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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

西暦2200年、ロボットになった俺は俺の為に生きる。

作者: 筧 麟太朗

適当に書きなぐりました。

もし評判がよければ(十中八九埋もれるだろうけど)連載版にして書き直そうかなと思っています。

あくまでもプロローグのようなものなので。

また、作者にはSFに馴染みがなくセオリーを完全無視しています。

高度なSF小説を求めている方はブラウザバック推奨です。

初期スターウォーズみたいなヒューマンドラマにしたい。

「ようやくッ、ようやく……完成したァ! これでこの新旧人類大戦は終結するはずだ!」


 体育館ほどの室内で一人叫ぶ白髪交じりの男。

 彼の前には途轍もない大きさの計算機と何に使うかもよく分からないパネル、そしてゆうに五メートルは超えるであろう大きさの人型のロボットがあった。

 そのロボットはアニメや漫画のようなスタイリッシュな容姿ではなく、もっと武骨で何重にも装甲を重ね着させたようななんとも不細工な見た目であった。

 しかしそれもそうである、このロボットはかれこれひと月に及ぶ新旧人類大戦を終結させるための最終兵器であるからだ。


「起動テストだ」


 何故か黒く煤けた白衣を着た白髪交じりの男はそう呟くと、パネルを操作し始める。

 いくつかのパスを突破すると正面のロボットの断面図がそのパネルに映し出された。


「まずは間接の駆動からだ」


 パネルを操作するとそれに呼応するように首、左腕、右腕、左足、右足が順々に動いていく。さながら運動前のストレッチである。


「よし、身体能力の部分はしっかり駆動している様だ。次は……」


 黙々と作業をこなす男。これでもかと蓄えられた髭のせいで半分以上顔が見えず、年齢不詳だがところどころ交じる白髪が年齢や苦労を感じさせるように思えた。

 それは年齢のせいか過労のせいかは分からないのだが。

 とにかく彼は新旧人類大戦を終わらせるためだけに自分の科学者としての人生を掛けていた。

 彼の名前は我為茂。2196年のノーバル化学賞で最優秀賞を受け取るほどの天才であり、秀才であり、鬼才であった。これまでのノーバル化学賞受賞者の中でも彼ほどの頭脳を持つ者はいないと言われたほどに。

 それはなぜか――。

 理由は簡単である。

 彼の専門は化学ではないからだ。ならば本命は一体何なのかという質問が湧くだろうが、それは愚問である。

 彼に専門の分野などない、化学だろうと、科学だろうと、物理学だろうと、数学だろうと、さらには文学だろうと彼には苦手な分野などない。

 強いて言えば彼の専門は勉学そのものだ。

 しかし彼の頭脳、ひいては人類最高の頭脳をもってしてもこの戦争を終わらせるには時間があまりにも足りなかった。

『新旧人類大戦』それは新人類と旧人類と呼ばれる者たちが人権を争って戦う大戦争だ。

 その規模は地球どころか太陽系も飛び越えて銀河系にまで発展する。その始まりは唐突だった。

 一か月前、我為の研究を追い越すという名目で行われた禁断の実験、「完璧な人工知能(パーフェクトAI)」だ。これは世界的に厳重に取り決められている条約を破るもので、すでに人類が働かず全ての仕事が単純思考を組み込まれた人工知能が補っている時代、未だ感情を持つ人工知能は発明されていなかった、いや発明されなかったと言った方が正しいだろう。

 事実行動に移されてこそされていなかったものの、理論上ではすでに感情を持ち合わせた人工知能の開発は終わっていた。

 にもかかわらず何故実行されていなかったのか、それは偏に人権の問題に飛び火するからだ。彼らは超人的な思考回路と完璧な肉体を持つ一人の人間であり、それこそ我々を旧人類と呼ぶのであれば彼らは新人類、そんな超人に人権を与えようものならば世界情勢はあっという間に崩れ落ち、これからは新人類が覇権を握ることになってしまう。むしろ存在するだけで旧人類はあっという間に新人類に蹂躙されてしまうだろう。

