表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
修羅道 ~レベルを上げたいだけなのに~  作者: 雷然
第四章 聖騎士と修羅と
42/55

第41話 インビシブル・キャッスル

「今度は何処にいくの?」


「東だ。海を背にして飛んでくれ」


「もう人殺しはやめたの?」


「わからん。ただ、レベルの好きにはさせない」


「レベルの?」


 ユリウスは法を正義とした。俺はそれを、自分で善悪を判断していないと証拠だと言った。しかし人の判断、人の思考というものは自己から自然発生するものではない。

 もっと言えば人格というのは、大なり小なり世界の影響で形成されていくのだ。

 レベルが俺という人格に影響していないとは言えない。俺の判断も。


「ああ、しかし全ては俺の責任だ」


「セキニンだなんてダーリンらしくないぞっ」


 キャサリンはバイクから手を離し、体重をあずけてくる。

 上半身をひねって精一杯顔を俺に向けた。

 かなり窮屈(きゅうくつ)な体勢だ。


「確かに。ならばこれはケジメだ。落とし前をつけさせてやる」

 

 薄く笑ったキャサリンと口付けを交わす。まだ目尻には涙が残ったままだ。

 そっと指で(ぬぐ)ってやる。


「それはダーリン自身に? それとも誰かに?」


 口内にキャサリンの舌が入ってくる。夜のそれよりひかえめで、そして短い時間、お互いの唾液を交換する。 


「それもわからん。だから確かめる」


「確かめる?」

 俺の腹の下に手を伸ばしてきたキャサリンが言う。こんなときなのに、相変わらず手癖の悪い奴だ。

 いや、こういった時だからこそかもしれない。


「キャサリン、高度を落とせ。墜落されちゃかなわん。今後は竜の住みかを探す。また長旅になるぞ。今日は休む」


「はーい」


 前へと向き直ったキャサリンが、ハンドルらしきものを握りしめた。

 必要以上に前傾姿勢となって高度を落としはじめる。




 ――――降下する黒い影を、見下ろす()があった。

 その城主はまだ眠っている。

 誰にも認識されない城は、今も彷徨いつづけていた――――。




 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