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ステゴロ魔法少女の受難  作者: 南部忠相
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第11話 さぁお試し

「それじゃ張り切っていこー!」

「…おー…」

眠い目を擦りながら到着したのは盛岡市の外れにある山中の採石場。どちらかというと紫波郡に近いがそんなことはどうでもいい。採石場に着くなり国引さんは右手に光の玉を作り出し岩盤に放り投げた。その時点で理解を越えたがそれが接触するなり岩は砕け落ち1~2mほどの大きさの石が山ほど出来上がった。

「いつ見ても不思議だな」

リアクションを取れない俺に代わり吾味さんは気持ちを代弁してくれた。華奢な見た目の女子高生が岩を砕くなど不思議以外の言葉が見つからない。

「ぷふふっその、えーっとぶふっ!トゥインクルふふふなんだっけ?」

「死ね!」

みちるちゃんがからかうように言うと国引さんは容赦ないボディブローで彼女を黙らせる。速攻を受けたみちるちゃんは口から何かキラキラしたものを吹き出しながら崩れ落ちた。目にも留まらぬ早業が恐怖を感じさせる。

「とぅいんくる…」

「そこは触れないで? つけたくてつけた名前じゃないの、わかる?」

「はい、すみません」

顔は笑顔だが初めて彼女が怖いと思った。あまり深く聞くとみちるちゃんの二の舞になりそうなので言葉を飲み込む。

「それじゃ早速あんな感じで頑張ってみて!」

「いや、コツくらいは教えた方がいいんじゃないか?」

さす吾味。聞きたいことを先回りしてくれた。なんの予備知識もなくやれと言われても勝手が分からない。トゥインクルの続きも気になるが命に直結する“魔法”の方が重要だ。

「えーっと、バーン!って感じでやればだいじょぶ」

「…?」

吾味さんの方を見る。フェイスシールド越しだが困惑しているのが見て取れる。みちるちゃんの方を見る。お腹を抱えたまま固まっている。これはダメだ。

「もうちょっとくわしく…」

国引さんは困った顔で首をかしげる。この子は天才肌のようだ。一発でできる人たちは教えるのに苦労するらしいが正にそれだ。

「ぬーんってやってバーン! ダメ?」

ぬーんが増えただけでさっぱり理解できない。

「ごみさんは…?」

「すまん、俺は知らないうちに配属された元警察官だ “魔法”は使えない」

吾味さんも逃げられなかった被害者のようだ。残念ながらコツを聞くことはできなかったが、俺にはアニメやマンガというバイブルがある。きっと物語の主人公の様に集中してそれっぽい魔法を唱えればうまくいくに違いない。

「…ふぁいあー!!」

「…」

「……」

「ふぁいやー!!!」

「かわいい…」

あの変態起きていたようだ。姿勢は変えずに顔だけこっちを向いていて怖い。火は出なかったが顔から火を噴きそうだ。

「みちる、笑ってないでコツを教えてあげてよ」

握りこぶしを作って笑顔で国引さんが言う。変態はやおら立ち上がると手を空へ掲げた。

「ホーリーブレイド!」

みちるちゃんの呼びかけに答えるように光の剣が無数に飛び出し宙を舞う。彼女が手を振り下ろすとそれらは転がった巨石に深々と突き刺さりあっという間に割ってしまった。

「いつ見ても不思議だな」

ずるい。自分がどんな魔法を使えるかはわからないが、みちるちゃんの無駄に格好良い魔法を見た後ではすべて霞んでしまう気がした。

「魔法少女が使える魔法は一人につき2~3個、ゲームみたいにたくさん使える訳じゃない 私はあと3つ使える けど、今のが一番強い魔法なんだ」

みちるちゃんは人差し指をたてて歩きながら続ける。

「たつなは言わなかったけど集中すると頭の中のさらに奥、魂というのか かすかに聞こえるんだ “私を呼べ”と」

格好いい。ポンコツは返上にしよう。とにかく集中していれば魔法の方から呼びかけてくるらしい。

「とぅいんくる…」

「そう!たつなの魔法は“トゥインクルスターライト”頭痛が痛いみたいなあ゛っ」

みちるちゃんは再び沈んだ。鋭い一撃は吾味さんも捉えられなかったようだ。

「さ、ぬーんってバーンって!」

「お、おー!」

視界にみちるちゃんが入っていると気が散るので目を閉じる。とりあえず集中だ。

特訓、いい響きだ。

よろしくお願いします。

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