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繋がった線 第一章終幕

翌朝、事務所に凛久が再び勢いよく飛び込んできた。


「坂原さん!」


「おはようりっちゃん。また慌ててどうしたの」


「どうしたのじゃないですよ。新事実が分かったんですよ」


「・・・どれに対する?」


「それが、繋がってたんですよ。ユイはピンサロ嬢で正直言って不人気でした。でも一人だけ固定客がいたんです。それが」


「まさか」


「温田守です!」


「アカネだけじゃ無かったのか」


「そうそのアカネって名前!ユイの店での源氏名、アカネなんですよ!」


「まじか・・・。ということは温田はユイではなくアカネって呼んでたってことだよね。じゃあやっぱりあの女だけじゃ無かったってことだ」


「何ぶつぶつ言ってるんですか。」


「いや。昨日さ、温田を殺したのは自分だっていう女に会ったんだ。でもどうにも訳アリ感があって嘘じゃないかと思っていたところだったんだ。温田はアカネという風俗嬢と同棲していた。そのアカネが2人出てきたってことだよ。」


「・・つまりユイが温田を殺した可能性があると?」


「そうだね。あくまで可能性だけど。ここ最近の出来事は全部繋がっている可能性も出てきたわけだ」


「温田によってアカネとユイがなんとなく繋がって、ユイによって失踪した比奈の彼氏の橋川圭も繋がる・・・」


「もし、温田の家に住んでいたのがユイの方だとしたらアカネは誰かを庇っていることになる。殺人の罪を被るなんて相当の覚悟が無いと出来ないし。もしユイが殺したとすればその圭って子も関わってるかもしれない。でもそうなるとアカネが庇う理由は」


「アカネとユイも実は強く繋がってる!」


「もしくは、アカネと圭が繋がってるかだね」


「ああ・・・。辞めてください。圭の周りに女性を増やすのは。頭痛くなるんで」


「アカネが嘘をついていなかった場合はたまたま同じ名前だったってだけで無関係だな。頭痛いって。どんな可能性でも今の所ユイの子どもの父親が圭である可能性は高いだろ。でもそうなると圭は既に死んでいる可能性もある。もし圭がいろいろ絡んでいたら、陰謀によって何者かに殺されている可能性も」


「やめてくださいよ!」


「ああごめん。あくまで仮説だよ。まあとにかくさ、実はアカネに盗聴器仕込んでおいたんだ。それを確認しに行こうと思う。」


「確認って?常に聞いてるんじゃないんですか?」


「そんな性能の良い盗聴器、この事務所の収入で買えると思う?電波届いてもせいぜい200mが限界だから」


「もー。ほんとやだー。だったら早く行きましょうよ」


「うん。おそろく今は本社にいるはずだから。一緒に行くでしょ?」


「もちろんです!」


こうして2人はアカネの店の本社に向かった。


その頃、本社の社長室にアカネはいた。社長はいつものようにアカネの方は見ずに勝手にしゃべっている。


「昨日の客との会話、聞いてたよ」


「は?」


「いいねえ。追跡してきた男を上手く巻いたねえ。自分が罪を被って」


「まさか。盗聴してたんですか」


「最高級品の盗聴器を仕入れたんだ。その性能を試してみたくてね」


「・・規約違反ですよ。もし普通に」


「固いこと言うなよ。風俗嬢の仕事なんだから聞かれたって平気だろ」


「・・・」


「でも・・・お前、いったい何が目的だ」


急に声のトーンを変えそういうと、くるりとアカネの方に向き直った。


「要所要所に余計な言葉まで入っていたようだが」


「・・・焦っていたので」


「お前が?焦る?笑わせるな。分かっているだろうが、ブツのことを口外しようものならあいつら含めて皆殺しだからな」


「・・分かっています」


「まさかあいつを逃がそうなんて考えてないよなあ。・・・こっちはどんな手だって出せるんだぞ」


「・・・何も考えてなどいませんから。」


「ふん。まあいい。怪しい行動は控えることだな」


社長はそう言って再びアカネに背を向けた。アカネは社長室を後にした。その後、社長は秘書に命令した。


「やはり必要だな。彼女、抑えておけ」


秘書は驚いて答える。


「いや・・しかし」


「私の命令が聞けない秘書などいらん。今すぐクビだぞ」


秘書はそう言われてすぐに了解しましたと頭を下げ社長室を出ていった。社長はイラついた様子でたばこを出し、誰もいないことに気が付いて机を蹴り飛ばしてから自分で火を点けた。


その頃、圭はユイの自宅に様子をこっそりと見に行っていた。そしてある事実に驚く。


「なんで・・・まだ中絶してないんだよ、あいつ」


そう思わず独り言をつぶやき、ユイが出てくる気配があったのでその場を離れた。


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