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ステゴロ魔法少女の受難  作者: 南部忠相
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第20話 反省点

車の中、吾味の準備してくれたコーヒーをすする。コーヒーと言っても原料はたんぽぽの根だ。焦げ臭いがただの水よりはちょっとだけ落ち着く。旨くは無いがまずくも無い。

「それで、柿屋敷君 今回の反省は?」

「・・・・」

反省点、まずは素直に適性検査に応じたところから反省しなければならない。あそこで逃げていればあるいはこんな事態に巻き込まれなかったかもしれない。口をへの字にして考えていると吾味が口を開いた。

「…とりあえず落ち着いて行動しよう 君は幽鬼を見たら体が強張って実力を発揮できてない こればかりは慣れだからしょうがないところもあるが、それで命を落としたら後悔すらできない だが最後の一撃は良かった チャンスを逃さないのは生き残るのに必須だからな」

もっともだ。俺は家族の分まで長生きしなければならない。こんな訳の分からない状況で死ぬわけにはいかない。適度な緊張、これを目標にしよう。頷くと吾味は続けた。

「次に、君が使える魔法は身体強化一点 これをうまく使うために立ち回りを考えよう」

「たちまわり…」

「そうだ、さっきのオウルベアも膝から下をへし折れば立っていられないのだから小回りを生かしてin fightするべきだった」

狂ったフクロウ顔のクソでかい幽鬼を前に飛び込めというのは酷じゃなかろうか? こちとら二十年連れ添った体を失ってちんまい少女になった一般人だ。命をかけたやり取りなんか無縁の人生を送っていたのだから急にそんなこと言われても、その、困る。

「どうやってころばせたんですか?」

「ん? あぁ、爆裂徹甲弾だ 膝に撃ちこんで転倒させた 焼夷徹甲弾じゃ効果の薄い敵にもこれなら効くことがある ま、高いから何発も撃てないがな」

「つかいたいです」

「残念だがそれはできない 柿屋敷君が素手で人型を倒したからって訳じゃあなくて、魔法少女の運用に武器は想定されていないんだ」

holy shit

「どうして?」

「自衛隊戦力を温存するために許可が下りた魔法少女の実戦投入、その子らに武器を与えていたら本末転倒なんだ まったく度し難い話だとは思うがな」

素手確定。

そこらへんに落ちている物でも投げてみればいいだろうか? ただ近づくよりも多少は嫌がらせができる。人類の最初の武器は石だった。このご時世に原点回帰… 怖すぎる。

「だが、柿屋敷君なら武器が無くてもどうとでもなるだろ 石を投げればそこらの銃より強力な打撃を与えられる」

「えへぇ?」

ちょっと何言ってるかわからない。

「自覚が無いのか? 戦車砲すら止めた人型を殴り殺す身体能力だぞ? そんな君がライフルの弾頭よりも重い石を投げてみろ、そこらの幽鬼は吹っ飛ぶぞ 当たるかどうかは別だけどな」

原点よありがとう。俺、戦える気がする。

「れんしゅうしてみます」

「その気になってくれて助かる、三枝木さん… 偉い人から増員の知らせは来たが、配属は県北になるって話だ しばらくは俺と柿屋敷君で県央地域を守ることになる」

「じーざす」

おっと声に出てしまった。親が死んだ時に神はいないと思ってはいたが、困った時のなんとやら… こんな時は頼ってしまう。いぶかしげな吾味にニッコリと微笑み有耶無耶にする。

「ま、なるようにしかならんさ 仲良くいこう」

「たよ、りに…してます」

「あぁ、わかった 少し寝てろ」

早く二人とも帰ってこないかな。撃破ポイントも貯まってきたから、みんなでいいものが食べたい。肉、米、魚、いや、芋じゃなきゃ何でもいいかもしれない。…ねむい…

「ごミ…ン…」

「いや、話しかけてから寝るなよ…」

バッテリーが切れたように寝る人、いますよね!

そんな感じ、です、はい。

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