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ステゴロ魔法少女の受難  作者: 南部忠相
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第43話 反省

「だからね? 危ないと思ったらいったん帰ってくるのも作戦なんだから無理に倒そうとしなくていいんだからって聞いてる?」

「はい…」

病み上がりのはずの俺はベッドの上に正座してたつなの説教を食らっている。リンもついでに怒られているのが可哀そうだ。さっき「もう怒られたっす!」と抵抗しようとしたが、力で黙らされた。容赦なし。

ここでドアが勢いよく開き、報告で遅れていたみちるが登場した。静かに怒るたつなを見て一瞬面食らって表情をなくしたみちるが破顔する。すぐに取り澄まして怖い笑顔で説教するたつなの肩をポンと叩いて話し出した。

「だれも命を粗末にしたいわけじゃない それくらいにしてあげて?」

みちる先輩もたまにはいいことを言う。たつなは一つ溜息をつくともう一度抱きしめてくれた。

「本当に心配させないで いつも去石が助けてくれるとは思えないし、手遅れだってあるんだから…」

心配のかけ過ぎでたつなのキャラも変わってきた。すっかりお母さんみたいになっている。

「ごめんなさい」

「申し訳ないっす」

とばっちりのリンも勢いで謝る。なんだか申し訳ない。彼女は結構雑な扱いでも臨機応変に対応して人に化けたアンフィスバエナを撃破してくれた。もう少し攻撃が遅れていたら俺は死んでいただろう。

「はー…ひとまず出ようか? 病院もベッドが足りないからね」

たつながまた溜息をつく。

ただでさえ人が集まる病院は幽鬼が出現しやすい状況にある。そのため警備員として国から認可を受けたPMCを常駐させている。だが、戦力が有っても戦闘があれば経費もかさむ。出現自体を少しでも減らしたい病院は病床は半分に減らし、通院も完全予約制にしている。NBKや一部のPMCはその特殊性のため優先的に使わせて貰っているが、あまり長居しては民間人からの評価が下がってしまう。入院してばかりいる俺が言えたことではないか。

「とぶの?」

病院の事は置いておいて今の懸念事項はそこまでの移動がどうなるかだ。このバトルフォーム(呪)は防寒性がほぼ無い。防寒着が無い今の状況では拷問以外の何物でもない。確認、大事。

「今日は車を持ってきているんだ」

みちるは楽しそうにスマートキーを振り回す。NBKモディファイワンボックス車、これで移動中も寝られる。睡眠、大事。

駐車場に待機する車へ駆け寄り、いそいそと真ん中の座席に乗り込み占拠する。この車、吾味が警戒するために後部座席の背もたれを取ってしまっているから実質5人乗りだ。面白いことに四輪すべてにハイパワーモーターが搭載されたAWD。4Lターボと同じパワーがでるらしい。運転したことは無いが坂道だろうが悪路だろうが滑るように走る。車高調もバネではなく油圧、電子制御のすぐれもの。真ん中の座席はすごくよく眠れる。

「ちょ、エステル狭いっす!」

「うしろ、あいてる」

「ひどいっす!!」

悪いがここを譲る気はない。いつも移動でひどい目にあっているのだ。車があるときくらいはわがままを貫く。というか吾味が戻ってくるまで背もたれを付けていても良いんじゃないか? もしや捨てたのだろうか。

疑問は尽きないがゆっくりと車は進む。46号線を抜けて国道4号線へ合流、南下を始める。目的地がいまいちわからないが寝て起きれば到着しているだろう。リンの小言を子守歌に意識を手放した。


モーターは強い子ですねー

0kmからの加速が異常に早いです。しかもエンジンに比べて音がほぼない。

あんなの反則ですね。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 報告で遅れていたみちるが登場した。一瞬みちるの顔がにやける。 若気る(にやける) 男が女のように、色っぽい様子をしていること。 元々は男色の対象になった少年のことを指す。
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