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僕と彼女と英雄の裏物語  作者: ヴィンディア
第2章 亜人種の住処

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12話 大森林の出口

短めです。

「アリ!アリ!」


「ん?リフィ、お腹空いた?」


「あう!ごはん!」


 ここ最近は正確なリフィミィの腹時計で昼時を察知する事も多い。この日は晴れ間がのぞき、太陽の昇っている位置もわかりやすかった事もあってアリエッタも昼時なのは察していた。それでも、なんとなくいつものやり取りをするまでは切り出さないのは、アリエッタ自身がそのやり取りを楽しんでいるところがあるからだった。

 リフィミィの正確な歳はわからないが、見た目だけなら人の三歳児程度で、体の大きさも同じ位の歳の子と大して変わらない。巨人鬼の子という事を考えれば、もう少し大きいのではないかと二人も思ったものだ。巨人鬼の中でも小柄なのか、巨人鬼の子はそもそもこれくらいの歳だと小さいのか判断はできないが、今のところは大きくないのは幸いだった。ゆくゆくは大きくなるかもしれないが、そうなったらその時に考えればいい、そう二人とも考えていた。


 一行は移動を止め、開けた場所を探して陣取ると一時の休息を取る。ネマイラを出発した時は二人だった事を思えば随分と賑やかになった。


「あー!!リフィがわたしのお肉取ったー!」


「にひー」


 そう、エレアはまだ付いてきていた。当の本人は


「アリエッタ大好きだから、ずっと付いてく♪」


と言っているが、どこまで本気なのかアリエッタもエメラも真意を測れずにいた。

 小さな干し肉を加工した料理と呼ぶのも苦しいような食べ物で争奪戦を繰り広げて、やいのやいの騒いでいるリフィミィとエレアを見ていると、アリエッタの気持ちも和んで軽くなってくる。


「ほっこりする」


「うん」


 アリエッタもエメラも微笑ましげに騒ぐ二人を見て笑顔を浮かべている。もちろん、アリエッタもエメラもその騒がしさを煩わしく思う事もあるが、その騒がしさが出発した頃には無かった癒しになっているのも間違いなかった。


 アリエッタとエメラがネマイラを出てから約三ヶ月が経過し、大森林も出口が近いところまで差し掛かっていた。そして、そこを抜けると今度はアムブラント山脈を登る事になり、難所が続く。大森林に関してはエレアのおかげで移動速度は大幅に上昇したが、山に入ってしまえばオオトカゲでの移動は大森林以上に遅くなる。さらに熱帯地域であるものの標高が四千メートルを越えた辺りからは寒さとの戦いとなり、火属性を苦手とするアリエッタは鬼門の難所といえる。しかし、そこを抜けてしまえば、人間族のテリトリーとなり、ある程度道が整備されているため旅もしやすくなるだろう。

 しかし、そんな旅の順調さとは裏腹に本来の目的であるルビアスの情報に関してはさっぱりだった。大森林に入ってからはほぼ人と接することがなかったとは言え、何一つ収穫がないのにはアリエッタも内心落胆していた。こればかりはこの先の人間族の誰かが情報を持っててくれと祈るばかりだ。



「さて、そろそろ出発しますか」


 アリエッタが声をかけると全員そろって出発の準備を始める。

 大森林に入ってからは、休憩はそれまでよりかなり長めに取り、夕方は早めに休んで朝はゆっくり出発する。そんなサイクルが根付いていた。この日もたっぷり一時間半ほど休憩を挟んでいた。大森林に入った初日の失敗を繰り返さない為という事ももちろんあるが、それ以上にアリエッタとエメラの体力がもたなかった事の方が理由としては大きい。


「大森林とはお別れだー」


 エレアのその言葉に、他の三人はキョトンとした。ここ数日のうちに大森林は抜けられるだろうという予測は立てていたが、実際に後どれくらいの距離が残っているか正確に測りかねていたからだ。

 

「今日の夕方には大森林の出口に着くよー」


 しかし、さすがは大森林の住民というべきか、アリエッタ達では検知し切れなかった出口までの距離を把握した上で、今までの進行スピードを考慮して出口に差し掛かるタイミングを割り出したのだろう。


「エレア、そんなことわかるの?」


「もちろん、わかるよ!この先少し行った所から少しづつ植物の気配が少なくなっているからねー」


 そんな事までわかるのか、とアリエッタとエメラは感心しながらも半信半疑で先を急ぐ。

 すると小一時間も進んだあたりから緑の濃度が心なしか薄くなり始めた。数日前から感じていた事ではあるが、湿度も気温も少しだけ下がったような気がするのだ。途中からは真西に移動しているので緯度は変わらないはずだが、標高が少しづつ高くなっているのも影響しているのだろう。

 さらに進むと、もう完全に森とはいえない程の量まで木々が減ってきた。もうほぼ大森林は抜けたと考えてもよさそうだった。


「大森林は抜けたみたいね」


「そうだね。これででっかい虫と添い寝とか、蛇からのモーニングコールとかしなくてすむ…」


 ジャングルともなると生き物の生態系は多様を極める。朝起きると毛布の中にビックリするくらい大きな「G」のような虫が動き回っていたり、お腹がもぞもぞすると思ったら蛇が這っていたりと野性味溢れる出来事の連続だったのだ。まだその程度であれば精神的なダメージは免れないものの、実害はない。本当に怖いのは毒を持った生き物達だった。明らかに毒持ちの蛇や蠍といったものはまだマシで、一見無害そうに見えて強烈な毒をもつ蛙や蟻といったものまでいた。実際にエメラが蟻に噛み付かれて高熱を出した時など、アリエッタは大いに焦ったものだ。そのときはアリエッタの聖魔術で事無きを得たが、もし聖魔術が使えなかったらと思うと、今でもアリエッタは背中が寒くなる。


「あはは、あたし達逞しくなったよね多分」


「でももう経験したくない…。帰りは絶対スクロール使おうね」


 現代日本のもやしっ子であったアリエッタにとって、大森林での経験は耐えられない事は無いものの、二度と経験したくないと思わせるものだった。

ストックが順調に減ってます…。

この話を投稿した時点で8/5投稿分までしかストックがありません。

一時期は2か月近くあったストックが早くも半月に…。


できるだけ今の更新速度をキープできるようになんとか頑張りますが、これ以上ストックが減るようであれば週2くらいの更新速度に落とすかもしれません。

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