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燈される夜(b)

「……だれかに見つかったら、やっぱり怒られちゃうかな?」


青空が、誠に小声で話しかけた。

ふたりはこっそりと、夜の学校に忍びこんでいた。


校庭にいると少し肌寒いが、誠と青空にはそんなことを気にしている余裕もなかった。

警備員に見つからないように低く腰をかがめながら、誠が言った。


「青空、よく家を抜け出せたね」

「マリアちゃんのあの言葉が気になったから……、だいじょうぶ、万が一ばれても、お兄ちゃんがうまくごまかしてくれると思う」


時刻は、すでに二十三時を回っていた。

マリアはともかく、飛鳥は確実に、この学校のどこかにいるはずだ。


「……夜の飛鳥ちゃんって、なにをしてるんだろう。部室棟にいるのかな?」

「とりあえず行ってみようか」


ふたりはこそこそと、部室棟に向かって校庭を歩いていった。



+++++



「……いま、警備員じゃあないニンゲンの足音がした。部室棟に向かっているみたいだ」


ぴよ吉が耳をそばだてながら、飛鳥に言った。


「部室棟? ……私、ようすを見てくる。ぴよ吉はここで待っていて」


飛鳥はぴよ吉のもとを離れるとすぐに、誠と青空のすがたを発見することができた。

飛鳥は大声で、ふたりに呼びかけた。


「赤月君! 西森さん! どうしてこんな時間に学校へ?」

「飛鳥ちゃん!」


青空がほっとした表情になり、


「マリアっていう子は?」


となりで誠がたずねた。


「マリア? 今夜はまだ見かけていないが、なぜだ?」

「夕がた、本人に声をかけられたんだ。夜、学校に来ないかって」

「なに? それはどういう意味だ……?」


誠と青空がおたがいの顔を見た。

やはり、からかわれただけだったのだろうか。


そんなふたりに、飛鳥が言った。


「しかし、ちょうどいいところに来てくれた。実は私の友人がけがをしてしまったんだ。

私ではじゅうぶんな手当てをしてやれない。どうか手を貸してくれないか?」


そうして誠と青空は、飛鳥に校庭のすみまで連れていかれた。

ぴよ吉は、そんなふたりを警戒しながらむかえた。


「ぴよ吉! こちらは私の友人の赤月誠君と西森青空さんだ」

「はじめまして」


ぴよ吉のすがたにおどろきながらも、誠と青空は頭をさげてあいさつをした。


「ふたりとも、こちらはぴよ吉だ」


青空はしゃがむと、ぴよ吉のつばさにそっと触れた。


「ひどいけが……、一度、お医者さんに見てもらったほうが……」

「獣医にでも見せるのかよ?」


青空の言葉に、ぴよ吉が鼻で笑った。

そんなぴよ吉の態度にはめげずに、青空が言った。


「と、とりあえず、水で傷口を洗い流して……、あっ、保健室にならなにか消毒できるものがあるかも……」

「……待て」


そのとき、ぴよ吉がつばさで青空の動きを止めた。

校庭にゆれる、懐中電灯の明かりが見えたからだった。


「……だれだ? まずい……、こっちに来るぞ」

「で、でも、隠れる場所はどこにも……」


そうこうしているあいだに、その光はとうとう飛鳥たちのすぐ前までやってきた。

まばゆい光は、誠たちのすがたを照らした。


「……やっぱり、おまえらか……」


懐中電灯を手にしていたのは、数学教師の狐塚だった。

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