潜入作戦
数日後連絡がありました。資源、エネルギー、兵士、共に十分なため今日の夜に奇襲を仕掛けるようです。奇襲先はガンダタダ国の中継地となっている元パラストル国です。現在は植民地となっているようです。
僕は呼ばれた司令官室へ行きます。先日配られた軍服に袖を通した。バッジは金色の四角いものです。階級を示しているのでしょう。
「よく来てくれた。今回の作戦はとても重要なものだ。奴らは私たちの国にそこから攻め込んでいる。今は奴らの侵略を防ぐだけで手一杯だが今なら勝てる。奴らの中継地を奪うのは反撃のための狼煙といってもいい。シロ殿の活躍を期待しているぞ」
「わかりました」
「シロ殿の機体は最新の試作機だ。開発局の主任がシロ殿のおかげでいいものを作れたと言っていたぞ。案内は任せたザス一等兵」
「承知しました!」
この前の僕の力の一端を見てザス一等兵とフュン二等兵は僕に嫌々従うわけではなくなりました。顔にはこれから起こることを待ち望んでいるように思える節が見えました。そんなザス一等兵が僕をイキイキと案内します。
「ここが私たちの機体装甲離発着場です。主任が待っているはずなので管制室に行きましょう」
巨大な機体装甲が等間隔に並びいつでも出動できるようにされています。機体装甲だけでなく機体装束と呼ばれるパワードスーツを着た兵士たちも整列しています。先日傷を直した人たちも見られます。機械武器を手に戦場へ向かうのでしょう。
さて管制室に来ました。開発局の主任と挨拶を交わします。
「初めましてシロ殿。私はノイドだ。資源やエネルギーを蓄えてもらって感謝しているよ。おかげでこの機体を作ることができた。どうしても調達できなかった特別なレアメタルも取ってもらったことが大きいね」
こちらの主任は油で汚れた白衣を着ています。徹夜をしたのか酷い隈です。片目には拡大鏡をつけています。頭の左右からボサボサの髪が生えていて五十代ほどの見た目です。
「それで僕の機体とは?」
「あぁそうだね早速お披露目しようこっちだ付いて来てくれ」
先ほどの兵士たちが集まっている場所に来ました。そこには巨大な布で隠された物体があります。おそらくあれが僕の機体でしょう。兵士たちの前に立つ司令官が僕たちが前に出たのを見て話し始めます。
「諸君!!今こそ我らが勝利を掴む時だ!今まで奴らに何をされた?戦友を殺された!家を奪われた!愛する人を失った!奴らを決して許してはいけない!今こそ奴らに死の鉄槌を!」
「「「オオォォォ!!」」」
発着場に兵士の雄叫びが木霊します。声が反響するほどです。
「本日の作戦の要を紹介する!この機体だ!」
巨大な布がめくられます。他の機体よりも一回り大きく、白い塗装が施されています。右手が先が細くなっているのが特徴です。左手には機械剣を装備しています。そして背中には大きなバックパックが付いています。
「主任説明を頼みます」
「あー、この機体はかねてより開発していた電磁フィールドを破壊する機構、防御機構破壊をつけている。みんなも知っている通りこの電磁フィールドによって都市は守られ圧倒的な武力がなければ突破できない。だがこいつならそれを破壊できる!殻に閉じこもっている奴らを追い出すことができるのだよ!」
兵士たちはその説明をすぐさま理解し戦意をあらわにします。やる気は十分体力も十分と言ったところでしょう。
「聞いての通りだ!作戦を説明する!夜の闇に紛れ上空から奇襲を仕掛ける!電磁フィールドに着地後この機体が電磁フィールドを破壊。全体を破壊することはできないが一部を破壊することができる。その穴から各部隊が侵入。中央を速やかに制圧後AからC部隊は東を制圧。DからF部隊は南を制圧。GからI部隊は西を制圧。JからM部隊は北を制圧しろ!
そしてこの機体のパイロットはみんなも知っていると思うが異世界人のシロ殿だ!この方に負傷した怪我を治してもらったものは多いと思う。切断された腕すらも以前と変わらず生えて来たりもした。まさに神の御業だ。天は我らに味方した必ず勝つぞ!」
「「「オオォォォ!!」」」
いきなり出て来た僕に悪い感情を抱かずにただ敵を討ち亡ぼすことに念頭に置いた兵士たちです。僕が直接治した人たちは僕を崇めている節すらあります。とは言えこの戦いに勝つことができなければ滅びる運命を辿るだけです。自分たちで争う暇なんてあらず、何かを心の拠り所にしなければ生きていけないのでしょう。さぁ行きましょうか。こういったロボットを動かすのは初めてです。楽しみですね。
簡単な操作方法を練習した後。航空機に乗り組みました。上空まで兵士を輸送します。当然そのまま行ったのでは相手の索敵システムに引っかかります。そこで全ての輸送機にステルス機能を搭載しています。僕が集めた資源によって無茶な作戦ができるようになったらしいです。
「都市中央の直上に来たぞ!作戦開始だ!」
輸送機のハッチが開き一斉に兵士が飛び降ります。機体装甲に乗り込んだ兵士たちも飛び降ります。そして僕も飛び降ります。
どんどんと都市のビル群が迫る中不意に透明な電磁フィールドに阻まれます。すぐさま右手の装備を電磁フィールドに差し込みます。防御機構破壊を発動します。透明な膜が僕を中心に波打ち揺らぎ一部が消えます。再び電磁フィールドが閉じようと修復を始めますがその前に全部隊が降り立ちます。
中心の巨大な塔とも言えるビルに降り立ちます。窓もなく頑丈に作られていますがレーザーにより切り取った穴から兵士が入り込みます。緊急のサイレンがけたたましく鳴り響きます。相手の防衛機構が働きますが機体装甲相手には力不足です。壁から出て来た機関銃からレーザーが放たれますがこちらの電磁フィールドによって減衰します。
各部隊が散会し、フロアを制圧しにかかります。予想だにしない攻撃にパワードスーツも満足に装備できていない彼らを制圧するのは火を見るよりも明らかでした。
「ここはあいつらに任せてシロ殿はこっちだ!」
司令官が僕を導きます。それに続き小部隊が司令官を守るように動きます。
「本来なら最上階のここは一番安全なフロアだ。このフロアに相手司令官がいるはずだ。パワードスーツを着てるやつらがこっちに集まっている。この先に司令官がいるだろう」
僕がギリギリ通れるぐらいの通路が広くなり相手の機体装甲が見えました。司令官の言葉通りこの先に敵司令官がいるのでしょう。




