗!」

 ブロマイドをまじまじと見ながらめいは言う。

 「昨日、姉ちゃん当日券で見てきたんだよね?どうだったの?ネタバレなしで」

 優斗がそう言うとめいは少し困った顔になる。

 「ネタバレなしで感想を求められても難しいわ!でも、コウ君演じる和人も大夢君演じる誠も本当に尊いくてコートに舞い降りたエンジェルって感じかな。」

 困った顔から徐々に満面の笑みを浮かべながらめいが言う。

 今日、優斗とめいが観劇する舞台は「誠のバトミントン」という人気の少年漫画が原作の舞台の2作目だ。あらすじは、高校1年生の誠は中学時代にバトミントン部に所属していた友達の応援に来ていた。その時の対戦校に所属していた弘之のバトミントンに魅力されて中学2年生で入部をし、その後、弘之の進学した府城大付属高校に進学をし、高校バトミントンで全国制覇を目指す青春漫画だ。優斗の推し羽柴大夢は主人公の誠を演じ、めいの推し蛍原コウは主人公の同級生でチームメイトの和人を演じる。

 「今日の話って原作の町高と聖学との試合の辺り?」

 「そうそう。観ると原作を全部読み返したくなるし、前作の円盤も鑑賞したくなるよね」

 めいがしみじみと言う。

 「そう言って観に行く前も観てたじゃん。気持ちは分からなくもないけど俺の部屋まで音聞こえてきて誘惑に負けそうだったわ」

 優斗は少し呆れた顔をする。

 「ごめんごめん、そうやって誘惑耐え抜いて生きている優斗様は偉いよ!そして、今日も息を吸って吐いてる私も偉い!」

 笑顔で「お家で鑑賞会しよう」と付け加えながらめいは言う。

 「会場時間始まるから劇場いこう。」

 スマートフォンを見ながらめいが言った。

 映画館とは違う劇場の香り、雰囲気がこれから観劇なんだという気持ちとテスト頑張ってよかったという気持ちを際立たせ、まだ観てもないのに達成感を感じさせる。

 まると同時客席が暗転し、音楽が徐々に大きくなり音が止に舞台にスポットライトが当たる。やはり、その瞬間少しだけ呼吸が止まる。物語が進んでいき、町高との試合が始まる。そして、拍手の音とともに試合は終了し、休憩を挟んで聖学との試合が始まる。聖学との試合も拍手とともに終了し、そのまま終幕した。

 帰り道、姉ちゃんと感想や推しのどこが尊かったのか、もらったファンサのこととか話しながら帰るとあっという間に家に着く。普段は照れ臭いがこういうとき姉弟はいいなと思う。

 しかし、玄関ドアを開けると地獄が待っていた……。



「「どこ行ってたんだ!!」」

 玄関のドアを開けるとリビングから優斗とめいの父親の怒鳴り声が聞こえた。心臓をバクバクさせながらリビングに入り「ただいま……」と呟いたように優斗が言う。一方、めいは一気に不機嫌な顔になる。

