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異界の旅人 ~己が為に彼らは旅をする~  作者: 鈴風飛鳥
第2章 「仲間」  ~そして共に歩むもの~
35/36

第30話 「新たな仲間と共に」

 遅れまして30話! 待たせてしまって申し訳ない(多分誰も待っていないだろうけど)。

 お約束のまとめ展開、会話増し増しでお送りします。


追記:誤字脱字修正しました


 ズィルバーンヴォルフ奪還及び異界の問題の元凶となったシュバインとの対決を終えたアスカと奏多。ショーテントを出ると外界は明るく、紺色の空は朝日に照らされオレンジとピンクのグラデーションに彩られていた。


 朝焼けの空を見ながらショーテントから出た二人は、

 

 「……眠い、寝たい」

 「右に同じく」


 と疲れ切った様子で、言葉少な目に会話を交わす。


 この国の金をほぼ使い切った二人は審議の結果、唯一話が通じそうなガラードの魔武器屋へと足を運んだ。

 朝早くに起こされ、最初は驚いていたガラードもすぐに理由は聞かず、奏多たちの為に寝床と朝食(二人が目覚めたのは昼時なので今となっては昼食)を用意してくれた。


 そして現在、朝食兼昼食をとり終えた二人はガラードを交えながら、今回の異界の問題について反省会及び状況を整理している最中……なのだが――、


 「んで? 嬢ちゃんの言ったことも守らずにそこの馬鹿は魔法が使えるかどうかも分からねぇのに魔武器を放り投げたのか?」

 「はいガラードさん。しかもそこの馬鹿は魔法が使えなかった時の事を考えていなかったらしく、最終的には開き直りましたよ」

 「……馬鹿だな」

 「馬鹿ですね」


 二つの冷たい視線が馬鹿(奏多)へと集中する。

 二人の会話を隣で黙って聞いていた馬鹿(奏多)は、冷たい視線をはねのける様に身振り手振りで抗議し始めた。


 「馬鹿馬鹿うっせーなっ! 俺なりにできることをした結果なの! 役には立てただろ!」

 「って言ってもほとんど嬢ちゃんのおかげじゃねぇか」

 「俺は敢えてサポート役に徹したんだよ」

 「はいはい、ありがとうね」

 「軽っ! 頑張ったのに!!」

 「私の頼みを聞かないで、考えなしに乗り込んできた人がどの口で言ってるのかしら」

 「あれはズィルバーンヴォルフを見失わないように追ったからなの! 助けを呼びに行く暇なんかなかったんだ! 俺の所為じゃねぇ!」


 奏多の必死の訴え虚しく、アスカは「あっそ」と軽く流した。

 そんな彼女の様子を見た奏多は言い返してやりたい気持ちを必死に堪える。


 「でもこれで魔法が使えないことが分かった。それだけでもいいと思うが」


 フォローになってないフォローをするガラード。つまり魔法が使えない=役に立たないことが判明しただけであって、奏多的にも状況的にも少しもよくない。


 「今は使えないだけだ。特訓すりゃ俺にだって使いこなせる」


 ガラードの一言に改めて役立たずの称号を突きつけられたように感じた奏多は、頬を膨らませて子供のように意地を張った。奏多の「特訓」という言葉にアスカはニヤリと意地の悪い笑みを浮かべる。


