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魔境探索は妖精と共に  作者: 青雲あゆむ
魔族介入編
41/82

40.最終決戦

 魔大陸の制覇を目論む魔族の過激派アスモガイン一党を追いかけてきた俺たちは、とうとう奴らの拠点を発見した。

 捕虜を捕まえて内部状況を確認したら、俺たちだけでも制圧できそうだったので、殴り込みを掛けることになる。

 殴り込みメンバーはこうだ。


レベル14:俺、カイン、レミリア、サンドラ、リューナ、リュート

レベル9:ジード

レベル8:チェイン、アレス、アイラ、ザムド、ナムド、ダリル

レベル7:シュウ、ケンツ、レーネ、ガル、ガム、ケシャ、アニー、ケレス

眷属:キョロ、シルヴァ、バルカン


 ちなみに妖精迷宮攻略に参加した者は、強化レベルがひとつずつ上がっている。

 そこに2軍メンバーを加えた21人と、3体の眷属で殴り込みを掛ける。

 残念ながらガルダ、アトム、マルスは体がでかすぎるので地上で待機だ。


 それと、ここにいないドラゴとセシル、リズ、カガリはボビンと一緒にカガチを守っている。



 準備を整えた俺たちは、密かに敵の拠点に接近し、まず地上部分に侵入した。

 隠蔽された扉をサンドラの土魔法で取り除き、中に入ると騎乗用の魔物が何体か囚われていた。

 まずは、ガルダの娘だと思われるワイバーンを探し出し、隷属の金属環を取っ払う。


 そのうえで『結合リンケージ』して俺が味方であることを理解させると、彼女が嬉しそうな声を上げる。

 そのまま外へ出るよう指示すると、喜んで出ていった。


 残りの騎乗用の魔物も、敵の逃亡を防ぐために全て逃がした。

 それが終わると、いよいよ地下への侵攻を始める。


 地下1階に降りてシルヴァに敵を探らせると、この階には狼男ウェアウルフしかいないことが分かった。

 捕虜も言っていたが、やはり種族ごとに固まる傾向があるので、自然に住み分けてるらしい。


「な、なんだお前らはっ? ゲボッ」

「獣人ふぜいが堂々と、グアッ」

「敵襲だ~、対抗し、グベッ」

「貴様ら~、グボウッ」


 20人近くいたウェアウルフを、出会ったそばから倒していく。

 ウェアウルフってのは人型だが、全身毛むくじゃらで、顔も狼そのものの魔族だ。

 そこそこ強いが、1軍メンバーにとっては敵でなく、レベル8のメンバーとほぼ互角ってところだ。

 主に2軍メンバーに頑張ってもらって、地下1階を制圧した。



 続けて地下2階に侵入すると、今度は淫魔インキュバスが待ち受けていた。

 インキュバスってのは夢魔サキュバスの男性版で、幻術や魅了魔法を使ってくる。

 そして敵を骨抜きにしたところで、喉首をかっ切る戦法が得意なのだが、俺たちにその手は効かない。


 うちのメンバーってのはある意味、俺に魅了されてる状態なので、インキュバスの入り込む余地がないのだ。

 俺自身も元々それ系の耐性が高いので、やはり効かない。

 さらに奴らの幻術も、それを見破れるチャッピーやケレスと感覚共有することで封じられる。

 結局、大して身体能力が高くないインキュバスはバタバタと倒され、比較的短時間で2階の制圧は終わった。



 地下3階で待ち受けていたのは、蛇女ラミアだった。

 ラミアってのは、上半身は人間の女性のようだが、下半身は蛇という魔族だ。

 下半身が長大な蛇体になってるので、これに巻きつかれると厄介だった。


 ザムドとダリルが巻きつかれて死にかけてたが、俺とリューナが強魔弾で援護してやると、あとは自力で倒していた。

 他のメンバーも苦戦はしていたが、4半刻程度で制圧できた。


「さすがにラミアとなると、手強いですね」

「ああ、敵も必死だろうからな。しかし、誰も投降してこないとこを見ると、アスモガインもけっこう人望があるんだな」


 俺たちは機会を見つけては、敵に投降を促していた。

 いちいち殺すのも面倒だし、ひょっとしたら嫌々従ってる奴もいるんじゃないかと思ったのだ。

 しかし、ここまでに投降した者はおらず、皆殺しにせざるを得なかった。



 少し休息を取ってから地下4階に侵入すると、今度は蛸女スキュラの歓迎を受けた。

 スキュラとは、女性の上半身にたこの体をくっつけたような魔族だ。

 上だけ見れば妖艶な美女の下で、蛸の触手がうねうねとうごめいてるのは、なんとも言えない絵面えづらだ。


 彼女らにも投降を促したのだが、返ってきたのは水の奔流だった。

 どうやらスキュラは水魔法が使えるらしい。

