ユイの独白 似た者同士
その翌日、私は絶望的な気分で目を覚ましました。こんな気分でも日常はいつも通り流れていきます。夕方になり私は重たい身体を引きずり仕事に向かいました。職場に向かうには温田の自宅の近くを通らないといけないので慎重に行きました。でも。
『アカネちゃん』
『・・・・』
温田は目ざとく私に声をかけてきました。いや。今思えば監視していたのだと思います。私は油断している間に温田の自宅に連れ込まれました。抵抗しましたが大の男に女1人でかなうはずがありませんでした。そして、布団に押し倒されました。
『アカネちゃん・・・君、妊娠してるの?』
『・・・!』
『・・やっぱりそうなんだ。そうなんだね』
『・・・なんで。まさか・・・!』
『偶然だよ。偶然見たんだ、アカネちゃんが妊娠検査薬を買うところ』
わたしは、頭が真っ白になって言葉が出ませんでした。わたしが何も言わなかったことで温田はその疑惑を確信に変えたようでした。
『やっぱりそうなんだ・・・。』
温田はそう一言言うと、私の上に覆いかぶさるように近づいて来ました。そして。
『一生面倒見るからさ。それは、君が望んだことだよ。君は俺に頼ることを選んだ』
ああ、そうね。あの時の私が、今の私の原因ね・・・。
『その代わり。一生俺の女で居てくれよ。似た者同士さ』
似た者同士・・・?嘘。分からない。私はあんたなんかと・・・。
『似た者同士さ。沼に落ちた人間・・・。俺らは真っ当な人と関係を持つと、相手を不幸にする・・・。』
嘘。本当は気づいてた。引き出しに里美って女の写真があること。知ってた。本当は私たちが、どうにもならない似た者同士だってこと、気づいてた・・・。だから。
『人は変われないし、変わろうとしちゃいけない・・・。俺と、一生楽して生きようよ』
だから、私は、見たくない・・・。だって私は・・・。
温田は無言で涙を流す私と、唇を重ねようとしました。
運命の歯車が動いたのは、その時でした。




