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最優さんの道  作者: ルーフェンガルド
23/29

界賊船2



「俺様の一撃を受け止めるとは、ただもんじゃねぇな」

「クソ雑魚神が逃げ出したって報告があるじゃねぇか。それで様子見に来たってわけだよ」


あれは楽園の記憶によれば、破壊神が気絶していた時に治癒神と戦っていた男ですね。その時と同じ神殺しの大斧を持っています。


「ん?お前あの時無様に気絶してた奴じゃねぇか。ゲハハハハハ!こりゃあいい最高神とは戦ってみたかったんだ。あの時は余りにも呆気なかったからなぁ!」


界賊はその斧を横に振り破壊神に斬りつけます。破壊神は後ろに下がり距離をとると背は向けずに僕たちに話しかけます。


「どうやらこいつを倒すには少しだけ時間がかかりそうだ。先に行ってくれ」

「儂も手伝おうか?」

「いらねぇ、俺が気絶してたことを知ってるってことは俺を捕まえたのはこいつみたいだからな、しっかりお礼はしねぇとな」

「ならば一人でやると良いじゃろう。そうそう儂らはこの船を乗っ取り行くぞ。破壊神が望んだ通りじゃ。好きじゃろこういうの」

「あぁ勿論だぜ!」


破壊神は自分の両拳を打ち付け力を漲らせます。この分なら直ぐにでも合流するかもしれませんね。


僕たちは界賊の脇を通り先を急ぎます。


◇◆◇◆◇


「通して良かったのか?」

「あいつらはもう終わりだよ。俺以外にももう動き始めてる。何故か故障してた監視やら探知やらのシステムも復旧したしなあいつらの場所は丸わかりだ。俺が動くまでもねぇ」

「ふん、ご丁寧にどうも」

「丁寧ついでに俺の名前を教えてやるよ、俺はゲルトだ。テメェの名は?」

「名乗らなきゃ礼を欠くな。俺様は破壊神だ。それ以上でもそれ以下でもねぇ」


鍛えている様には見えねぇがこの斧を担いだ界賊は強いな。俺様が管理する世界でもここまでのやつはそうはいない。それに神殺しの斧を持ってやがるし、話に聞いた通り神力を封じようとしているのだろうな。神力が使いづらい。だが、それだけだ。この程度長い神生の中で幾度となく経験して来たことだ。この思い上がってる若い奴にお灸を据えてやろう。


「俺を楽しませてくれよ!俺はお前みたいな自分が強いと思ってる奴を甚振るのが大好きなんだぜ!ましてや破壊神なんか最高じゃねぇか!ゲハハハハハ!」


ゲルトとやらは俺様に斧を振り下ろしてくる。暴れる様に破茶滅茶だ。そこに技なんてあったもんじゃ無い。だが、その有り余る力が何者も近寄せないほどの嵐となっている。


「ほらほらどうした?逃げ回ってばっかじゃねぇか。破壊してみろよこの俺をよぉ!」

「おもしれぇ、この俺様に力で挑もうという気概が良いぜ。久しくこんな事なかったからな!」


たとえ嵐の様に見えても隙間は必ずある。俺様は振り回される斧の隙間を見極め懐に入り込んだ。


「オラァ!」

「ごぱぁ!」


俺様の渾身の一撃がゲルトの鳩尾に思いっきり入った。ゲルトは息が全て抜けた様な声を出して壁にめり込んだ。


「大したことなかったぜ」


俺様はジジイの後を追いかけようとした。


「ほんと大したことないぜ」


驚くことに俺様の一撃をもろに食らってゲルトは立ち上がりやがった。しかもピンピンしてやがる。


「こんな攻撃いくら食らっても屁でもねぇぜ」


速ぇ!


ゲルトはお返しとばかりに俺様に突っ込んでくる。すっかり油断していた俺様は斧の一撃を食らってしまう。咄嗟に腕で防御するが、流石に神殺しの斧だ。腕が切り刻まれちまった。だがなそれで終わる俺様じゃねぇ。今度は蹴り飛ばしてやった。