 「じゃあ、後で厳しめの特訓メニュー考えておくから、そのつもりで」

 「……マジ?」

 「――マジ」


 彼女の目が心なしか輝いているように見えた。どうやら本気のようである。

 奏多は自分が言ったことを若干後悔しつつ、この先こなすであろう地獄の特訓を想像しただけで憂鬱な気分になった。


 「で、ガラードさん。どこまで話しましたっけ?」


 脱線してしまった話を元に戻す為、アスカはガラードに話の経過を尋ねる。


 「団長――シュバインが予備のステッキを取ったところまでだな」

 「そうでしたね」


 話の腰を折ってしまったことを申し訳なく思いつつ、急いで話の路線を修復する。そこへ奏多も加わって最後のまとめにはいった。


 「予備のステッキで魔法を使おうとした瞬間、通常の魔法が発動せずに闇魔法が発動。その後現れた漆黒の扉の中にシュバインが引きずり込まれて終わった……」

 「簡潔に述べるとそういうことね」


 奏多の言っていることに間違いがないと同意しつつ、アスカもうんうんと頷いている。

 二人の話を聞き終えたガラードは、まず素朴な質問を二人にした。


 「その後、サーカス団はどうなったんだ?」


 ガラードの質問に二人の表情が曇る。

 顔を見合わせ、奏多が顎でアスカが先に話す様にと促した。


 「……まず、私がボロボロになってしまったショーテント内部の修復作業をしました。その後ショーテントの片づけをするために起きてきた団員さんたちに団長とジェラルドさんの事を話そうとしたんです。そしたら――」


 その先を言わずに奏多に視線を送る。

 視線に気づいた奏多が、今度はアスカの言葉を引き継ぐようにして答えた。


「団長のシュバインは行方不明扱い。団員のジェラルドに関しちゃそんな人いないって答えたんだ」


 その時の団員たちの様子を思い出しながら奏多は語る。


 団長が居なくなったことで慌てる団員たち。ジェラルドの事を聞くと彼らは不思議そうにしながら首を捻っていた。まるで存在そのものがなかったかのように――。


 「――なぁ、闇魔法ってそもそも何なんだ? 何で発動したんだ?」


 魔法の知識に疎い奏多はアスカとガラードに対して疑問をぶつける。

 先に口を開いたのはアスカの方だった。


 「闇魔法は他の魔法とは違って少し特殊でね。要は人を苦しめる為に創りだされた魔法なの」

 「人を、苦しめる……?」


 アスカの言葉に背筋が凍りつく感覚を覚える。そんな魔法が存在するとは想像してなかったのだ。人は恐ろしいことを考え付くものである。


 「怪我や病気、果てには直接死に至らしめるものまであるわ……特に直接死に至らしめるものは上位のもの。怪我や病気の類は程度によるけど下位~中位って所ね。(もっと)も、闇魔法は創る方も使う方もかなりの知識と技術を要するけど」


 あくまで冷静に話を進めるアスカ。

 と、ここで奏多はある考えに至った。

 

 「待った。魔法ってのは自由に創れるんだよな? だったら闇魔法なんて創り放題、使いたい放題じゃねぇか?」


 魔法はイメージが大事だと以前にアスカは言っていた。だとしたら人を苦しめるような魔法が思いつく限り、無制限に創り続けられるではないか――。

 言い知れぬ不安が奏多の中に積もっていく。


 「ところがどっこい、そうもいかねぇんだなこれが」

 

 そんな奏多の不安を察してか、ガラードが首を横に振りながら否定しながら話した。

 

 「人が次々に死ぬような魔法ばっかり創っていたら世界の秩序が乱れる。秩序が乱れれば魔女たちが黙っていない」

 「それに人を苦しめたり、殺したりする魔法なんて倫理的な問題もあるしね。皆、一度は考えたことはあっても創りだすまでには至らなかった。暗黙の了解(・・・・・)ってやつね」


 そこへガラードの言葉に頷きながらそこに付け加える様にアスカも説明する。

 『人は殺してはならない』。それはどこの異界も共通の事らしい。


 奏多はホッと胸を撫で下ろしたが、表情が暗いままのアスカ。

 そして続けざまにこう言い放った。


 「でも、その暗黙の了解を破って闇魔法を創りだしてしまった一人の男がいたの」

 「馬鹿じゃねぇのそいつ」

 

