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最優さんの道  作者: ルーフェンガルド
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ダンジョン攻略:後編


 僕はダンジョンの最終層に躍りでました。


 玉座が飾られた王の間は色付きのステンドガラスによって神聖な雰囲気が出ています。そこには金色に輝く大きなドラゴンと、その背に跨る金色の甲冑を着た騎士がいます。


『なかなか派手な登場じゃないか』

『我が同胞を足蹴にした罪その身で払ってもらうぞ』


「どうやらあなた方が最上階のボスの様ですね」


『私は竜騎士ドラグーン。ガマルの塔の守護者也』

『我は王龍ニルヴァーナ。竜の頂点にして至高の存在也』


『私の聖槍は全てを貫き』

『我の牙は全てを砕く』


『即ち私達の前では』

『全てが』


『『無力である』』


 黄金の龍が飛翔する姿はまるで流星の様です。その龍上から繰り出される力強い何も遮るものなどないかの様な槍術が僕の体を捉えます。これまで負けたことがない様に自身に満ちる彼らに僕は言います。


「そんなものですか守護者の力は?」


 当然のごとく無傷です。左手で龍の牙を止め右手で聖槍を止めます。僕は掴んだ牙をそのまま投げ飛ばします。


 再び流星の様に龍が飛んでいきます。今度は一直線に飛びます。途中で羽を広げ回転し姿勢を制御します。竜騎士もその無茶な動きに対応ししっかりと跨っています。


 正面から切りこむのは危険と判断したのか縦横無尽に龍は飛翔しアクロバティックな動きで僕を翻弄します。時折かすめる聖槍が僕を追い詰めます。


 あぁ羨ましいですね。ああも信頼して背中を預けて戦える相棒がいるというのは。僕にも見つかるでしょうか相棒が。これまでの戦いを経て理解しています。僕は強すぎます。強すぎるが故に相棒が見つかるのか心配になります。最低でも僕について来られるぐらいでないといけません。その協力して僕を倒そうと飛翔する姿はひどく眩しくて僕に見せつけている様で壊したくなります。


 近づく龍に飛び乗り背中から羽をむしりました。龍は地に落ちます。


『ニルヴァーナ!』

『クッなんたる無様か。我が地に堕ちるなど』

『貴様は私が殺す!』


 龍の背からとめどなく溢れる赤い血を聖槍が吸います。聖槍はその聖なる身を汚し、紅く染まります。


『龍血聖槍ニルヴァーナこの槍を見て生きて帰ったものはいない』


 槍から紅い気が立ち上ります。それだけでどれほどの力を内包しているかわかる様です。


『シッ‼︎』


 リーチを生かし僕と距離を保ちながら鋭い刺突を飛ばします。はたから見れば槍が三つある様に見えるでしょう。一撃目は眉間を狙われますが指で挟み右へ、二撃目は心臓を狙われますが体をずらし避け、三撃目は足を狙われますが槍を蹴り上げます。そしてガラ空きになったボディーに右拳で殴ります。まともに入りました終わりです。


 竜騎士の鎧が砕かれました。弾け飛ぶかと思われたその肉体はただ吹き飛ぶだけでした。その吹き飛んだ先には龍が優しく受け止めています。


『ドラグーンお主はまだ生きてくれ』

『ニルヴァーナまさか命を...ニルヴァーナ?ニルヴァーナァア!』


 龍は竜騎士を包み込み絶命しました。どうやら命と引き換えに竜騎士の命を守ったみたいです。


「良かったですね。その龍のおかげで命が数秒伸びましたよ。」


『あぁニルヴァーナのためにもお前を倒す!龍の魂(ドラゴンソウル)


 竜騎士は龍の力を手に入れたのかその体を龍へと変質させていきます。砕けた鎧を脱ぎ捨て現れた精悍な顔つきが目のつり上がった獰猛な顔つきに変わります。背中からは羽が生え、体に鱗を纏います。


 龍と力を合わせた事により飛翔する速さはこれまでの倍以上です。あたりを飛び回り直上から槍を突き降ろされます。速さと重さが一点に集中した莫大なエネルギーを含んだ一撃でした。僕はその槍の先端に指先を当て槍の先端から爪先まで貫きます。