 とりあえず魔盾の障壁でそれを凌いだ俺たちは、直ちに反撃に出た。


 しかし8本もの触手を持つスキュラには、容易に取りつけない。

 近寄ると触手が飛んできて絡め取ろうとするし、さらに水の塊や氷の槍まで飛んでくるのだ。

 さすがに1軍メンバーはいい勝負をしてたが、2軍はグダグダだったので俺が援護した。


火槍フレイムランス


 炎の短剣から伸びた火線を手近なスキュラに向けると、敵が大きく怯んだ。

 それだけでは致命傷にならないものの、何本かの触手を焼き切ってやると、格段に戦力が落ちた。

 後始末は前衛に任せ、次々とスキュラの触手を焼いていく。


 さらにキョロやバルカン、リューナ、レーネ、チェインが魔法で援護すると、形勢が一気に塗り替わる。

 やがて4階の制圧も完了した。


「フーッ、けっこう厄介だったな、スキュラってのは」

「はい、さすがは魔族、と言ったところですね」

「次はいよいよデーモン族との戦いだから、ちょっと休息しよう。チャッピーはケガ人の治療を頼む」

「うむ。ケガ人はこっちに来るがよい」


 激戦だったため、前衛のほとんどは何かしらの傷を負っていた。

 しかし幸いにも深手の者はおらず、チャッピーの治療で次々と戦闘力を回復していく。



 そしていよいよ地下5階に侵入すると、シルヴァから報告が入った。


(主よ。敵は全て、この通路の向こうに集まっているようだ)

「あのでかい扉の向こうか。手ぐすね引いて待ち受けてるんだろうな」

「上で戦っている間に介入してこなかったことからしても、何か罠が仕掛けてありそうですね」

「その可能性が高いな。こういう時の罠って、どんなのがあるか知らないか? ケレス」


 カインから罠の存在を示唆されたので、ケレスに聞いてみる。


「え~、そんなの分からないよ……でも考えられるとしたら、魔法封じの結界とか、建物を壊して生き埋めにするような罠かなあ」

「ふむ……敵の真っ只中に突っ込むんだから、何があってもおかしくないな。念のために準備だけはしておくか」

「しかしデイル様、罠の正体も分からないのに、何をするんですか?」

「そこは、いくつか考えて対処するさ」



 その後、いくつか罠への備えをしてから、奥の部屋へ向かった。

 身長の倍ほどもあるでかい扉を開けると、そこは広い部屋だった。

 部屋の奥は1段高くなっており、その壇上に20人近い敵がズラリと並んでいる。


 おそらく全員がデーモン族であろうが、その容姿はマチマチだった。

 中央の玉座にアスモガインが座り、その横には女の副官が控えている。

 その周囲には立派な角を生やした魔族が並んでいて、さらに外側にいるのは角が小さいか、生えていないような奴らばかりだ。

 察するに、角が大きいほど年長で、力も強いのではないだろうか。


「よう、アスモガイン。ようやく会えたな。上でお前の部下が必死で戦ってたのに、見殺しにするとはひどいな」

「フンッ、貴様ごとき下賤な存在なぞ、あいつらで十分だと思ったのだがな。ここまで侵入を許すとは、頼りない奴らよ」


 以前、会った時も偉そうだったが、ここまで侵入を許したわりには自信満々だ。

 これはいよいよ、何か仕掛けがあるな。


「シルヴァ、やれ」

(了解)


 ここでシルヴァが渾身の風魔法”風刃嵐”カッターストームを部屋の中に放った。

 しかし敵もさるもの、全ての魔族が簡単に攻撃を凌いでみせる。

 アスモガインに至っては小指ひとつ動かさなかった。


 しかし、とりあえず室内に伏兵がいないことだけは分かったので、俺たいはゾロゾロと玉座の間に侵入した。

 部屋の中ほどまで進むと、改めて声を掛ける。


「もういいかげん、終わりにしないか? アスモガイン。あんたらが降伏してくれるなら、それを受け入れる用意はあるぜ」


 そう問いかけると、奴は面白くもなさそうに言った。


「なぜ、我が降伏しなければならんのだ? まるでこっちが負けているかのような言いぐさは不愉快だな」

「現実にここまで、俺たちの侵入を許してるじゃないか」

「フハハハハッ、まだ分かっていないのか? わざわざ罠の中に飛び込んできたことを」


 奴がそう言った途端、俺たちに何かが降りかかった。

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新作始めました。

新大陸攻防記 ~精霊はフロンティアに舞う~

インディアンの境遇に似た先住民を、日本から召喚された主人公が救います。内政もする予定。

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