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推察する昼(b)

青空の手が止まった。


「さ、殺人……?」

「うん。越智さんの背中を、だれかが押したということも考えられる。

……でも、もしそうだとしたら、まっ先に疑われるのはいまうわさになっている、鹿波さんだ。

その鹿波さんが越智さんの自殺を否定するのは、狐塚先生が言うように少しおかしいと思う」


呆気に取られた顔で誠のことを見つめていた青空が、ぽつりと言った。


「すごいね、誠君。……なんだか探偵さんみたい」

「……探偵?」


その言葉を聞いて、誠はわずかに、くちびるのはしを上げた。


「そんなんじゃあない。……僕はただ、理不尽な世のなかに我慢できないだけだよ」



+++++



そんなふたりのようすを、屋上のとびらのかげから狐塚がうかがっていた。


「……オイオイ、なんで今日はあいつらが屋上を使っているんだよ? タバコが吸えねーじゃねえか」


すると狐塚のとなりで、兎沢が笑った。


「青春だよねえ。そういえば赤月君に昨日、幽霊について聞かれたから、あの神隠しの事件のことを教えてあげたよ」

「はあ?」


狐塚は心底いやそうな顔で、兎沢の顔を見た。


「おまえ、余計なことをすんじゃねーよ……! ただでさえ、今回は越智が死んでんだぞ……!?」

「それでも、あの子たちの行動力はわるい方向には働かないと思う。勘だけど」

「あてになんねー……」


狐塚ははああ、と深くため息をついた。


「……ああ、もうめんどうくせえ。昼飯食べに、食堂行くか……」

「もうすぐお昼の時間、終わるよ。早く行きましょ、"狐塚先生"」


兎沢がからくように、"先生"を強調してそう呼びかける。

それに対して、狐塚もふてくされながら負けじと答えた。


「……うるせえよ、"兎沢先生"」

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