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ステゴロ魔法少女の受難  作者: 南部忠相
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第23話 廃校での戦い、決着

警官達のいぶかしげな視線が痛い。原因はそう、俺だ。吾味はジグザグに移動しながらなぜか警官達と合流したのだ。4人の警察官は小脇に抱えられている俺を逃げ遅れた一般人だと思っていたらしい。言いたいことは分かる。

「その眠そうなのが例の子か!?」

あら、お知り合い? RV車に鉄板をくっつけただけの簡易的な装甲車の陰で一人の警官が疲れた顔で叫ぶ。撃ち合いになっていてすごくうるさい。ナーガの弾でバチンバチンと車が揺れる。

「あぁ、さっき投石でナーガを吹っ飛ばした」

そういえば吾味は元警察官だったと言っていた。知り合いがいても不思議じゃない。しかし、俺の事は警察官に教えていい内容だったのだろうか? いずれにせよこの状況で悠長に自己紹介をしているわけにはいかない。

「かきやしきです」

「大杉田だ」

「早速だが作戦変更だ、柿屋敷君の投てきで殲滅する 彼…彼女の援護に当たって欲しい」

なんだか吾味が偉そうに指示しているが大丈夫なのだろうか? 疑問が増える。大杉田以外の3人が苦虫を嚙み潰したよう顔をしている。急にやってきた子供にやらせるとか確かに正気を疑う内容だ。気持ちはわかる。

「わかった しかし… お前を疑いたくはないが大丈夫なんだろうな?」

「あぁ、言ってなかったか? 人型を倒したのもこの子だ 心配ない」

ハードルが上がった。

「がっこう、こわれるかも」

「いいさ、どうせ使われてない 気にせず投げろ」

ええい、儘よ。 無駄にジャストフィットする石を握り込み、警官隊の後方からナーガを狙う。300m近く離れた場所からさっきよりも力を込めて腕を振り抜く。胴体を狙った石は爆音を響かせて瞬きよりも早く飛ぶ。今更気付いたことだが、手から離れる瞬間に指をひっかけて回転を付けるように投げていた。何この自動補正、怖いくらい有能。飛んで行った石ころは吸い込まれるようにナーガへと到達して腰から上を粉砕する。

「・・・あと三匹だ、油断しないように」

吾味の指示に頷いてあっけにとられる警官を横目に再度腕を振り抜く。さっきと同じように胴体を狙ったが少しずれて頭を直撃してスイカの様にはじけた。次の石は少し大きめだったためさらに力を込めて投げる。すると柱に隠れていたナーガを柱ごと粉々にした。とても教育の場には似つかわしくない状況は警官の目にどう映っているだろう。俺は自分のことだが恐怖を感じる。握手しようと手を出されたら無視してしまうかもしれない。

「最後だ、気を抜くなよ」

敵に頭を上げさせないように牽制射撃をしている警官のおかげで狙いたい放題、しかも遮蔽物は無視してもいい威力だからボーナスタイムだ。すこしナーガが可哀そうに思えてくる。と、思ったところで窓際まで出て来たナーガが警官に狙撃されて戦闘が終了した。刺し違える覚悟だったのだろうか? 途轍もなく締まりの無い終わりに肩透かしを食う。それでも早期決着は好ましい。学校は廃墟と化してしまったが、きっと大丈夫。だから給料からの天引きとかは無いと信じたい。

「作戦終了だ はい、みんなにもお礼を言うように」

「ありがとう?ございました」

言われるまま練習試合が終わった時の様にお辞儀をした。だが、こちらが手伝ったのだから少しくらいお礼を言われてもいいのじゃあないかと思ってしまう。もっとも彼らは普段から命を張って市民を守ってくれているのだから感謝は正しい行動か。そんなことを考えていると防弾ベストとヘルメットを着込んだ女性警官が前に出てきた。

「偉かったね、カッコよかったよ!」

紅一点は飴をポケットから取り出して俺の頭を撫でながらそれをくれる。食べ物をくれる人はいい人だ。うれしい。

「ありがとう」

礼を言って受け取る。パイン味だ。沖縄産だろうか? この対応を見る限り俺が成人男性だったことは伝わっていないらしい。

「それじゃ大杉田、あとはよろしくな」

「あぁ、わかった そうだ、今度一杯付き合えよ」

「休みが取れたらな」

あぁ… 薄々感じてはいたが、この短い会話で休みが確定じゃない事がわかってしまった。目が覚めてから一週間、休みなく転戦している。起きたその日から出撃とか完全にブラック企業だ。もっとも三人は俺よりも出撃回数が多いから俺が弱音を吐くと申し訳ない気がする。

「さ、帰るぞ」

大杉田に挨拶を済ませた吾味と車に戻る。辿り着いた瞬間三度目の出撃要請が来るとは思いもしなかった。

ナーガタイプは美人揃い。

残弾∞とかチートっスね!

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