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最優さんの道  作者: ルーフェンガルド
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七番目の世界:フェルスフェア



僕は次の世界へと降り立ちました。


しかし、月明かりもない夜なのか真っ暗で周りが見えません。僕は光を放ち辺りを確認します。


しかし、辺りは暗いままです。光を反射するものがありません。まるで宇宙のようです。


僕は不思議に思いましたが、あることに気づきます。ここには僕の力が満ちています。正確には僕の魔力の残滓が強く残っています。


僕は記憶を掘り返します。ここは僕が来たことがある場所でまだ魔力を使っていた頃です。そんな考えに一致するのは一つでした。ここは僕が最初に来た世界、僕がシロになった世界、魔王を倒した場所です。そういえば最後に魔王が自爆していましたね。大地も空間もなくなるほどの魔法だったようです。


僕は懐かしい思いに耽ます。世界が分ったなら次の行動は決まりました。僕がこの世界に初めて降り立った場所、王城へ行きましょう。


王城へ転移するとあったのは朽ちた遺骨です。初めてここにきた時と全く同じ場所ではありますが荘厳な雰囲気は無く廃墟としてなら幻想的です。


何やら硬いものが小刻みにぶつかる音が聞こえてきます。音の方を向くと見覚えのあるドレスを着た骸骨か歩いてきます。


「そちらはお父様ですわシロ様」


その骸骨はここの王女であり僕に名をつけた女性ひとマリア=アンティールです。


「お久しぶりですわねシロ様」

「久しぶりですね。こうなった理由を聞いてもいいですか?」

「えぇ。昔のあの頃のように」


表情を作ることのできない彼女がそれでもにこやかと伝わります。僕が通されたのは前と同じ彼女の部屋です。


「ソフィアお茶を入れてくださる?」

「かしこまりました」


王女付きのメイドであるソフィアも同様に骸骨となっています。他には見かけませんね。


「彼女もですか?」

「えぇ。ソフィアと私だけですわ。お父様も騎士団もメイドもみんな生き残れませんでした。この状態を生きているというのならばですけど」


お待たせいたしましたとメイドが紅茶を淹れてくれました。


「シロ様が魔王を倒された後世界は平和になる。そう誰もが信じて疑わなかったのですが、あの日から世界中で変死体が見つかるようになったのです。初めは疫病を疑い、魔王の呪いなどとも噂されました。

ですがある時原因が判明したのです。世界全体の魔力不足によるものでした。旧魔王城跡に世界全体の魔力が吸われ失われました。その結果起きたのは戦争です。人々で魔力を奪い合い、魔物、他種属を魔石へと変え自分たちが生き残ることだけを考えたのです。待っているのは破滅だけだと言うのに...」


そう王女は悲しそうに語りました。


「あなたはどうしてそんな姿になったんですか?」

「ある時公爵家の当主が言ったのです。私たちは生き残なければならない。気高き血を絶やしてはならないと。そして禁忌の魔法、大規模生贄サクリファイスが行われました。大量の魔石と人の命を犠牲に王家と選ばれた貴族が生き残る筈でした。魔力が僅かになったこの土地では生贄が足りなかったのです。足りない生贄は周りの国民、対象者である王や貴族の命で支払われました。生き残ったのは私とメイドのソフィアだけです。それも不完全な形でですけど」


この世界はもう長くは持たないでしょうね。この世界で魔力は必須な要素でした。それが失われようとしています。もっとゆっくりと無くなればそれに合わせた進化もできたのでしょうが、どれだけ推論を述べても後の祭りです。ただ僕ならば...


「僕ならばこの現状をどうにかできますよ。全て元どおりに戻して魔王もいない平和な世界へできます」


王女は立ち上がり窓ガラスもないただの吹き抜けの前へ立ちます。


「シロ様これは私たちの罪ですわ。すべて他人任せにした私たちの罪。今さらどうにもできませんし致しませんわ。私はこの終わり行く世界を見届けて死にますわ」


僕が立ち上がろうとすると王女がまた口を開きます。


「それでも、私たちの罪でも貴方を恨んでもよろしいですか?シロ様」


僕は王女と冷めた紅茶を残して次の世界へ旅立ちました。

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