四番目の世界:マシーナリー
僕は次の世界に来ました。暗雲の立ち込める世界です。あたりは荒野で草木が生えていません。
「おい!お前何をしている!」
誰かが来たようです。こんな何もないところで出会うとは偶然ですね。誰かとは言っても機械の乗り物に乗っているようです。所謂ロボットです。それが二機あります。
(先輩やっぱりいたじゃないっすか)
(こんなところに人がいるとは思わないだろ。しかも急に熱源が現れたんだぞ)
二機のロボットの間で会話がされています。僕には聞こえないように二人だけで通信しているようです。僕も会話に混ぜてもらいましょう。
(あーあー聞こえてますか?)
(フュン何か言ったか?)
(何も言ってないっすよ。てゆーかこの声どこから?)
(僕ですよ。あなたたちの前に立っている僕から話しかけています)
僕に近づいていた二機は距離を置き僕に装備していた機関銃を向けます。
「いくら世代遅れの機械装甲とはいえ俺たちの通信を傍受するとは何者だ!汚染地域にいるのも怪しい、お前を拘束する!」
「あ、お願いします」
この人たちは僕を連れて行ってくれるようです。街があるならこの世界のことをいろいろ聞けそうですね。
二人が僕に機関銃を向けながら、素直についてくる僕を怪しむように連れていきます。
見えて来た街はとても汚いものでした。汚れたビル群が建ち並び、工場からは常に黒煙が上がり、視界は悪いです。この暗雲も環境汚染の結果でしょう。
「入れ」
四角い灰色の建物の扉が自動で開くと中へ入るよう促されます。二人はロボット専用の入り口から入りロボットから降ります。
二人は何かのスーツを来ていて顔を覆うような透明なヘルメットをつけています。
「まずはお前が汚染されていないか検査する」
僕の頭のてっぺんから赤いレーザーが僕をスキャンします。スキャンした結果が二人の持つ端末に送られます。
「身長160.0cm、体重50.0kg、性別不明、所持武器:剣、所持機械なし、汚染レベル0。汚染はされていないようだな。」
「そこじゃないっすよ先輩!機械も持ってないのに何で俺たちの通信傍受出来たんすか」
「あっ、そっか。おいお前どうなんだ!」
「暗号化されている音声を解析して割り込んだだけです」
「だから機械もないのにできるわけないだろ。どっかに隠し持ってるんだろうがノコノコついて来ておいてただで済むと思うなよ。どこの国のもんか暴いてやる。機械剣でもない遺物のような剣だけでどうにかなると思うな」
僕をどこかの国の者だと思っているならそのうち上の人が出てくるでしょう。その時にいろいろと聞きましょう。奥の部屋に連れていかれ何やら喚くように質問をされていますが全て無視しておきます。話が通じなさそうですので。暫くすると黒い機械仕掛けのスーツを着たかっちりとした人が来ました。
「テイラー中佐今にこいつの口を割らせますから。おらはけ!」
テイラー中佐と呼ばれた人と暫し目を合わせます。
「ちょっとどいてろ」
テイラー中佐は僕に喚いていた人を横に押しやり対面の椅子に座ります。
「あなたは話が通じそうですね」
「話は聞いている。第一級汚染地帯に生身でいたそうだな。それに私たちの機械装甲の通信を傍受したとか。それなのにスーツを着ていなければ機械の類を持っていない。怪しさ満点のやつだ」
「疑問はあると思います。質問には素直に答えましょう。ただ僕の質問にも答えてください知りたいことがありますので」
「いいだろう」
まずはテイラー中佐から一通りの質問をされます。どこから来たのか、なぜ無事なのか、どうやって傍受したのか、何が目的なのかなどです。その全てに答えました。
「異世界から来たか...にわかには信じがたいな」
「テイラー中佐こいつは嘘っぱちを並べています。どうせガンダタダ人だ拷問しましょう!」
「待て。何か証明できるものはあるか?第一級汚染地帯程度の汚染が効かない体というだけでも信じられないがそれだけなら改造人間だという線もある」
証明ですか。それなら魔法が一番でしょうね。この世界には魔力がないようですし魔法もないでしょう。
「これでどうでしょう」
僕は手のひらに太陽を生み出します。テイラー中佐の目が開き中から機械の目が出てきます。太陽を調べているようです。
「超高エネルギーを探知。推定表面温度6000度。恒星の太陽と酷似。現在の科学で太陽を生み出すことは不可能。お前を異世界人と認めよう」
僕は太陽を握りつぶし消します。そして長官と握手をしました。
「さてお前の質問に答えよう。何が聞きたい?」
「まずはこの世界のことを聞きたいです」
「世界を語るならやはり機械だろう。この世界は機械産業の発達した世界だ。自動化が進み、暮らしは豊かになった。だが進みすぎた技術は争いを生んだ。かつて手を取り合った国同士は武器を取り争った。日夜ミサイルが打ち込まれその報復にミサイルを返す毎日。そしてより多くの人を殺すためにミサイルをも弾く機械装甲が生み出された。パイロットとなる人がのり、戦場を闊歩する悪魔が生み出された。
今や初めて開発した国のガンダタダ帝国は世界の覇権を握っている。数々の国を飲み込み私たちの国テレステルも飲み込まれようとしている。奴らは残酷だ。捕虜となったものに容赦はなく戦争でこの星はどんどん汚染されていく。このままでは世界が滅んでしまうのに奴らは戦争を止めようとしない。だからどうかとお願いだ私たちに力を貸してはくれないだろうか」
テイラー中佐は頭を深く下げます。
「僕も星が滅ぶのは見ていられません。手伝いましょう」
「ありがとう。ありがとう」
テイラー中佐はそのまま顔をあげませんでした。手を目にあて、部下に命令したあと部屋を出ていきます。




