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彼と喜びと絶望との繰り返し  作者: 青木 綾
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彼からのメッセージ

その後も2、3日に一回は圭太君からメッセージが来て、私を心配してるのか、ただの近況報告なのか、友達とふざけた話や、仕事で大変だった事、趣味は音楽で、暇さえあれば聴いているし、LIVEにも行く事、音楽は素晴らしいとかそういう他愛も無い話をしてくれた。私は、うんうん、とか、そっかぁ。大変だったね。とかただの返事しかして無かったけど、圭太君からのメッセージは、楽しみだった。今日はどんな内容の話があるのかなとか、考えるだけで嬉しくなった。やり取りの中で二人共通の好きな音楽が話題に上る事が多くなった。共感する部分が多くあったし、話も盛り上がった。「いつか、そのバンドのLIVEを一緒に行けたらいいね笑」なんてどちらとも無く、出てきて、「そうだね。」なんて言っていた。私は、私だけかも知れないが、二人の中に何か新たな気持ちが生まれて行くのを感じていた。


警察からの連絡は相変わらず無かった。ユーザーネームの人物は名前すら違う人物かも知れない。今頃どこで何をしているのか、更なる被害者がいるのかもしれないと思うと、恐怖と悔しい憎しみの気持ちは拭えなかった。そして、まだ、私の中にもあの時の記憶は残っていて、圭太君から誘われていた、私を元気にしてくれる会にも顔を出す事が出来ずにいた。不特定多数の人の中に行くのが怖くてやっぱり、あの時のこと思い出す。他の人は、何かを察して帰ったのだろうか?何故、あの時、私は女子一人になったのだろうか。もっと周りをよく見ていればよかった。新しい楽しさとワクワクで男女構わず話していたと思っていたが、連絡先を交換したのは男性だけだった。そういう所が女子から敬遠されたのかな。敬遠される様な事をされたわけでも無いし、直接何か言われたわけでも無い。噂はされているのかいないのか私には分からなかった。圭太君に聞けば分かることかもしれないけど、知りたいとも思わなかったという事と、圭太君との楽しい会話を続けたくてそんな話題は出す事が出来ずにいた。女子達は私をどう思っていたのだろう?もしかして、ユウスケと繋がりのある人が居たりしないだろうか。私は騙しやすいとか言われて居たりしないだろうか。そう考えただけで、また変な事件や嫌な目に遭うのは避けたくて、なかなか行く気にはなれなかった。自分ではなんとも無いと思ってた事柄は、自分が思ってる以上に深く水の底からなかなか上がれない、水底に沈んでしまった船の様だった。この気持ちをなんとかしたいという、想いは抱いて居たのは確かだが、きっかけが掴めずにいた。

いつもの圭太君とのやり取りの中で、また、好きなバンドのLIVEの話になった。いつもと変わらない話で終わるのかと思ったら、今日はちょっと違っている。「3月18日にLIVEがあってさ」と具体的な話になっていき、「いきたいと思ってるんだけど、このバンドの良さを知っている人が知り合いに中々居なくてさ」って、この後のメッセージって、大抵、、と思っていると「ロココさん、一緒に観に行かない?」という予想通りの展開だった。嬉しくもあり、ちょっと最近は沈んでいたしストレスを発散させたい気持ちもあり、もちろん、圭太君と一緒に行けることに心躍る気持ちでいっぱいだった。私は「そうだね。行ってみたい!」と返答していた。これが彼との初デートになった。

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