界賊
私たちは今、人の世で言う海賊の様な格好をした者たちに囲まれている。
「一体貴様たちは何者だ?」
私が問うと奥からこの者たちのリーダーであろう者が出てきた。
「おれ達は異世界賊。通称"界賊"だ。異世界を渡り金になるものを集めてるんだよ。今日はお前達神種を捕まえにきたのだ。お前達はよく売れるからなラッキーだぜ。雑魚が一匹と拘束済みが一匹それに...お?その倒れてるやつ最高神レベルじゃねぇか?こりゃあついてるぜ!そいつを連れてきゃあ船長も俺を幹部にしてくれるかもな!ゲハハハハ!」
男は下品に嗤っている。手入れのされていない髭に横に大きく広がった体、眼帯は青白く光りこちらを値踏みする様に見ている。手には大斧を持っている。その斧からは神殺しの力を感じる。
「只者ではない様だな。その斧どこで手に入れた?」
「お?こいつの力が分かるみたいだな。こっちじゃこんなの普通に売ってるぜ。ちょっと高けえけどな!」
こいつの言葉が本当なら神殺しの武器がありふれている事になる。それは信じたくないな。あの武器を喰らえば如何に上級神の私とてただでは済まない。
「さぁお喋りは終わりだぜ。野郎どもかかれ!」
その一言に周りのもの達が一斉に飛びかかる。
「くっ、人間のくせになんて強さだ。治癒神様お逃げください!」
天使が必死に抵抗するが多勢に無勢。徐々に追い詰められていく。破壊神には今は頼れない。私が戦うしかないか。私が拘束された治癒神とはいえ神力が使えない訳ではない。
「どちらにせよこやつらを倒さねばここからは出られないだろう。お主では勝てない。私に任せておけ」
私は前に出て拘束されたままの腕を出す。
『治癒神の名の下に私を囲むもの達を癒し尽くせ。望もうとも望まざろろうとも』
癒しの力が辺りを満たした。私は癒すことしか能がない。だが時に癒しの力は牙を剥く。今使ったのは過剰回復させるものだ。過ぎた回復の力はその身を滅ぼす。界賊達は過剰な回復の力を受けてボロボロの崩れ去っていった。ただ一人を除いて。
「どうして生きている?」
ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべた眼帯の男が平然と立っている。
「なぜおれ達が神を捕まえられてると思う?それはなお前達の使う神力とやらを無効化できるからだよ!」
眼帯の男は右手をこちらにかざした。手の甲毛が目立つ手にくすんだ金色の指輪がはめられている。その指輪から光が照射され私に当たった。
しまった。奴の言葉が本当ならばこの光こそが私の神力を封じるものだろう。そんな物があるなど聞いたことがないが、神殺しを平然と持つ人間だ無いと切り捨てることはできない。
実際に神力を使おうとしてみるが蓋をされたかのように出てこない。本当に無効化されたようだ。
「さぁお前達は大事に大事に利用してやるぜ」
「くっ」
◇◆◇◆◇
暇じゃのう。何も見えない何も感じないというのはこんなにも不安で暇なもんなんじゃのう。シロも一向に起きるようでは無いし。
柔らかい草の上に座っていると、足音が聞こえてきたのじゃ。
「じぃさん本当に最高神か?」
「いかにも。儂が最高神である創造神じゃよ」
声からして男かの。それに聞いたことのない声じゃ。また、異世界人でも来たのかの。そう思っていると男からため息が聞こえて来たのじゃ。
「はぁ。この神界はハズレか?神種も少ねぇし、最高神達もポンコツとはな」
「最高神達と言ったかの破壊神と会ったのかの?」
「俺は会ってねぇがさっき連絡があってな。もう捕まえたってよ」
あの破壊神が捕まえられたとは考えにくいのじゃが、もしや彼奴も儂と同じように倒れてしまったのじゃろうか。此奴らは儂らを捕まえるのが目的のようじゃの。そうなると不味いのぅ。儂も破壊神も動けぬ状態じゃと他の神を頼るしかないが此奴の口ぶりじゃともう既に何柱も捕らえられているようじゃ。
「さて一応神力は封じさせてもらうが。抵抗するなよ」
「待て。天使達はどうしたのじゃ?儂を守っているはずじゃが」
「んなもんとっくに殺したよ。せっかくバレねぇように殺したのに最高神がこんな無能なら無駄な労力だったぜ」
そうして儂は捕らえられたのじゃ。




