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身代わり

坂原と凛久は医療センターで合流した。そこで来宮が待っていて会議室に通された。そこには久保と池橋がいた。重い空気の中、坂原が口を開いた。


「状況は」


その質問に来宮が答える。


「俺と池橋が外から戻る時、まさに正面玄関の一番目立つところで車に乗せられていた。ただ・・。彼女が凄く抵抗する感じじゃ無かったから、途中まで気が付かなくて助けられなかった。」


「・・・恐らく奴らだとは思うんですよ」


坂原がそういうと久保が突っかかる。


「分かっているなら、早く助けてください」


「むやみに乗り込めば危険が増す可能性も。相手は正直理屈が通用する相手じゃないですからね」


「どういうことですか。そんな危険な人たちと。あいつは何を」


「人質・・・」


凛久が呟く。久保は凛久に詰め寄ろうとするがその時凛久の携帯が鳴る。久保はその音で冷静さを少し取り戻し椅子に座りなおす。凛久は電話に出る。


『もしもし。あ、比奈!?ごめんね。彼まだ見つかってないの。もう目星は付いてるからもうすぐ』


『凛久』


『何?』


『もう大丈夫』


『え?どういうこと?』


『圭は・・もう見つかった』


『え?!見つかった?!いや・・そんなわけ・・。え、じゃあ彼は今どこにいるの?』


『・・・それは、教えられない。あたし、圭を守るために行ってくるから』


『・・・ちょっと待って。それってさ。ねえ比奈。落ち着いて。あんた自分が何しようとしてるか分かってる?』


『ごめんね』


『あ。ちょっと比奈!!』


比奈は一方的に電話を切った。


「りっちゃん、どうした?」


「比奈が・・圭を守るために行ってくるって。絶対あの会社ですよ。比奈も人質に」


「ユイさんを連れていったんだから、2人もいらないでしょ」


「じゃあ何で!?」


「もしかすると・・・ユイさんの身代わりにしようとしているのかも・・・」


坂原がそういうと、久保は少し思いを巡らせるような表情になり、凛久はいらだって坂原のわき腹を叩いた。その時、会議室のドアが開いた。


「悪い。遅くなった。」


現れたのは、来宮に呼ばれてやってきた深川だった。


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