 「どこ行ってたんだと聞いている!!優斗お前テスト中じゃなかったのか?どこほつき歩いてたんだ。」

 「えっと、テストは今日で終わって……。」

 父親の勢いに飲まれてたどたどしく話す優斗を見て、めいが言う。

 「舞台観に行ってた。そんな怒鳴らなくても聞こえてるし、テスト終わったんだから良くない?何が駄目なの?」

 「お父さんは優斗に聞いている!!大体、テストが終わったからと言っていきなり遊びに行くんじゃない。テストで解けなかったの……――」

 その言葉聞いてめいは大きな足音を立てながら部屋に戻る。父親のお説教が始まったと思うと途端に入ってくる音を右から左に流す……がそれに父親が気づくと……。

 「聞いているのか?大体、こないだ見せてきた進路希望調査表はなんだ?当たり障りのない内容を書きました。と言わんばかりのない内容書いて。」

 父親は優斗の視界に入りながら言う。

 「とりあえず四年制の大学は行った方がいいかなと思ってて、大学はそこそこ勉強して入れるとこを書きました……。」

 父親の顔色を伺いながら優斗は答える。

 「「ふざけるな!」」と父親の雷が落ちる。

 「そんな怒鳴らなくてもいいじゃないの。そもそも優斗の成績学年でも上から数えた方が早いわよ。そうやって威圧的に構えてていると優斗も話しづらいでしょう。」

 「ね?」と優斗の方を見ながら母親が助け舟を出してくれる。

 「成績なんて油断したそばから落ちるものだ。そうやって母さんが甘やかすから優斗が少し怒鳴るだけでだんまりする腰抜けになるんだろう。でも、まあ、怒鳴って悪かった。」

 ばつの悪そうな顔をしながら父親が謝る。

 「腰抜けだなんて!優斗は少しメルヘンチックなとこもある、紳士的でお利口な子よ。」

 母親が父親に言葉を返す。

 「そういうとこを甘やかしてると言うのだが。優斗お前本当に就きたい職業とか興味のある分野とかないのか?」

 「その……。羽柴大夢??」

 そっと優斗が呟いた。

 「「まだふざけているのか!!」」と今日1番の雷が落ちる。

 「お父さん!いい加減ご近所の迷惑ですよ!でも、芸能界いいんじゃない?優斗小さい頃戦隊もののレッドになりたいって言ってたし」

 にこやかに母親が言う。

 「言い分けないだろう!大体、おまえはいつも将来の夢に現実味がないんだ。小学生の時には旅人になるやら、魔法使いになるとか言い出して。」

 父親がこう言うとすかさず母親は「可愛い夢じゃない」と言う。

 「中学生の時には勇者になると言い出して高校入ったばかりの時にやっと公務員なろうかな。と言った時は少し安心したのに次は芸能人になりたいと……。」

 うなだれながら父親が言う。

 「夢は大きくジャンプして届くくらいがいいと思うのだけど?」

 首をかしげながら母親が言う。

 「その夢はジャンプして届くものじゃないだろう。少なくても自分の夢を呟くようにしか言えない奴はな。」

 難しそうな顔で父親が言う。その言葉を聞いていたたまれなくなった優斗はとぼとぼと部屋へ戻った。

 「お父さん言い過ぎですよ。めいも優斗も今日舞台を観に行くの楽しみにしてたんですよ。優斗は優しい子だから自分せいでめいもとばっちりくらったこと気にしてるだろうに……。それにテスト勉強に集中するために好きなものをダンボールに詰めてテストが終わるまで預かってと毎回言ってくるんですよ。」

 母親が父親に諭すように言う。

 「わかってる。テストが近づくといつもリビングにでかいダンボールがあるからな。頑張っているのも優斗なりに考えているのも分かってはいるが、あいつが俺みたいに大学受験に失敗したり、就職したての俺みたいになんで適当に就職先を選んだんだと後悔してほしくないし、何より俺とお母さんが死んだあと食っていけるのか心配でしょうがないんだ。」

 「お父さん、流石にそれは心配しすぎよ……。」

 母親が呆れたように言う。



 父親に言われたことが頭の中をぐるぐる周りなかなか寝付けなくベットの上でゴロゴロとしている。あまりにも眠れないのでスマートフォンを触る。姉ちゃんから通知が来てたのでタップする。「起きてる?父さん寝てるから鑑賞会しない?」と来てた。

「鑑賞会する。」と返信すると「リビングにこい」と返事が来た。

 リビングに入るとお母さんがココアを入れてくれた。

「母さん、ありがとう。」

「どういたしまして。」とおっとりとした返事がくる。

「お母さんも一緒に見てもいいかしら?」

母親が聞くと「いいよ!」とめいが返す。

 画面の中で物語が進むにつれて、今日の楽しい思い出とあの時の楽しい思い出両方が思い起こされ思い出や画面の中の推しへのエモさとあのとき同様の没入感を感じる。そして、物語が終幕すると先程の父さんとのやり取りも思い出して現実のしんどさも思い出す。