「やったか?」


砂煙が晴れた後に見えたのは先ほど通り何事もなかったかのように立つゲルトの姿だった。


「ようやくあったまってきたぜ」


ここまで丈夫なやつは初めてだ。いつも一撃で終わっちまってつまらねぇと思っていだがここまでくると恐怖を覚えちまうぜ。


「ほらほらどうした?面白いんじゃ無かったのか?」

「チッ、うるせぇ」


俺様を見てニタニタと笑いやがる。何かカラクリがあるはずだそれを見つけねぇと。だが腕が使いもんになんねぇ。治すのは得意じゃねぇからな。


俺様は力の抜けた腕を垂らし、斧を避け続ける。だがそれも限界が見え始めた。


「うまいこと避けてきたが、そろそろ疲れてきたのか?当たってきたぞ?」


俺様の体にいくつも赤い線が走る。斧の端がいくつも当たってしまう。一方であれだけ斧を振り回しているゲルトは疲れを見せない。寧ろ振る速さが上がってきてやがる。


クソ!俺様は恐怖を振り払う様にまた、蹴り飛ばそうとした。


「良い加減その攻撃には飽きたぜ!」


いつのまにか単調な攻撃になっていた俺様の足蹴りを捉え、斧で切り落とされた。


「ガァ!」

「こんなことになるとは思わなかっただろう?これだからやめられねぇ!」


片足がなくなった俺を倒しゲルトは馬乗りになってきやがる。斧を離し俺様を痛めつけるかの様に殴り倒してくる。何度も何度も。


「くそッ!止めろ!」

「やめねぇよこんな楽しいこと!」


集中的に頭を殴られ顔が腫れているのがわかる。意識が朦朧としてきやがった。こんなところで俺様が死ぬのか?


破壊神のして死ぬわけにはいかない!


「オラァア!」


最後の力を振り絞りゲルトを弾き飛ばそうとする。


「テメェはもう終わりなんだよ」


努力もむなしく首を押さえつけられ再び殴られる。こんな屈辱は初めてだ...。


◇◆◇◆◇


「オラ!オラ!なんだくたばっちまいやがったか?」


ゲルトは破壊神の馬乗りになり気絶するまで殴り続けていた。


「破壊神も大したことねぇな。だがすげぇ楽しかったぜ」


ゲルトは破壊神の上から降りて立ち上がった。壊れた破壊神にもう興味はない様だ。その後自分の懐に手を入れまさぐった。手を取り出した後握っていたのはボロボロになったいくつかの木彫りの人形だった。


「身代わり人形がこんなにも壊れちまいやがった。これ高いんだぞコンチクショウ。まぁいい破壊神を売れば有り余る金が手に入るぜ」


ゲルトが破壊神の攻撃を受けて何とも無かったのはこれが要因だった。破壊神の攻撃を全て人形が身代わりとなっていたのだ。


「さてと、おう俺だ破壊神はまた捕らえたぞ。運ぶ奴をこっちによこしてくれ」


ゲルトはどこかに連絡するとその場で待機した。どうやら他の界賊を呼んだようだ。


「ほんと手間かけさせてくれたぜ。起きたらまた可愛がってやるか。ゲハハハハハ!」


ゲルトが勝利の高笑いをしていると異変が起こる。気絶したはずの破壊神からドス黒い気が溢れ出した。


「何だ?」


ゲルトはその気味の悪さに思わず後ずさる。手を離していた斧を持ち直し迎え撃つ構えのようだ。


破壊神は立ち上がる。無くした片足の代わりに真っ黒な足を生やして。髪は黒くなり、肌も浅黒い。これまでとは雰囲気が全く違った。


『久しぶりだぜこの姿も』


ゲルトは声を聞いた瞬間体を震わせた。その声には力でもあるかのように。


「何だその姿は?何だその黒いもんは?」


『知ってるか?俺様は遥か昔、邪神して恐れられてたんだ。最高神としては再生不可能なほどに壊すこの力は使うべきじゃない。俺様が破壊したものを元に創造できなくなるからな。』


ゲルトには邪神とだって戦った経験があった。これまで渡り歩いた世界で一番恐れられていた邪神だってゲルトにとっては遊び道具だった。だが、破壊神のその邪悪さはこれまで味わったことの無いものだった。


『だが久し振りに思い出したぜ。俺様がどんだけ壊しても立ち上がってくる勇者がいた。そいつはゲルト、お前みたいに殴られても平気じゃなかったがどんだけボロボロになっても立ち上がり何度も何度も向かってきやがった。あいつはただ実直で心が綺麗だった』


破壊神は上を向きその勇者との記憶を振り返るようにしていた。そしてゲルトに向き直る。


『お前のような他人を虐げるための遊び道具としか思ってない奴にこの俺様を壊すことはできねぇんだよ。さぁ受け止めろよこの俺様の力を』


「人形だってまだある。散々痛めつけた。邪神だって何度も殺してきた。この俺が死ぬわけがないんだ!」


ゲルトは恐怖を振り払うかのように破壊神に斧を切りつけるために飛び出した。それに対し破壊神はただただ拳を引き絞るだけ。避ける気配はない。破壊神はそのままに神殺しの大斧が破壊神の肩口に切りつけられる。しかし皮膚が少し沈むだけでこれまでの様に断たれるわけではない。ゲルトの持つ神殺しでは今の破壊神の神性を殺すことはできなかった。破壊神は獰猛に笑う。


『来世ではより良く生きろ。あばよ』


「やめろやめろやめろやめてくれぇ!」


拳がふり抜かれた後、破壊神は静かにその場を後にした。

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