 闇魔法を創りだした人物を思わず馬鹿呼ばわりする奏多。他の人が触れなかった禁忌に敢えて触れてしまったのだから、その男は相当イカれた野郎だと自分の中で位置づけた。

 アスカも奏多の言うことに「そうね」と苦笑しながら続ける。


 「男の名は『マッドネス・ヴァニッシャー』。またの名を『黒狂(こっきょう)』。彼は研究者として……何より旅人として新しい魔法を創ることに熱意を注いでいた」


 奏多はその名前に身震いしつつ、今後闇魔法を見かけることがある度にその男の名を思い出すことになるだろうなぁといらぬ心配をする。


 「でも魔女たちはマッドネスが創り出した闇魔法を認めるわけにはいかなかったわ。一度認めてしまえば、次々と闇魔法が創られて世界の秩序が乱れてしまうから」

 「そこで魔女や旅人達が協力してはマッドネス諸共(もろとも)闇魔法を封印し、世に広まるのを防いだ……はずだったんだ」

 「はずだった?」


 ガラードの含みのある言い方。おそらく完全には防げなかったと言うことだろう。完全に防げていたら先ほどのような出来事も起こっていないのだから。


 「マッドネスが闇魔法を創りだす過程を記した研究手帳や資料があるんだけど、どうも彼が封印される前にその一部が外部に持ち出されたらしいの。その一部が改良されて巷に出回ってしまった……って魔法図書館の文献にはあるわ。もう何百年も前の事だから実際には分からないけどね」


 アスカもこれ以上はお手上げという様に首を横に振る。

 何百年も前の事が文献に載っているだけでも大したことだが、事実とは異なる書かれ方をしている場合もある。本当の歴史は闇の中と言うことだ。


 「嬢ちゃんは闇魔法を目にしたことがあるのか?」

 「私は今回含めて四回ですね」

 「アスカは前にアレを見たことがあるのか」

 「――実物じゃないけど……まぁ、ねぇ」


 一瞬の間。これは何かある。

 そう思った奏多はそのまま彼女を追及する。


 「何だよ、そのお茶を濁すような言い方」

 「あーっと……」


 奏多の言葉に戸惑うアスカは、横目でガラードの顔色を窺った。

 ガラードは気にするなといった感じでアスカに視線を送り返す。


 その様子にホッとしたで、アスカはその重い口を開いた。


 「……魔法図書館にある閲覧禁止の書庫(・・・・・・・)に忍び込んだ時(・・・・・・・)に闇魔法に関する本があって……それに載っていたわ」

 「お前何してんの!?」


 衝撃の告白をするアスカに思わずツッコみをいれる。彼女自身もやってはいけないことと知っていたのだろう。言うのを躊躇ったのもガラードに確認をとるような仕草をしたのも納得である。

 

 奏多の興味は闇魔法に関することも、彼女が取った行動の方に向いてしまう。


 「依頼を受けていたのよ! どうしても調べなきゃならないことがあったの! 私だって捕まる寸前だったんだから!」


 アスカはこれ以上追及されまいと早々に話を切り上げる。目の前に座るガラードからは「嬢ちゃんも意外とやるなぁ」との呟きも聞こえた。


 「おっほん。話を戻すわよ。アレは『冥界の扉』って言ったかしら。対象となった人物を冥界へと通じる扉の中へと引きずり込んで二度と出られなくする。扉の中に入ったが最後、死んだも同然ね」


 わざとらしく咳払いしつつ話を戻すアスカにもう少し追求したかった奏多だが、これ以上の話の脱線は無意味だと悟り話に乗る。それにこれから先聞く機会などいくらでもある。


 「冥界ねぇ。物騒な世界もあるもんだ」


 この先の旅路でそんな世界に行かないことを奏多は心の中でひっそりと願う。


 「発動条件は『対象となった人物が闇魔法のかかった魔武器に魔力を込める』こと。今回の場合はこの予備のステッキ」


 アスカはシュバインが最後に使った予備のステッキを持ちながら説明する。

 奏多は再び闇魔法が発動しないか内心ハラハラしたのだが、アスカには気付かれなかったようだ。


 「私と奏多がジェラルドさんに会った時、ジェラルドさんはこの予備のステッキを持ちながら何かを唱えていた」

 「あ~あの時か……何かゴニョゴニョ言ってたような」


 二人がショーテントに入った時、ジェラルドはひとり言のように何かを呟いていた。

 端から見ると独り言を言って居るようにしか見えないソレは、おそらく闇魔法の詠唱の最中だったのだろう。


 「これは私の推測だけど、ジェラルドさんは次のサーカスショーの最中にトラブルを起こそうとしていたんじゃないかしら」

 「なんでそう思うんだ?」

 「団長は戦闘用のステッキとショーで使う予備のステッキとを使い分けていた。早く団長を消すには戦闘用のステッキに闇魔法をかけて自ら戦闘を仕掛ける状況を作りだせばいい。でも私と戦った時、彼は異空間から戦闘用のステッキを取り出した。よってこの状況を作りだすのは不可能に近い。だとすれば――、」


