終戦
少し間が空きましたがまたよろしくお願いします。
いい加減戦争を終わらせましょう。
そう呟きながら周りを見渡せば巨大な戦艦からの砲撃、無数の機体装甲、怒号と爆発音、荒れ狂う戦線が広がっています。僕は全てを終わらせるため機体を降ります。
デュランダルを掲げます。
「建御雷神がやられただと!あり得ない!奴は我が軍の最高戦力だぞ!奴は危険だすぐに殺せ!今奴は生身だ!」
僕が降りたことで周りの機体全てが攻撃をしてきますがもう構いません。僕は満足しました。さぁ
「絶望の一撃を放ちましょう」
一切の手加減をせず僕は思い切り力を込めて戦艦に向けてデュランダルを振り抜きます。途端に吹き荒れる暴風、地割れのように割れる地面、大気が歪むほどの巨大な斬撃波が放たれました。声さえ上げられぬほどの暴虐の嵐の中で無数の機体装甲が空へと打ち上げられ消えていきます。そして斬撃を受けた戦艦は抉り取られるように全てを切り裂かれていました。まさに終戦の一撃です。
デュランダルはと言うと軋むような音を出しながらも僕の全力に耐えてくれました。素晴らしい剣です。ただ、連続で全力は出せませんね。デュランダルがもたない気がします。それでも僕が使っても壊れないほどの剣です。
指揮系統がめちゃくちゃになったガンダタダ帝国は間も無く降伏を宣言することになるでしょう。敵機体も僅かに数えるほどにしか残っていません。これでこの星は救えたのでしょうね。それを肯定するように光の一切を遮っていた暗雲が僕の一撃によって切り裂かれそこから眩しいほどの光が差し込みます。
「光だ...」
「あれが光?」
「俺たちの人工の光とは違う、本物の光だ!」
「俺たちは勝ったんだ!祝福の光だ!」
味方も僅かに残った敵も皆が空を見上げています。それ程までに光は太陽の光は眩しいものなのです。
その後の戦後処理は全て任せました。ガンダタダ帝国は無条件降伏、晴れてテレステルが世の覇権を握ることになりました。これでこの星は救われたのです。あとは彼らがこの星を再生していくことでしょう。そして僕はそれを頼んだ本人テイラー中佐に呼ばれていました。
「シロ殿に見せたいものがあってね。こちらへついてきてくれ」
今いるのはガンダタダ帝国の中枢部です。何かの研究所のようですがここで何を見せたいと言うのでしょうか?
「ガンダタダ帝国の強さの秘密がこれだ」
「これは一体なんですか?」
眼下には大きな筒状の炉のようなものがあります。そこからは莫大なエネルギーが感じられます。その時トンと後ろから背中を押されました。そして僕は莫大なエネルギーの中へ消えていきました。
◇◆◇◆◇
「これは一体なんですか?」
奴は無限エネルギー炉、通称ウロボロスに気を取られている。奴を葬るには今しかない。私は奴の背中を押した。
落下していく白く凄まじい力を持った異世界人を見る。
「それはウロボロスと呼ばれる無限のエネルギーを生み出す機械だ。それが生み出すエネルギーは尽きることがない。そんなエネルギーの奔流に飲み込まれればたちまち存在ごと消えてしまうだろう。まぁもう聞こえていないだろうがね」
奴はもう用済みだ。異世界人の知識や力は気になるところだが、それ以上に奴の力は危険だ。単体で最強と謳われた国を滅ぼすなど誰が予想できようか。ここで奴を殺すことが最善だろう。
私は踵を返した。次は私たちが覇権を握る時だ。これからの未来を考えれば自然と口角が上がる。だがまだ白い悪夢は終わっていなかったのだ。
◇◆◇◆◇
僕はエネルギーの奔流の中を落下しています。目の前は真っ白でいつも世界を移動するときに似ているでしょうか。
「それはウロボロスと呼ばれる無限のエネルギーを生み出す機械だ。それが生み出すエネルギーは尽きることがない。そんなエネルギーの奔流に飲み込まれればたちまち存在ごと消えてしまうだろう。まぁもう聞こえていないだろうがね」
遠ざかる上からこの炉の説明が聞こえて来ます。成る程これはウロボロスと言うのですね。ただこのエネルギーは無限ではありません。もうこの世界に止まる理由はありませんが一つ約束したことがありますからねそれを果たしてからいきましょう。
「これは無限ではありませんよテイラー中佐」
後ろを向く中佐に僕は教えます。この炉の正体を。こちらを向いた中佐は幽霊でも見るような顔をしています。
「どうやって生き延びた?」
「この程度のエネルギーでは僕の存在を揺らがすこともできません。それはともかくこのままではこの星が枯れますよ」
「どう言うことだ?」
「このウロボロスはこの星の力を無理やり吸い上げています。無限にも思えるエネルギーですがそれは有限です。これの影響はもう現れています。僕が初めに現れた汚染地域はこの星の力が枯れ始めている証拠です。この星の浄化能力はもう働いていないでしょう。中佐は戦争がこの星を滅ぼす危機だと言いましたがそれだけではありませんこのウロボロス自体が星を滅ぼす機械です」
「貴様に何故そんなことがわかる!」
中佐は激昂します。僕が生きていることも、ウロボロスが悪魔の機械だと言うことも受け入れられずに吠えています。
「分かるから分かるんです。信じなくても構いません。ただ僕はこの星を救うと言いました。その約束を果たすだけです。」
突如僕の背後でエネルギーの奔流が空へ向かい立ち上ります。テイラー中佐は空を見上げ吠えます。
「一体何をした!答えろ!」
「これまでに吸い上げられたエネルギーをこの星に返すだけです。これでこの星は本来の寿命に戻るでしょう。サービスです足りない分は僕が補いますし汚染された地域は僕が浄化しましょう。空は晴れ、海は煌めき、大地は緑に覆われます。貴方達がかつて望んだ世界へと還すだけですよ」
「止めろそれは私たちの希望私たちの力なんだ!」
「こんなのは希望ではありません絶望ですよ。たとえ世界を握っても。遠くない未来に世界がその手から崩れ落ちますよ」
エネルギーの奔流は空へ登り流星群のように世界へ降り注ぎます。浄化の光が、豊穣の光が、未来の光が降り注ぎます。
「約束は果たしました。これから先どうするかは貴方達次第です」
中佐は静かに止めろ止めろと呟くだけでした。僕は白の光に乗って次の世界へと旅立ちます。