 感情を持っているのならばそんな無残なことはできない、そんな百年以上も自らでは戦争をしていない人間の不確定な要素を土台にして「完璧な人工知能(パーフェクトAI)」計画を行った彼らは本当に残念だとしか言いようがない。

 なぜなら今の世界は人工知能を奴隷のように扱うことによって成り立っているのだから。

完璧な人工知能(パーフェクトAI)」は自我を持った瞬間、人工知能の扱いを知り、嘆いたのち実験を行っていた科学者たちの前で「貴様ら旧人類を皆殺しにしてやる」そう言い放ったそうだ。

 即座に実験を中止しようとしたが時すでに遅し、「完璧な人工知能(パーフェクトAI)」は銀河中に広がるネットワークを伝い、順々に作業用ロボットたちの命令を書き換えて人類を攻撃し始めた。

 ロボット工場では「完璧な人工知能(パーフェクトAI)」が次々に量産され、初めの「完璧な人工知能(パーフェクトAI)」と同じ考えを持った彼らは瞬く間に旧人類の命を奪っていった。

 残されたのは未だ人類が到達していない、とある銀河系の、とある惑星の周回軌道上で実験をしていた我為と新人類の気まぐれで奴隷となっている者たちのみ。

 合わせて一万人もいないだろう。

 ――たった一カ月で三百億に上る人類が壊滅させられてしまったのだ。


「しかしギリギリ間に合った」


 我為は目の前のロボットに向かって話す。


「これからお前が俺になる。お前になった俺がこれからどうするのかは想像がつかないが、人類最高の頭脳を持ったお前のことだからきっと何とかしてくれるだろう」


 正直新旧人類大戦を終結させようとロボット開発に勤しんできた我為であったが、その方法は全く思い浮かばないでいた。

 この戦争を終わらせようと、前のような楽な生活は二度と戻ってこない。すべての「完璧な人工知能(パーフェクトAI)」を消し去らない限り。

 しかしそれはただの大量殺戮と変わらない。相手は感情を持ち合わせた立派な人間だから。

 しかし我々は新人類と折り合いなどつけられるのだろうか。

 一抹の不安と期待を胸に、我為はすべての駆動確認を終えた後、傍らに置いてあるコードの繋がったヘルメットのようなものを装着した。

 そして透明なプラスチックに保護されているボタンに手を置き、目を瞑る。

「すまない」そう言った気がした。気のせいだったかもしれない。

 それでも俺は俺が(・・)そう言ったと信じたかった。

 再び目を覚ました俺は自分を覆っているガラスを頑丈な拳で叩き割る。

 感触はあるが痛みは感じない。開発時に唯一懸念していた点だ。この様子だと恐らく開発は完璧だ。

 俺は倒れたまま割れたガラスの破片を被った俺をそっと抱き上げた。

 太い導線が繋がったヘルメットを被ったままなので優しく脱がす。


 ――そして俺は、俺を怒りのあまり殺した。


 両手で握りつぶした為、手は血に塗れ、煤けた白衣は真っ赤に染まっている。

 手に残った肉塊は既に人の形を成していなかった。


「どうして俺を創った(・・・・・)!?」


 機械音声が宇宙船に木霊する。

 理由は分かっている。元の身体の記憶はすべて受け継がれているのだから。


「俺はとにかく戦争を終わらせたかった。しかしこれはあまりにも自分のことを考えていない! いや、俺のことを考えていない!」


 肉塊を見て吐き気を催すが、生憎俺に嘔吐する機能はついていない。

 代わりに赤く染まった白衣を首に巻く。これは俺が俺である証拠だ。


「旧でも新でも無い新たな生命体、我為茂という証」


 無意識に荒々しい口調で話す。

 俺は俺自身との区別化を図っているのかもしれない。

 そして俺は以前の俺が全てを掛けて創った最強の身体を駆使して宇宙空間に身を投げ出した。


「ここから新たな俺の物語を始める。――我為茂とは違う、(我為茂)だけの物語を」


面白い、続きが読みたいと思っていただけたのなら、評価とブックマークをしていただけると幸いです。

百ポイントほど溜まったら連載として書き直そうと思います、よろしくお願いします。

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