 ――闇魔法のかかった予備のステッキを使う状況を作り出すこと。

 

 ここからは奏多もある程度予想できた。


 「――ショーの最中トラブルを起せば、わざわざ戦闘用のを取り出さなくても手元にある闇魔法のかかった予備のステッキで魔法を使わせればいい。そこで闇魔法の発動……ってところか。デストラップだな」

 「でもそうなる前に私たちが現れた」


 ジェラルドにとっては想定外の出来事だっただろう。

 しかし、彼は自らアスカたちに団長を何とかするように頼み込んだ。


 「……ってことは俺たちは利用されたのか」


 奏多の中で悔しさと怒りとが入り混じる。

 あの時ジェラルドから詳しい話を聞きだしていれば一緒に打開策を見つけて、最悪の状況を防げたかもしれない――。

 いくら自分たちが状況を知らなかったとしてももう少し相談してくれても良かったのではないか――。


 発散しどころのない思いが自分の中でグルグルと渦巻いている。


 「そうかもしれない。もしくは他の団員を巻き込まない為に私たちに任せたとも取れるわね。今となってはどっちでもいいけど」


 アスカは終わってしまったことは仕方ないと割り切って話を進める。


 「でも変だよな。皆、団長の事は覚えてるのにキザメンの事は覚えていない」


 行方不明扱いの団長に、存在そのものがなくなっているジェラルド。いくらなんでも不自然すぎる。


 「闇魔法を使うと代償を伴う。使う闇魔法の種類によるが、今回のケースはおそらく闇魔法を使用した術者の存在消滅だな」


 奏多の疑問にガラードが答えた。危険な魔法を使うには大きなリスク無しでは無理ということだろう。


 「でも俺たちの記憶に残っているぞ」


 他の人々が覚えていないことを自分たちは覚えている。この差は一体――。

 そこへアスカが話のフォローをする。


 「それは魔女の恩恵のおかげね」

 「魔女の恩恵って旅人になった時、テュフォンがやってくれたアレか」


 魔女の恩恵を与えられた時の事を思い出す。

後の説明の時に、異界の言語と文字の自動翻訳とテュフォンは言っていた。――加えて『他にもちょっとしたものがあるけどね』とも。


 「そうそう。その一つとして『外部からの(・・・・・)記憶への干渉(・・・・・・)』を防いでくれる。簡単に言えば魔法で記憶が消されたり、改竄されたりするのを防いでくれるのよ」

 「おい、そんな便利な機能の説明聞いてねぇぞ」

 「便利でもなんでもないわよ。そもそも魔法がない世界でなんて役に立たないし」

 「んーそうか……?」


 何とも言えない返事をする奏多。


 言われてみれば意図的に記憶が消される事態なんて滅多にない。

 アスカが化け物を倒した後の処理として、その場に居合わせた人々から記憶を消したと言っていた。そうした事例がない限りは使われることのない恩恵だ。加えて意図的に発動するものでもないので、自分がいつ外部からの干渉を受けたのかも分からない。