 「姉ちゃんさっきはごめんね。ありがとう。」

 めいは首をかしげながら「なんのこと?」と言う。

 「帰ってきたときの父さんのこと……。」

 申し訳なさそうに優斗は言う。

 「あ――。全然!」

 微笑みながら「私の大学受験のときもそうだったしね」とめいが言う。

 「お父さんはね、めいと優斗のことが心配で心配でしーんぱいでしょうがないのだから許してあげて……。」

 優斗から預かった箱を渡しながら母親が言う。

 それを受け取りながら「ありがとう。」と優斗が言う。

めいがはっ!とした表情でいう。

 「今日大学でもらったんだけど優斗これ受けてみない?」

 と1枚のチラシを優斗に渡す。母親と覗いてみると。

 「スカイプロダクション新人発掘オーディション」と書かれていた。

 「いいじゃない!受けてみなさいよ。当たって砕けたとしても何事もチャレンジ精神よ。」

 と母さんは言う。

 「お母さん、当たって砕けるは少し優斗が可哀想よ。」

 姉ちゃんの返しで、母さんは慌てて口をふさぐ。

 普段なら愛想笑いしながらしり込みをするとこだが父親を見返してやりたい気持ちと今度こそは夢だけで終わらせたくないという気持ちが強く心俺の心に残った。

 「母さん、姉ちゃん、俺そのオーディションを受けたい!」

 今までにない強い決意を感じながら言葉を発した。

 「よく言った!弟よー!」

 「お母さんはちゃんと優斗のファンでいるからね!プロフィールの写真とかどこで撮ろうかしら?」

 めいと母親は笑顔で言う。

 誰もいない廊下ではトイレから部屋に戻るとこの父親が優斗の決意を聞いてうっすらと涙を浮かべていた。


  オーディションを受けると決めてからすぐに応募用の服を買いに行った。と言ってもただの白いシャツだ。姉ちゃん曰く白いシャツは写真映えするらしい……。そして、いい感じに殺風景な車で行く距離の大きめの公園に行って写真を撮りに行った。その後、そのままの足で写真を印刷しに行き、応募書類を作成する。

 「姉ちゃん、特技って何書けばいいと思う?」

 めいに書類を見せながら優斗は言う。

 「優斗、中学生まで剣道とか?それ以外にもなんか意外性のあるもの書けば良いんじゃないかな?」

 「うん……。」

 あまり納得してなさそうな顔で優斗が頷く。

 「何が納得してないの?」

 少し不満そうにめいが言う。

 「納得言ってないと言うか……。剣道そこまで強くないし特技って言っていいものなのかどうか……。」

 歯切れの悪そうに優斗が言う。

 「そんなの言ったもん勝ちだし!てか、強くないって言いつつ県大会には1回だけ出場してたじゃん。剣道とか殺陣とかにも生きてくると思うし書いてなんなら書いたうえで練習しとけばいいじゃん!」

 大きく素振りをしながらめいが言う。

 「じゃあ書いてみる。ありがとう。」

 なんとなくのせられた気もしなくないが書くことが決まり少し安心したように優斗が言う。

 次の日、郵便局に無事に応募書類を送った。とても落ち着かない気持ちで家に帰ると母さんと姉ちゃんが仁王立ちで家にいた。

 困惑しながら「どうしたの……?」と聞く。

 「「2次審査の面接の練習でしょ?」」

 声をハモらせながら姉ちゃんと母さんが言う。正直、書類を書くだけで心臓がバクバクで2次審査のことまで頭が回ってなかった。

 「よろしくお願いします。」

 お辞儀をしながら優斗は言う。

 姉ちゃんや母さん、たまに父さんと面接練習しつつイメトレをしてるとあっという間に1ヶ月が過ぎっていった。その間結果が気になりすぎて毎日ポストの中を確認するが結果来ていなく、今日もまだ来てないかと思いながらポストを開けると……。

