表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/44

偶然の出会い

凛久はしつこい連絡に耐え兼ねて病院に来ていた。診察室に入ると予想通り渋い顔をした池橋が座っていた。


「どうして君は呼んでも呼んでも診察に来ないかね」


「来たじゃない」


「10回も連絡した後だろ」


訥々と説教されうつむいて足をぶらぶらさせながら拗ねる凛久。


「もう子どもじゃないんだよ!」


「予約通りに診察に来ない、来たら来たで拗ねる子はどう見ても子どもです」


「うるさい!」


「そう言うところも子どもだな」


凛久がううーっと唸っていると後ろから楓がやってきた。


「ちょっと、何子どもみたいに言い争ってるのよ。外まで聞こえるよ」


池橋と楓は水野医療センターの呼吸器科の医師と看護師である。池橋は坂原の腐れ縁でもあり事件の時にも巻き込まれ協力した。実は凛久は例の事件の後、無理がたたり喘息発作を起こし入院していた。幸い症状は軽く3日で退院できたが、主治医である池橋は無理による発作での入院に心穏やかでは無かった。


「楓さーん。先生を何とかしてください」


「何とかって。今回は来なかったりっちゃんが悪いでしょ。ほら。早く診察終わらせて帰ろ」


楓は笑って凛久の服をめくった。


診察が終わり凛久は会計を済ませ帰ろうとしていた。その時、耳に聞き覚えのある名前が飛び込んできた。


『真柄ユイさん。清算が終了していますので窓口までお越しください』


凛久は思わず振り返る。そして窓口に向かう小柄な女を見つける。


「あの女が・・・真柄ユイ」


凛久はこの前もこの病院でキーパーソンを見つけたなーと思い返しながらユイを待ち伏せした。そして会計を終えて出てきた所を捕まえた。


「あなたが、真柄ユイさん?」


凛久がそう声をかけると、ユイは驚いたように怯えながら振り返る。


「・・・誰ですか」


「あたし、朝井比奈の友人の伊沢です。あなたに聞きたいことがあるの」


凛久がそう言うと顔色を変えて凛久を振り切ろうとする。


「あたしは何も知りません。本当に、話すことなんて何もないですから!」


ユイはそう言うと一目散に走って逃げるように行ってしまった。


「・・・そう逃げられると、余計怪しいんだけどなあ」


凛久はやや呆れ気味にそう呟いて、スマホを取り出した。そして池橋に、真柄ユイという女はどういう患者なのか教えてとメッセージを送信し病院を後にした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