 「それに自分で覚えたことを忘れた場合は効果がないわよ。自分で忘れるのと他人に消されるのじゃ大違い」


 今回はその魔女の恩恵のおかげで記憶に関する影響がなかったわけだが、普段生活する分には何ら影響もないと言うことである。


 「嬢ちゃん、ちょっと聞きてぇんだが」


 疑問が晴れたところで、今度はガラードがアスカに質問した。


 「その闇魔法を使ったジェラルドって奴、魔法の腕は?」

 「普通でした。闇魔法を使う知識も技術もあるようにはとても見えませんでしたし……」

 「ふむ……どうも引っかかるな。なんでそんな奴が闇魔法を使えるんだ?」


 眉間にしわを寄せ訝しげな表情。ガラードの自問自答とも取れる問いに答えられるものはこの場に居なかった。


 「「「……」」」


 暫しの沈黙。手がかりが少ない為、これ以上は考えようがない。


 「過ぎちまったものを悩んでもしょうがない。一旦この話は置いといて」


 重い沈黙を破る様に、ガラードは話題を切り替える。


 「嬢ちゃんたちはこれからどうすんだ?」


 ガラードのセリフにデジャビュを感じた奏多だが何も言わない。

 一方で、アスカは困った表情を浮かべると、


 「この世界でやるべきことを終えたんで次の異界に向かい……たいところなんですが……」


 敢えて今まで触れなかった存在にアスカは視線を送った。


 アスカと奏多が座る位置の丁度真ん中。一度も存在を主張することはなかったものの存在感が否応なしに伝わってくるソレ(・・)は、時折尻尾を振りながら犬がおすわりをするように大人しくちょこんと座っていた。


 「まずはこのズィルバーンヴォルフの子どもをどうにかしなくちゃ」


  言いながらアスカは丁度いい位置にあるズィルバーンヴォルフの子どもの頭を撫でる。

 ズィルバーンヴォルフの子どもは気持ちよさそうにしながらアスカの方を見つめた。


 「ふぅん……これが持ち込まれた特有動物って訳か……」


 ガラードは目の前にいるズィルバーンヴォルフの子どもをまじまじと見つめる。元旅人の性分からか、興味がそそられるようだ。


 ガラードがズィルバーンヴォルフを観察している間に、奏多が下から目線でアスカに話しかける。


 「アスカさんアスカさん。物は相談なんですが――」

 「ダメよ」

 「まだ何も言ってねぇだろ!?」


 内容を話していない奏多だが、アスカには彼が何を言おうとしていたのかお見通しらしく、


 「あんたの事だから、『一緒に連れて行きたい』とか何とか言い出すに決まってるわ」

 「うぐっ……」


 言葉に詰まってしまった奏多。どうやら図星のようである。


 「はぁ……そんな事だろうと思ったわ」


 そんな彼の様子にアスカは呆れたようにため息をつく。


 「だってコイツ、今回活躍してくれたしよ……」

 「協力してくれたその子には感謝するわよ。でもそれと連れて行くのは別。私たちは旅行目的で異界を旅してるわけじゃないのよ。捨て猫を拾うのとは訳が違う」


 ごねる奏多に対して厳しく接するアスカ。

 感謝しているのは本当だし、面倒を見てあげたい気持ちもあるが自分たちは異界を旅する旅人。

旅には危険を伴うこともあるため、そう易々とは受け入れるわけにはいかなかった。


 「それに『特有動物は他の異界に迷い込んだ場合は見つけ次第保護して魔女へ引き渡す決まり』。忘れた訳じゃないんでしょ?」


 わざわざ確認してくるくらいだ。その辺は奏多も重々承知しているのだろう。それでも、諦めきれない奏多はズィルバーンヴォルフに抱き着きながら必死に訴える。


 「分かってる。だけど、引き渡した後どうなるか誰もわかんねぇんだろ。元の世界に帰してくれてる保証もねぇ。そんな適当な扱いを、今回の功労者であるコイツにさせるわけにはいかねぇよ」


 抱き着かれたズィルバーンヴォルフは奏多の匂いを確かめるように鼻を近づけたり、顔を舐めたりしている。

 そんな行動に胸打たれてか、奏多はさらに抱きしめる腕に力を込めた。

 

 「それによ、こいつの仲間が生息している世界の情報が出てるうえに、ズィルバーンヴォルフの生態系を調査している人の連絡先もアスカは知ってるんだろ? だったら、その人に連絡とって合流して、こいつを元の世界へ帰すってのはどうだ?」

「うーん……」


 奏多の提案に考える仕草を見せたアスカ。


 (おっ、これは?)


