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ユイの独白 ピンサロ嬢のプライド

未成年で風俗嬢・・・見つかれば警察に捕まっていたと思いますが運よく見つからず二十歳を迎えることが出来ました。同じ店で長く働いているのに私に固定客が付くことはほとんどありませんでした。客によく吐き捨てるように言われました。君は「愛想」が悪すぎるよって。他の嬢がこっそり店以外でもサービスをしていることは知っていましたが私はそんなことするつもりはありませんでした。それが、「愛想」が悪いと言われる原因だったようです。


そんな私にも一人だけ固定客がいました。それが・・・情報屋の温田守です。私は温田が情報屋とは知らず水野の街でインチキ占い師をしていることしか聞いていませんでした。温田はかなりのペースで来店し必ず私を指名しました。なんとなく見た目の清潔感に欠けるため最初は嫌悪感でいっぱいでしたが、他の客のように執拗なスキンシップを求めてこない所にだんだんと好感を持つようになりました。一度、温田に聞いたことがあります。なぜ私を指名するのかと。すると温田はこう答えました。


『君のベタベタしないところ、生気の無い眼が、・・・この仕事にプライドを持っていなさそうなところが、好きなんだよ。』


お互いの利害関係が一致していると感じました。温田が指名を続けてくれるおかげで私は店でなんとか雇われ続けることができたのです。・・・・プライドを持っていない所が好きなんて・・・このときは全く理解できませんでした。でも今なら分かります。私が自分を底辺だと分かっているのと同じで、温田も自分が底辺だと分かっていて、自分が底辺だと感じている今の現状にプライドを持っていない所に、共感を持ったのだと・・・。


家では、相変わらず母が酒に溺れ引きこもっていました。まあ、どんな仕事でも自分で稼いでいたので家の中に居てくれるならそれはそれで良かったのですが。


今から約4か月前に事件が起きました。母が急に暴力を振るうようになったのです。仕事から帰った私に理由無く。今考えれば躁うつ病の躁状態がこじれていたんだと思いますが、とにかくこれで私は家にすら帰れなくなりました。


こんな時、助けを求められる人なんて・・・。圭に話してみようかと思いましたが止めました。圭は有名な国立大学に通うエリート・・・。私とずっと連絡を取ってくれて態度も何も変わらないけれど・・・でも。私にはもう圭は別の世界を生きる人としか思えなかったのです。もう戻りたくないであろう世界に引きずり込むようなことはしたくなかった・・・。それに、圭と連絡を取る中で、大学で彼女が出来たことを知っていました。一般の家庭で幸せに育った女性・・・。圭は私の支え・・・でも、もう迷惑をかけていい存在では無かったのです。


私が助けを求められる人間は1人しかいませんでした。固定客なので連絡先を交換していた温田でした。温田に連絡をすると詳しいことは聞かずに家に上げてくれました。温田の家はとんでも無く汚かったけれど、ところどころに品の良い物も置いてあって金に困っている様子はあまりありませんでした。インチキでも占い師ってこんなに儲かるのかと不思議に思ったけど深くは追求しませんでした。


そして・・・。しばらくの間、衣食住の保障を条件に温田に無料奉仕するという契約を結びました。条件付きとはいえ、私が初めて見せた「愛想」でした。それでもあくまでピンサロ嬢としての「愛想」でした。一線を超える契約は結びませんでした。今考えれば私は甘えていたのだと思います・・・。温田の「なけなしの理性による優しさ」に。


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