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最優さんの道  作者: ルーフェンガルド
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三番目の世界:フォージガルド


 僕は次の世界に来ました。手には黒い鉱石を持っています。黒といっても上からグラデーションのように色が濃くなっています。これがダンジョンの力の結晶のようです。大きさはかなりのもので両手で抱えるぐらいのものです。持っているのは邪魔ですね。空間魔法でしまっておきましょう。僕は別空間を作りその中に入れておきます。


 僕はいつものように周りを見渡します。遠くに煙を出す火山が見え、麓には煉瓦造りの家が立ち並んでいます。火山はどこかダンジョンを思い出します。今回は街からは離れたどこかの森に降り立ったようです。近くには川が流れていて火山から流れているようです。この川を辿れば街に着きそうです。


 僕は川のせせらぎを聞きながら歩きます。時々魚が跳ね、その道中は至って平和なものでした。この世界には魔物はいないのかもしれません。しばらく歩けば煉瓦造りの街に着きます。


 入り口は門があるわけではなくただ壁の一部が開いているという感じです。特に街に入るのに受付のようなものがあるわけでないようです。僕は街に入ります。


 この世界はどういった世界でしょうか?これまでの印象では平和な世界のようです。街に入ると、中の人たちが僕をみています。何か顔についているのでしょうか?すると一人の男が近づいて来ます。


「あんた一体なんだ?」

「なんだとはどういう意味でしょうか?」

「いや、あんたみたいなのみたことないからよ」


 要領を得ませんね。周りの人も距離を置いて僕をみています。何か未知のものを見るようです。


「とりあえず名前を名乗りましょう。僕はシロ先ほどこちらに来ました。ここはどういった街ですか?」

「あぁ、俺はテッセンだ。この街はフォージガルド山の麓の街、フォージ街だ」


 フォージ街それがこの町の名前のようです。そうして会話をしていると誰かが大声で近づいて来ます。


「どいてくれどいてくれ!おお!あんたか不思議な生物っていうのは!」


 丸眼鏡をかけた髭もじゃの人が来ました。


「特徴を聞いたときから思っていたが、見れば見るほど文献通りだ!間違いないこいつは人間だ!絶滅したはずの人間だ!」


 周りからどよめきがおきます。どおりで距離を置かれていたわけです。町の人は皆体が大きく肌が色黒です。僕のように細い体ではなくガッチリとしています。この世界では人間が絶滅しているようですね。


「あなたはどういう人です?」

「俺は学者だ!あんたにはドワーフ族のドルストと言った方が伝わるか?」

「学者ですか。僕はシロです。色々と教えてもらえますか?」

「勿論だ!俺にも教えてくれよ!これは大発見だ!俺の家に案内する!」


 ドルストさんは興奮気味に答え僕を家に案内してくれます。ドルストさんの家も煉瓦造りで丸みを帯びた家です。


 椅子に座り飲み物を出してくれたところで話し始めます。


「始めに言っておきますが僕は人間ではありません」


 その一言でドルストさんはさらに興奮します。この人は知識欲が強い人のようです。


「なら何者だ?あんたはどうみても人間の特徴だ。他の種族か?」

「種族はわかりません。そして僕はこの世界の住人ではありません。異なる世界から来ました」

「どういう事だ?」


 ドルストさんは机越しに僕に顔を近づけます。そんなドルストさんに一通りの話をしました。僕は人型の何かである事、何かは分からず僕が生まれた意味を探しているという事、世界を渡れるという事、これまでの世界の事をです。


「なるほど正直興味が尽きないがこの世界の事を話しておこう。あんた、いやシロはここの事を何にも知らないというわけだな」

「ええお願いします」


「かつてこの世界には様々な種族がいた。俺たちドワーフ、人間、エルフ、獣人、妖精とかだ。だがあるときあの山、フォージガルド山の大噴火が起きたらしい。その噴火は今までの比ではなく世界を飲み込むほどの大噴火だったみたいだ。他の種族はその噴火に飲まれ全て絶滅したんだ。そして俺たち火に愛されたドワーフ族だけが生き残った。つまりこの世界にはもうドワーフしか残っていないんだ。だからお前のような外見のやつはいないわけだ」