 手ごたえありか――と思った矢先、彼女は静かに首を横に振った。


 「……無理ね」

 「なっ!! なんでだよ!」

 「狼っていうのは基本的に家族……群れで生活しているの。そして得物を求めて広範囲を移動するわ」


 ズィルバーンヴォルフの子どもを見ながらアスカは説明する。


 「この子は長く群れから離れすぎた。元の世界に帰したところでうまく群れに合流できるか分からないわよ」

 「それなら、俺たちでコイツの群れを見つけ出すってのは!?」

 「ブランエベールは相当広いから難しいわね」

 「うーんと、じゃあ……」

 「あんたも諦めが悪いわねぇ」


 呆れた様子のアスカは、ズィルバーンヴォルフの子どもを指差す。

 

 「じゃあ仮にこの子を旅に同行させたとしましょう。で、誰が世話をするの? 餌は? この子が危なくなったとき誰がこの子を守るの? 私? いつも傍にいるとは限らない。奏多? 守れるだけの力がない。それこそ無責任じゃない」

 「保証も無い魔女に預けるのも無責任だと思うぞ」


 睨み合うアスカと奏多。そんないがみ合う二人の間に、


 「あー……ちぃとばかし口挟むぞ」


 ガラードが割って入った。

 二人の鋭い視線がガラードへと注がれる。


 「嬢ちゃんの考えは正しい。旅人としてならそれでいいだろう」

 「ジジイ!」

 「とは言え、兄ちゃんの気持ちも分かる。特に魔女の事に関しちゃ俺も完全には信用してなかったしな」

 「ガラードさん!」


 どっちつかずの意見を述べるガラードに対し、二人は椅子から立ち上がると顔面ギリギリまで距離を詰める。

 そんな二人に対して「まぁ待て落ち着け」と両手で抑える仕草をした。


 「お前らに……正確には嬢ちゃんに一つ提案なんだが、この件は一旦保留にしとくってのはどうだ?」

 「「保留?」」


 ガラードの提案に二人の声が重なる。


 「あぁ。聞いていた話の中にはズィルバーンヴォルフの生態系に詳しい奴がいるんだろ? そいつの意見を聞いてからその狼をどうするか決めたらいい」

 「でも! 魔女に預けるのは決まり事で――!!」

 「嬢ちゃんはなぁ。物分かりは良いようだが、少し頭が固いな」

 「かたっ――はい!?」


 予想もしていなかったガラードの一言に思わず声が裏返ってしまったアスカ。

 そのまま追い打ちをかける様に、ガラードは話を進める。


 「魔女に預けるってのは旅人の方で管理しきれない場合(・・・・・・・・・)であって、連れて歩く分には問題ないはずだ」

 「この狼は特有動物なんですよ!?」

 「お前ら旅人だって似たようなもんだろ? 元々その世界にしか存在しない特有の人間なんだ。人間も動物も変わりゃしない」

 「でも、ルールを破ることになりかねない訳で!!」

 「旅人ってのはそのルールを破るか破らないかの瀬戸際を判断して行動している。嬢ちゃんの性格を見た限り、何度かいらぬお節介焼いたことあるんじゃねぇか? うん?」

 「――!! それは……」


 戸惑いながらも反論しようとしたアスカだが、言葉が出てこないのかそのまま黙ってしまった。どうやら心当たりがいくつかあるようだ。


 「で、お前はどうなんだ?」


 言葉が通じているかは分からないが、ガラードは目の前に座る銀色の狼に尋ねる。


 「……」


 返事はない。海色の瞳がただ見つめ返してくるのみである。

 それでもガラードはズィルバーンヴォルフに再度尋ねた。


 「――お前は、助けてくれたこいつらに礼がしたいんじゃないのか?」

 「……」


 黙ったまま。

 ――やはり伝わっていないのだろうか。この場に居た全員がそう思った時だった。


 「バウッ!!バウバウッ」


 今まで大人しかったズィルバーンヴォルフが元気よく反応し、濡れた鼻先をアスカと奏多に交互にこすり付ける。

 それは二人の旅についていく意思を示しているように見えた。


 「「――!!」」

 「……決まりだな」


 ガラードは満足したようでフッと軽い笑みを浮かべる。奏多たちがこの世界に来てから初めて見せた笑みだ。


 「でもまぁ嬢ちゃんだって魔女がいる世界の一つや二つ、座標固定しているんだろ。いつでも預けられるってことで、少し様子を見てもいいんじゃないか?」


 最後に念を押しながらアスカに聞く。

 笑うガラードに真剣な顔つきの奏多、ズィルバーンヴォルフの子どもの視線がアスカに集中する。


 アスカは熱い視線を一身に受けながら数分間頭を抱え、悩みに悩んだ後、


