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修羅道 ~レベルを上げたいだけなのに~  作者: 雷然
第二章 温もりと殺戮と
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第14話 チンピラ誕生

 それから4日間が経過し、予選の全てが終わっていた。


 今から本戦トーナメントの為の、抽選会が実施される、トーナメントはそこから更に2日後だ。

 俺とキャサリンは本戦の会場でもある抽選会会場へ向かった。

 会場にはくじ箱があり、司会に呼ばれた人間が壇上でくじを引く。

 「剛剣のウォード!」司会の呼び声に、体格のいい男が壇上へ向かう。

 男が引いたくじを司会に渡し、司会が読み上げる

 「剛剣のウォード! 6番!」

 元々、騒然(そうぜん)としていた会場が一段と音量を増し、巨大なトーナメント表に魔法の筆で大きく「剛剣のウォード」と名前が書かれる。

対戦相手の位置には「鋼のギュスターブ」と書かれてあった。どうやら1回戦から好カードらしい。


 「チンピラのムサシ!」

 司会が次の人物の名前を読み上げる。

 俺と同名の人物がいるらしい、それにしてもチンピラとは嫌な通称だ、きっとろくでもないことをした(やから)なのだろう。誰も壇上にあがらない、チンピラらしく遅刻でもしているのだろうか?

 司会と目が合う。

 「刺青のキャサリンと同棲中の! チンピラ! ムーサァーシィィー!!」

 なるほど、チンピラとは俺のことらしい、登録書の住所にキャサリンの家を書いてしまったせいか個人情報までバラされてしまった。

 キャサリンはまた、いつかのように顔を赤くしている。

 周囲からはヒソヒソと声が聴こえてくる。

 壇上にあがり、くじを引く俺を何を勘違いしたのか、司会者はこれでよかったんだろう? みたいなアイコンタクトをしてくる。

違う、俺は名前を売りたかった訳でも同棲自慢をしたかった訳でもない。


 くじ引きが終わりキャサリンの横に戻る俺に「よっチンピラ!」とか「ヤリチン!」とか声がかけられる。

 メンチ切って黙らせておいた。

 その後もくじ引きは続くのだが俺はさっさと帰ることにした。


 「あーもうダーリンまってよぉー」

 通称がチンピラになってしまった元凶が後ろからついて来る。

 「お前のせいで俺はチンピラ扱いだぜ、やれやれ」

 「えーどっちかと言えばムサシ本人のせいよー、そりゃ私も評判悪いけどさぁ」

 「ほらムサシこのまえ大通りの横で暴れちゃったじゃない?それにその服。明らかにカタギの服装じゃないよ、家に男物の服なんてないし早く買わないと」


 無法島で奪ってきたこの服、この世界のセンスではチンピラっぽいらしい、俺としては山賊っぽいな。と思ってたがよくよく考えたら山賊もチンピラも似たようなものだった。

 「キャサリン、念のために聞くが金あるか?」

 「ない、セイゼイカセイデコイ」

 何故か急にカタコトになり否定される。


 本戦出場者には全員賞金が出るのだが、賞金アップのために真面目に勝ち残る必要がありそうだ。


 しゃーねーな。




 翌日、町中に配られたチラシにはトーナメント表と本戦出場者全員のプロフィールが掲載されてある。

 ご丁寧に顔の似顔絵まで書かれてある。それも写真と見間違うレベルの絵だ。

 一昨日(おととい)、本戦出場者全員が決まったところなのに恐ろしい手際の良さだった。


 「おいお前ー明日誰にかけるー?」

 「せやなーとりま、ナイトオブロアーヌ・聖騎士ユリウス様は外せないとして、・・・・」


 「絶対当たる!?予測魔法のお店。ギーサだよー。皆様ーウチの予測を買わないかー?」


 街が五月蝿い。トトカルチョも盛んなようだ。




 ――いよいよ本戦が始まる。

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