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ステゴロ魔法少女の受難  作者: 南部忠相
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第50話 増援

むぅ、早い。

この女性型幽鬼、パワーこそ最初の奴に及ばないが、挙動の立ち上がりが凄まじい。人型であるから全体的なバランスや踏み込みで攻撃の予想がつくため何とか回避できている。これだけは助かった。前に出ようとすれば重心は前に来るし、ステップをかける前には一瞬腰がストロークする。目線は大体の行きたい方向を指し示すし標的をチラ見する。これがフェイントの可能性もあるがそこまでは見ただけじゃわからない。

「エステル戻って!」

「いま、むりっ!」

たつなの声が響く。いや、俺も戻りたいのだがこの槍に背を向ける危険をわかって欲しい。持ち手の位置で突き込みの距離を測って避けている状況で後ろを確認できるほど俺は器用じゃない。

せめてリンの援護があれば、と思った時に人型のアゴが浮いた。たぶん自衛隊の狙撃手が頭を撃ったのだ。これが好機と地面を蹴り離脱する。振り向けば10式戦車が砲を構えていた。あら、格好いい。

射線から早急に離脱する。俺と入れ替わりに轟音を響かせ徹甲弾が人型を襲う。

寸でのところで翼を丸めた人型にガードされる。しかし、威力を殺し切れずに後方へ吹っ飛ぶ。10式は多少俯角を調整し再び人型を撃つ。

弾が当たるたびに鈍い音が響き、羽のようなものが飛ぶ。12~3発撃ち込んだところで射撃が止まった。辺りは人型の羽で白く染まり、抜け落ちた羽が次第に霧散していく。

一瞬の静寂。

咄嗟に装甲板を投げて人型の射線を塞ぐ。戦車に向かって槍を投擲したのだ。ぶち当たって軌道が逸れた槍は電柱を貫通して地面へ深々と突き刺さる。

白い血のような物を流しながら人型は咆哮し、戦車に飛んでいく。それを地面を蹴り抜いて体当たりで止める。戦車、三人乗り、危ない。

「エステル!」

返事をしたいがそれどころじゃない。人型ともみあいになりながら転がり、起き上がりざま拳を打ち合う。軽さを生かして一方的に殴りたいところだが相手も女性型で軽快に動くためうまくいかない。それどころか器用に翼の重心を生かしてわけのわからない挙動で避け始めた。

兜の向こう、鋭い目つきが俺を完全にロックオンした。これが好意だったら嬉しいのだが、人類の天敵の殺意だから救えない。それにしても足癖の悪い女め! 至近距離で蹴りを繰り出せるほど体が関節の可動域が大きいらしい。

疲れを知らない人型と対峙していてこっちはいよいよ足が動かん。人間、乳酸ってもんが溜まってきて活動の邪魔をするんだ。控えめに言ってすごくつらい。いかん、左肩が上がんなくなってきた。でもここで手を止めたら死ぬ気がする。援護が欲しいがこれだけ肉薄しているとたつなのトゥインクル☆スターライトは使えない。それに彼女は接近戦があまり得意ではない。一撃必殺のスターライト☆ナックルに頼った死角からの攻撃しかない。それに加えて自衛隊の狙撃もやり難いように人型が俺との位置を調整している。最悪なのは無線が使えない状況で連携が取れないこと。

危機のチェック、大事。

まっこと、打つ手がない。カウンター、俺の腕の方が短い×。蹴り、同じく俺の足のほうが短い×。武器、無し×。鉄球、来た〇! 人型の兜の様な頭にぶち当たり、鈍い音が辺りにこだまする。

「お待たせっすー!」

人型の頭を叩いた鉄球は空に戻っていく。間髪入れずにみちるのホーリーブレードが人型を追い立てていく。その間になんとか距離を稼ぐことが出来た。点で攻撃できる二人、頼もしいぜ!

「ちょっ!大丈夫なの!?」

「いきてる」

心配そうなみちるの問いかけにようやっと答えた瞬間、戦車が再び火を噴いた。


リンとみちるは別件を片付けてから来たため遅れました。

遊んでたわけじゃないんです。

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