 ポストの中に入ってた封筒を見て、心臓の鼓動が一瞬止まったような感覚になる。慌てて封筒を開けると「1次審査通過」の文字が目に入る。

 「母さん!1次通過した!!」

 玄関のドアを慌てて開け、靴を放り投げながら優斗は言う。

 「おめでとう!今日はケーキの日ね。夜ご飯のおかずは何がいいかしら?」

 「ハンバーグと唐揚げがいい!」

 母に聞かれると満面の笑みで答える。

 「いつもならどっちかって言いたいけど今日は特別にハンバーグも唐揚げも作るわね。さて、一緒に買い物行きましょ!」

 母が言うと「うん!」元気に優斗が答える。

 その日の晩ご飯のときに1次審査通過した話をすると……。

 「すごい、すごい!大夢君に半歩近づいたじゃん!」

 興奮気味にめいが言う。

 「1次審査通過しただけで事務所に所属した訳じゃないんだぞ。半歩も進んでないだろ。でも、おめでとう。」

 父がそう言うと「ツンデレね。」と母言った。

 「2次審査って特技披露もあるんだね。やっぱ殺陣?」

 「そうしようと思って、買い物行ったとき百均で練習用にプラスチックの刀買ってきた!」

 優斗は少しドヤ顔で振り回す。

 「以外と振り回せるんだね。お勉強用に殺陣のシーンがある円盤貸すね。」

 姉がそう言うと「ありがとう」と優斗が返す。

 「家だけは破壊してくれるなよ……。」

 頬を引きつりながら父が言う。

 そして、2次審査が終わり高校3年生の期末テストが間もなく始まるので勉強してる最中に慌てた母が優斗の部屋の扉を開く。

 「すごいわ!すごい!」

 慌てて振り返ると手に持ってた封筒で優斗は何がすごいのかを察した。

 「もしかして2次審査通過した?」

 恐る恐る優斗がか聞く。

 「そうよ!今日の晩ご飯は何にしようかしら。」

 そんなやり取りもして、1学期末のテストが終わる。そして、すぐに最終面接の日が来る。

 緊張した面持ちで待つ、心臓過去最大に鼓動が大きい。

深呼吸を何度も何度もしているとついに呼ばれる。

 「明光優斗君で間違いないかな?」

 面接官が言うと優斗はうなずく。

 「私はスカイプロダクションの社長の中村秀夫です。難しいと思うけどリラックスして普通の会話をしている感覚で進められたと思っているよ。」

 そう言われるとまだ緊張しつつもにこやかに優斗は返事をする。

 「まずは2次審査で殺陣を披露してくれたんだよね?マネージャーの中で未経験なのに上手で伸びしろがあると噂になってたんだけどきっかけとかあるの?」

 「小学3年生から中学3年生まで剣道やっていて、殺陣はアニメやゲームの影響でよくおもちゃの剣を振り回してました。」 

 優斗が答える。

 「そうなんだね。剣とか棒とか振り回してたりするとお母さんとか怒らない?」

 「怒られるというより怪我の心配されましたね。」

 優斗が言うと中村が「優しいお母さんだね。」と答える。

 「目標にしている芸能人はいるの?」

 中村が聞く。

 「羽柴大夢さんです。」

 「最近、2.5次元で主に活動してる俳優さんだよね。きっかけとかある?」

 優斗が答えると中村が聞く。

 「初めて姉に誘われて観に行ったのがたまたま大夢くんの主演舞台でうまく言えないんですが舞台でキラキラと演技ををしていて原作をしっかり研究しつつ、中にある自分も大切にしていて、気づいたら引き込まれててなんか尊いなって感じました。」