「これで終わった様ですね」


 えぐる様に開かれた竜騎士の死体のそばで呟きます。暫くするとモニターが現れました。


『コングラッチュレーション!』


 盛大な拍手と共に蛙のような男、ガマルがモニター越しに映ります。


『よもや塔をクリアするものが現れるとは。』

「あなたは何でも願いを叶えると言いました。僕の願いを叶えてください。」

『ええもちろんですとも!私のダンジョンをクリアしたらですが!』

「最後のボスを倒しました。まだあるとでもいうのですか?」

『其のまさかです!なぜ塔を登ることを疑問に思わないのですか?今までダンジョンは下へ下ることばかり!このガマルの塔も例外ではありません!真のダンジョンは下にあります!ガマルの塔は地下千層にも登る世界最高のダンジョンなのです!わかりましたか?つまり貴方はとんだ無駄足なのです!今一度一層に戻り地下を攻略してください!私はそこで待っています!』


 モニターがプツンと切れました。


 なるほどなるほどつまり僕は完全に踊らされた様ですね。このダンジョンは本当に僕の感情を呼び起こさせてくれます。生まれて初めて感じるこの感情をどうすればいいでしょう?この怒りを。いいでしょう今すぐそちらへいきます。今の僕に手加減はできません。


 僕は怒りに身を任せ床に足を思いっきり踏み抜きます。


 この瞬間人々は見ました。世界に刻まれる神の怒りと言われる出来事をです。ガマルの塔が頂上から割れ崩壊していく様をです。


 粉塵が巻き起こり瓦礫が崩落していきます。踏み抜いた足の威力はとどまることを知らず一層二層三層とダンジョンをぶち抜いていきます。それは地下ダンジョンにも及び、用意されていたであろうモンスターも罠もギミックも全てを破壊し尽くします。ダンジョンは破壊できない、壁すらも傷をつけることはできないという大前提をぶち壊します。


 僕は破壊されたダンジョンに落ちていきます。自由落下に身を任せ下へ下へ奥底へ落ちていきます。三十秒ほどの落下でした。下には瓦礫が降り積もりその上に着地します。その近くには潰れた蛙の様な顔をしたガマルがいました。


「お待たせしましたダンジョンクリアです」


『わ、私のダンジョンが...』


 暫く呆けているガマルが再起動するまで待ちます。へたり込んでいた彼がウロウロと歩き出し空を見上げ呆然としまた座り込んだところで僕に話しかけます。


『約束です。攻略の仕方には文句がありますが、願いを叶えましょう。さぁ願いを』


 やっとこの時がきましたね。僕は決まりきった願いを言います。


「僕の生まれた意味を教えてください」

『いいでしょう。意味を探るため貴方の頭に触れますがいいですか?』


 僕は肯定のために頷きます。ガマルの手が僕の頭に触れました。ただどれだけたっても何かを話す気配がありません。それどころか脂汗をかきはじめました。


『一体貴方は何者なのです?この世界において私の知らないことなどありません。貴方が異世界から来たことはわかっています。ですが、この世界に来た以上私には貴方の全てを知ることができるはずです。だが貴方のことは何もわからない!運命を辿ることができない!あぁ異常だ異端だ外れている。貴方の様な存在が居ていいのでしょうか?少なくとも貴方はわたしには測れない。申し訳ありませんが私には願いを叶えることはできません』


 この方は本当に感情豊かですね。呆然としたり興奮したり怯えたり大変そうです。ただ僕の生まれた意味はわからない様ですね。運命を辿るとか言っていましたが僕の運命はどうなのでしょうね。頭を下げるガマルに僕は言います。


「貴方がわからないならもういいです。僕は次の世界に僕の意味を探しましょう」


 僕の体に光が降り注ぎます。それを見たガマルが僕が旅立つとわかったのでしょう最後の言葉を交わします。


『ダンジョン攻略者に何も願いを叶えないのは私の流儀に反します!どうか違う願いを叶えさせてください!』


「それならば僕の力に耐えれる剣をください」

『わかりましたお任せを!これまで私のダンジョンが蓄えた力を結晶化させます。それならば貴方の力にもきっと耐えうるでしょう!鉱石となりますがよろしいですか!』


「いいですよ。加工はこちらがします。」


『貴方の願いが叶いますように!またダンジョンにお越しください!その時は貴方でもクリアできないものを作っておきましょう!』


「はい、それではさようなら」


 僕はダンジョニアから次の世界へ旅立ちました。

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