正義の使い方
深川と菜穂は水野署の人気の無い廊下にいた。その斜め前には署長室があった。菜穂は血の気の無い顔色をしている。
「良かったな。厳重注意のみで」
「・・・」
「社長を生きて現行犯で逮捕した。そこが評価された。」
「・・・はい」
「今回は俺も迂闊だった。2人の命は俺達のせいで失ったようなものだ」
「・・・分かっています。私は・・・間違っているのでしょうか」
「・・・?なんだ、らしくないな」
「そんなことありません。私だって、さすがに責任を感じます。私の行動が全てを引き起こしたと、分かっています」
「・・・」
「わたしは・・・諦めないと言いました。でも。もう辞めた方が良いんでしょうか」
「そんなこと、俺には分からん。でも。お前は別に間違っているわけじゃない。ただ。正義の使い方を考えろってことだ。いくら正しいことを言っても見切り発車じゃ余計な犠牲を出すこともある」
「・・・」
「まあ。どうするかは自分で考えろ。後悔しないようにな」
「・・・はい。深川さんはこの後どうなるんですか?」
「俺は、交通課に異動になる」
「え。交通課ですか」
「ああ。部署異動だよ。一課から厄介払いされたんだな」
深川は軽く笑う。
「・・・すみません。私のせいですね」
「だから。俺たちのせいだから俺も処分されてるんだ。気にするな」
深川はそう言うと、そろそろ行くわと言ってその場を離れようとした。
「深川さん!」
「じゃあな。その正義感、上手く使えよ」
取り残された菜穂は壁に寄りかかって目を閉じ、これまでのことを振り返った。そして必ずやり直すと心に決め水野署を後にした。




