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悪夢の再来

坂原と深川の2人は水野の小さな飲み屋にいた。


「あれから磯山さん、本当に飛ばされたんですか」


「ああ。辞令が取り消されることは無い」


「そうですか。お元気ですか」


「相変わらず向こうでも正義感を振りかざしているらしい。困った奴だ」


磯山菜穂は「院内爆破・復讐事件」で警察の意向を無視して、斉藤綾香・有住双葉、そして来宮の全員を救おうとした女刑事だ。結果的に来宮の負傷と引き換えに2人の女性の復讐を終わらせ双葉に自由を与えることに成功した。が、許可なく銃を所持し民間人を傷つけたとして田舎の所轄に移動になったのだ。


「正義感を振りかざすといってもさすが田舎だ、相手はおばあさんの育てたトマトを根こそぎ持ってく野菜泥棒と、夜の間に誘拐を働くニワトリ泥棒だそうだ」


「・・・・想像しただけで面白いのでやめてください。総じて平和ですね・・・・。あの事件からそんなに時間は経っていないのに」


「そんなもんだ。」


「斉藤さんは?」


「裁判中だがな。執行猶予が付くのは相当厳しいだろうな。あと、看護師免許は取られるかもしれないな」


「そうですか・・・・・」


それから短い沈黙があった。坂原は切り出す。


「それで、温田のこと聞いても良いですか」


「俺は警察の人間だぞ。答えられないことには答えない」


「温田は僕の知り合いです。やり手の情報屋でした。」


「ああ。捜査で驚いた。法に触れずにあそこまで出来る姑息な男がいたもんだ」


「どうしても、あの温田が口論して殺される人間だとは思えないんですよ」


「人間、時としてどんな行動をとるかなんて予測出来るもんじゃないぞ」


「・・そうして即日逮捕だったんですか?」


「自首してきている人間がいたんだ。当然だろう」


「それにしても。捜査が杜撰すぎませんか?何かあるんですか」


そう問われて深川は黙る。否定するわけでは無く黙った。それが返答だった。


「あるんですね」


「とにかく。警察としてはこの事件はもう終わったんだ」


「終わったって。死んでいる人間がいるんですよ。それを簡単に終わったって。・・深川さん、有住事件を忘れたんですか」


「・・忘れかけているな」


「忘れないでください。警察が犯した罪を。隠ぺいを。また同じようなことを繰り返すんですか。罪のない人間を苦しめて、威信を守る。それが一体何になるんですか」


「もうこれ以上、冤罪なんかで傷をつけるわけにはいかないんだ」


「寝ぼけたこと言わないでください。深川さん事件の時に気づかれたんですよね。警察の威信なんてくだらないって。だったら、協力してください。僕が温田の死の真実を知るために」


深川は黙っていたが拒否はしなかった。しばらく黙って酒を呑み、再び会う約束を交わして別々に店を後にした。


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