表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/36

気がかりな放課後(b)

一方、誠と別れた飛鳥は、ふわふわと一年B組の教室に向かっていた。

自分が通っていた教室を、なんとなく見てみたくなったのだった。


しかし、B組の教室に着いたころにはもう、人はだれも残っていなかった。


「ううむ、さすがに人が死んだ教室には、だれも長居はしたくないか……」


飛鳥は自分の机の前に浮かんだ。

特に変わった様子はないが、机のなかはきれいに空っぽになっていた。


「……もう、この教室に私の居場所はないのだな」


この教室だけではない。

この世界のどこにも、もう自分の居場所はないのだ。


「……はやく、成仏しなければ」


飛鳥がそうつぶやいたところへ、ひとりの男子生徒がやってきた。

それはとなりのA組の生徒で飛鳥の幼なじみでもある、狩谷佑虎かりや ゆうごだった。


佑虎はいつも困ったような顔をしている。

気弱だけれど、やさしい性格の男子生徒だということを、飛鳥はよく知っていた。


佑虎は、手に花びんを持っていた。その花びんには、白い花が飾られている。

どうやら佑虎にも飛鳥のすがたは見えていないらしく、視界に入ってもなんの反応もなかった。


佑虎はその花びんを、そっと飛鳥の机の上に置いた。

飛鳥はその花に顔を近づけて、ほほえんだ。


「きれいな花だ。水を入れ替えてくれたのか、ありがとう」


声が届かないのはわかっていたが、ついつい声をかけてしまう。

佑虎はじっと花びんを見つめたあと、なにも言わずに教室から出て行ってしまった。


「……佑虎にもすがたが見えないのは、少しさびしいが……、

きっと、幽霊のすがたを見ることのできる赤月君のほうが、特殊なんだな」


飛鳥が肩を落としたとき、


「……きゃっ」


飛鳥のうしろで、ひかえめな悲鳴が聞こえた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