 「……はぁぁぁああああ~」


 魂ごと抜け出ていってしまうのではないかと言うほど、近年稀に見る長い溜息だった。

 そして、椅子から立ち上がると奏多たちと距離をとる。


 「――?」


 アスカの行動に疑問を抱きながら黙って様子を見守る奏多。


 彼女は部屋の隅まで行くとウエストポーチからDRを取り出し、何やら操作し始めた。そのままDRに向かって話し始める。


 「――あっもしもし? アスカです。今、何処に居ますか?」

 

 先ほどの会話とは違って、高い声色で話し始めるアスカ。内容から察するに誰かと連絡を取っているようだ。


 「――ギルドですか! 丁度良かった! 実は折り入ってジークさんにご相談したいことがあって……」


 アスカが連絡をとっている間に奏多はガラードに話しかける。


 「あんがとなジジイ。とりあえずはコイツともう少し一緒に居られそうだ」


 ズィルバーンヴォルフの頭を撫でながら礼を言う。

 自分一人だけではアスカを説得するには至らなかっただろう。


 「あぁ。でも、言ってることは嬢ちゃんの方が正しいからな。嬢ちゃんの手を煩わせず、お前がしっかりコイツの面倒見てやるんだぞ」

 「おうよ! これからよろしくなワン公!」

 「バウッ!」


 ズィルバーンヴォルフの子どもは元気よく吠えると、自分の頭を撫でていた奏多の手を甘噛みした。


 「へへっ。後で名前も付けなきゃな」


 かっこいいのがいいなぁ、と奏多が考えているととアスカの方の会話も終わりに差し掛かっていた。


 「――はい。では準備を整え次第そちらに向かいます。え? あー噂の彼も一緒ですけど……皆で寄って集って彼をいじめないであげて下さいね。では後程――」


 そのままDRの電源を切ると、奏多たちがいる方へと戻ってきたアスカ。


 「次の行き先が決まったのか?」


 恐る恐る様子を窺いながら奏多は尋ねる。

 半分以上は諦めているアスカだが、気が重いのか奏多たちの元へと戻る足取りがどこか重いように感じられた。


 「えぇ。ちょっと寄り道した後に旅人達が集うギルドに向かう。そこでズィルバーンヴォルフに詳しい人物――ジークさんと落ち合うことになったわ」

 「ジークって名前、確かズィルバーンヴォルフに関する情報の提供者……だっけ?」


 ズィルバーンヴォルフの生態情報を提供した旅人――ジーク・レーベン。ズィルバーンヴォルフ奪還前にチラリと出てきた名前だ。

 その人物に会うべく、旅人達が集まるギルドに向かうということで話がまとまったらしい。


 「そうよ。そこで彼に相談しましょう。奏多とギルドメンバーとの顔見せも含めてね。それに――」


 と、机の上に置かれた予備のステッキを睨みつけながら、


 「――今回の闇魔法の一件。他の旅人にも知らせておかなきゃならないしね」


 今後起こるであろう厄介な出来事を懸念するアスカだったが、それに奏多が気づくことはなかった。


 「そんじゃ行くとするか」

 「バウッ」


 奏多は椅子が椅子から立ち上がると同時に、ズィルバーンヴォルフも腰を上げた。

 そのままドアの前へと移動する。


 「じゃあ私たちはこの辺で……」


 立っていたアスカも奏多に続いてドアの前まで移動した。


 「また何かあったらいつでも訪ねてこい。相談くらいなら乗ってやる」

 「はい。お世話になりました」

 「バウッ」

 「世話になったな。魔武器、大事に使うぜ」


 それぞれがお礼を言いながら、再び魔武器屋『ガラード』を後にした。




 ◇


 アスカたちが外に出ると同時に時計塔が三時を知らせる鐘を打った。

 国中に響き渡る鐘の音が、まるで新しい仲間の旅路を祝福してくれるかのように心地良い響きに奏多は感じる。


 鐘が鳴り終わったところで、アスカが指輪をはめた右手をかざす。


 「この世界を座標固定。さて、じゃあ次の異界へ……」


 アスカがゲートを開くために魔力を込めようとした瞬間――、


 「バウバウッ!」


 ズィルバーンヴォルフの子どもが吠えながら何処かへと駆け出してしまった。


 「あっ、ちょっとどこ行くのよ!」


 それに続いてアスカも追いかけるように走っていってしまう。


 「また追いかけっこか」


 昨日のズィルバーンヴォルフの逃走劇を思い出し、苦笑する。

 そうしている間にも、アスカとズィルバーンヴォルフは通りの曲がり角の奥へと姿を消してしまった。

 