 ドワーフしかいない世界ですか。珍しいですね。こういう世界もあるというのは面白いです。


「続きを話すぞ。そうして俺たちドワーフしかいない世界になった。この広い世界で俺たちだけだ。だが俺たちは誇り高きドワーフ族だ。どんな時でも究極の鍛治師を目指すために努力している。まぁ今こうやってドワーフが火山の近くで暮らしているというわけだな」


 この世界はドワーフしかおらず鍛治のみに特化様ですね。この世界で僕の意味が見つかるとも思えませんが今はちょうどいいです。ちょうど剣が欲しいと思っていました。


「それならお願いがあるのですが。これで剣を作ってくれませんか?」


 僕はしまっていたダンジョンの力の結晶を取り出しました。何もない空間から出したことを驚いていましたが、魔法のことも話していたのでそれほど追求はされません。


「剣を作るのはいいがこれはみた事ない鉱石だな。異世界の鉱石か?」

「はい。一つ前の世界でもらいました。普通の剣だと壊れてしまうので丈夫な剣が欲しいのです」

「わかった俺に任せておけば大丈夫だ。ドワーフの誇りにかけて剣を作ってやろう。その代わり異世界の鉱石とか他に持ってたらもらえないか?」

「他に鉱石は持ってませんが何かは作れると思うのでそれを渡します」

「よく分からないが頼んだ」


 ドルストさんは鉱石を持って奥の部屋に行きました。向こうが鍛冶場の様です。しばらくハンマーの叩く音や火の燃える音が聞こえましたが思ったよりも早くドルストさんが戻って来ました。手には変わらず鉱石を持っています。


「なんだこの鉱石は熱しても叩いても何も変わらん。こんなものは初めてだ。俺の鍛冶場ではこいつを扱うことはできない。すまない。」


 誇りにかけて剣を作るとまで言ったドルストさんはとても悔しそうにただ未知の鉱石をとても興味深そうにしています。


「俺の代わりに俺たちの王を紹介する。ドワーフで一番の鍛治職人だ」


◇◆◇◆◇


 ドルストさんの案内で王の家に着きます。城に住んでいるわけではなく普通の家に住んでいます。水車付きの煉瓦造りの家です。王と言っても年一回あるドワーフたちの大会の優勝者らしいです。ドワーフたちが自分達の一番の作品を持ち寄ってその中で一番優れたものを選ぶらしいです。そんなドワーフの中で一番の鍛治職人の元へ訪れます。ドルストさんがノックし中へ入ります。


「ガンテツいるか?」


 家の中には誰もいません。いや奥からハンマーで叩く音が聞こえるので鍛冶をしているのでしょう。


「あいつはいつ来ても鍛治ばっかしてるな。勝手に入って大丈夫だから奥行くぞ」


 重く大きな扉を開けると熱風が吹いて来ます。中では金床にひたすらハンマーを叩くドワーフの姿がありました。


「こうなったら終わるまで話を聞かんやつだ。ドワーフは皆そうだが、待っててくれ。暑さは大丈夫か?俺たち以外の種族は暑さに弱いと聞くが?」

「大丈夫です。これぐらいの温度は問題ありません。それよりもここで鍛冶を見ていたいです。興味深いです。」

「そうだよな、やはり鍛治は素晴らしいよな」


 隣で頷いているドルストさんの側でドワーフ王の作業を見ます。熱し叩き折り重ねまた叩き、その繰り返しをこれまで幾度も繰り返したであろうその作業を見ます。どれだけの時間が経ったかわかりませんが出来上がった剣を見て銘を入れた王は満足そうに頷きました。

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