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ステゴロ魔法少女の受難  作者: 南部忠相
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第24話 休日申請

「やすみ、ほしいです」

使用許可をもらった宿泊施設に向かう車内でポツリと言ってみる。

「俺もだ」

一蹴された。

廃校での戦いから一週間、日に五回程出撃する日が続いている。幽鬼は昼夜問わず出現して俺の睡眠を妨害する。おかげで随分戦いにも慣れてきて最初の様に取り乱すことも無くなった。小さい体の使い方にも慣れ、今では一人での出撃も増えた。

しかし、慣れたとはいえさすがに連日連夜の戦いで疲労感が半端ではない。車が一台しかないので別行動だと走って移動しなければならないことも疲れの原因だ。あの変な魔法のおかげで車より早く移動できるようになった。そのせいで容赦無く()使()()へ駆り出されて移動中に寝ることができなくなったのだ。つらたん。

「ま、可愛い後輩の頼みだ 半日… いや、明日はなんとかしてやる しっかり休んでくれ」

さす吾味。惚れちまいそう。

とにかく今日を乗り切ればゆっくり寝られる。吾味には申し訳ないが久しぶりの休みを堪能させてもらおう。代わりと言ってはなんだが今日の残りは俺が頑張る。現在午後4時、いつもならここからに二、三件くらいは出撃依頼が来る。

「ありがとうございます きょうはおれがやります」

「・・・そうだな、柿屋敷君もだいぶ仕事に慣れたし大丈夫か それじゃ、今日は任せた 俺は寝る、何かあったらすぐ呼ぶように」

そう言うと吾味は無線を指差す。安心感はあるがそれをつけたままだと休めないんじゃないだろうか?

「はい」

過保護な吾味へ返事をしてからホテルへ到着するまでの僅かな時間休む。毛布をかぶってもぞもぞしているところで無線が無慈悲に出撃を告げる。

『い4中央コントロールから警邏隊へ、矢巾流通センターにて幽鬼出現報告、規模不明 繰り返す…』

「早速お呼びだ、送るか?」

「だいじょぶです、はしります」

現在は国道4号線で三本柳を通過して北上中、雪は積もっていないから俺の足ならば15~20分程度だ。路肩に停車してもらって別れる。

「怪我しないように気をつけろよ それと、君の部屋は別に取ってあるからフロントにNBKだって言ってくれ」

「わかりました、いってきます」

お察しの通りまだ家は手配されていない。急な出現率の上昇に拠点を一か所に取れない状況が続いている。たつなもみちるも帰ってこれずに一か月程経とうとしている。恋しい。吾味がいるからまだいいが、二人はどうしているだろうか? 撃破ポイントがかなり溜まっているから二人にも贈り物をしたい今日この頃。吾味には酒を送ってみた。だが、喜ばれた反面飲む時間が無い生殺し状態。申し訳ない事をした。だから、今飲んでくれていることを期待する。ちなみに自分用には防寒具とフルフェイスのヘルメットを貰った。みちるの作ってくれた以下略。

それにしても明日の休みはどうしよう。ただ寝ているだけだともったいないが、外に出ると疲れる。せめて食料品でも買いに行こうか悩む。しかし、ホテル暮らしになってから自炊できない。惣菜なんかならいいだろうがそれならルームサービスを呼んだ方が美味い。

ちなみに、ホテル業界は苦境に立たされている。宿泊者が多ければ幽鬼を呼び寄せるとか言われて反ホテルデモみたいなものが行われたこともあるくらいだ。だが、幽鬼によって追い出された避難民を国からの要請で受け入れて綱渡りのような営業を続けている。

そんな彼らに救われたのが根無し草のNBK岩手支部、つまり俺たちだ。与えられた給料をホテルにガンガンつぎ込んでいる。やって貰えるって楽だ。給料を使う先が食い物かクリーニングくらいしかないため出し惜しみしなくていい。幸せ。

関係ないことを考えながら走っているとようやく現着した。そこで俺は目を疑うことになる。

そこには絶叫する“人型”がいた。

吾味さん、酒飲んじゃったかな…

自分が休むと同僚が苦労する

そんな事を思う時代が私にもありました。

でも、悪いのは1人休んだだけでにっちもさっちもいかなくなるようなシフトを組む会社なのです。

恐惶謹言

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