 優斗が言う。

 「尊いか!それはもう本当に好きだね。」

 にこやかに中村が言う。

 「大夢くん君の合否なんだど……。」

 そう言われると優斗はまさかここで合否を聞くことになるとは思わなく緊張した面持ちとなる。

 「合格だ。おめでとう!」

 「本当ですか?」

 ぽかーんとした顔で優斗が言う。

 「本当だよ。」

 「あ、ありがとうございます。まさか今日、合否聞くと思わなくてびっくりしました……。」

 まだ、夢か現実かわからなそうな顔で優斗が言う。

 「なんか反応が可愛いね。優斗君早速なんだけど2.5次元のオーディションの話が来ててね受けてみない?」

 中村はそう言いながら1枚の紙を渡す。優斗が受け取る。その紙には「舞台魔法の国の王子様キャストオーディション」と書かれていた。

 「この作品って今話題の作品ですよね?受けたいです!」

 優斗が立ち上がりながら元気よく言う。

 「いい返事だね。そう漫画原作のアニメ化や乙女ゲー厶もでている。コメディー作品だね。もし、受けるならあまり日がないけど基礎レッスンだけでも受けてから行きなね。今日はこれで面接は終わり。これからマネージャーが来るからレッスンのことを聞いたら今日は終了ね。お疲れ様!」

 そう言いながら中村は部屋を退室する 。入れ替わりでマネージャーが入ってくる。

 「初めまして。優斗君と今回オーディションに合格した子何人か担当することになったマネージャーの白井と申します。早速なんだけどレッスンの日程とオーディションのこと説明するね。」

 「よろしくお願いします。」

 優斗君がお辞儀しながら言う。そして、夕方になる頃説明が終わる。

 「もし、何か分かんないことや不安なことがあったら連絡してね。これから改めてよろしくお願いします。」

 白井が言いながら優斗に手を差し出す。

 「こちらこそよろしくお願いします!」

 優斗が握り返しながら言う。。

 それからレッスンに行き、数週間後オーディションに行った。事務所のオーディションよりも緊張した。これからこの緊張……。よりも沢山の緊張感を味わっていくのだろうとより感じた。

 オーディションから数日後、白井さんに呼ばれて事務所にやってきた。

 「来てくれてありがとうね。なんとなく察してると思うけど今日呼んだのはこないだのオーディションの結果なんだけど……。」

 白井がそう言うと優斗の顔が一気にこわばる。白井はためながら

 「おめでとう……!合格したよ!」

 「え!あ、ありがとう!何役ですか?」

 思わず立ち上がりながら優斗がいう。

 「第4王子のニコルスキー役だよ。実はもう配役一覧が来てるんだけど共演者の方知りたい?」

 そう聞かれると「知りたいです!」と優斗が言う。

 「多分、優斗君すごく驚くよ!」

 そう言いながら白井が1枚の紙を渡す。

 そこに書かれてたのは……。


 第1王子エリス役・羽柴大夢

 第2王子ジャン役・蛍原コウ

 第3王子ゲルティ役・星野拓真

 第4王子ニコルスキー役・明光優斗

 エトヴィン皇帝陛下・田口圭

 アマミー皇后陛下・藤山奈々

 ドニー・末永諒


 こう紙に書かれてた。配役が書かれた紙を見た瞬間優斗は輝いた目をした。

 「嘘でしょ。マジか……。」

 座り込みながら優斗が言った。 

 率直に嬉しいという気持ちと「やったー!」という気持ちが先にきたが、あとから、よく分からない罪悪感やいきなり俺が共演してもよいのか、そもそもどうやって挨拶すればよいか。「大夢君は芸能界では先輩だから軽々しく大夢君なんて呼べない」なんて呼べばいいか。羽柴さん?大夢さん?紙を見て数秒で頭の中が感情のジェットコースターに飲まれたのだった……。


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