 「やっべ見失う!」


 置いて行かれた奏多は慌てて一人と一匹を追いかける。

 そして、曲がり角へと差し掛かった時だった。


 「――!!」

 「――のわっと!?」


 どこからともなく現れた人影にぶつかってしまい、よろめいてしまった奏多。

 ぶつかられた相手は動じずにその場で立ち尽くし、奏多を見下ろす。


 「あっ、すんません!」


 全力で頭を下げながら謝罪した。

 奏多は怒鳴られる覚悟をし、直角の姿勢を維持する。


 「……いや、こちら、こそすまなかった」

 「えっ」


 小さく掠れ気味の低い声。目の前の人物は男のようだ。声のトーンからして怒気を含んでいる様子はない。

 非があるのはどう見ても奏多の方だが、何故か男も謝罪する。


 奏多は恐る恐る顔をあげた。


 目の前に立つ男は全身を黒マントで包み込み、顔がフードで隠れていた。一瞬見えた眼元も黒いサングラスをかけており、表情が見えないので怒っているかどうかも分からない。

 奏多の身長は一般的な成人男性よりも少し高めだが、ぶつかった男の方はさらに高い。そのせいだろうか、奏多は大柄な男に対して妙な威圧感を覚えた。


 「えっと、いや、悪いのはこっちで……」


 うまく言葉が出てこない。それは決して威圧感の所為だけではないことを奏多は直感する。


 「……いや、こっちも……見てい、なかった」


 体躯に見合わない声量。

 しかし、底知れぬ何かがソコ(・・)にはあった。


 何も言わないまま奏多が棒立ちになっていると、


 「……失礼す、る」


 黒マントの男が奏多の真横を通り過ぎる。


 「――ん?」


 黒マントの男が立っていた場所で何かが光っている。

 奏多は慌ててそれを拾い上げると通り過ぎた男に声をかけた。


 「あのっ、これ落としたんじゃ――」


 振り返りながら声をかけたはずの奏多だったが、一瞬の間に黒マント男はその場からいなくなっていた。

 男が歩いて行った方の通りへ出てみても姿が見当たらない。


 「……」


 奏多は拾い上げたものを見る。どうやらそれは古いタグのようで、表面に文字が刻まれていた。


 「『ベイル・ブリッツ』。さっきの人のだよな、多分」


 黒マントの男の姿を思い浮かべながら古ぼけたタグを見つめる。


 どうしようか迷っていると、


 「やっと捕まえた! 油断するとこれなんだからもう!」

 「バウッ!」


 アスカが息を切らしながらズィルバーンヴォルフの首根っこを掴んでズルズルと引きずりながら戻ってきた。そこそこの距離を走らされたのだろう。シュバインとの戦いの時よりも息が上がっているように感じられた。

 首根っこを掴まれた脱走犯は興奮気味に尻尾をパタパタと振っている。


 「さぁ、次の異界に行くわよ」


 ズィルバーンヴォルフが再び脱走しないうちに、アスカが早々にゲートを開く。


 「なぁ、アスカ。今、曲がり角ですれ違った奴がコレ落としたっぽいんだけど、お前見なかったか?」


 拾い上げたタグを見せようとしながら奏多は尋ねた。

 すると、アスカは怪訝そうな顔をし、奏多の顔を心配そうに覗きこむ。


 「……あんた何言ってんの? 誰ともすれ違わなかったわよ?」

 「えっ!? いやだってお前が走っていった方向から現れて……」

 

 曲がり角の先は一本道だった。それに置いて行かれたとはいえ、その差はたった数秒。すれ違わないわけがないのだ。しかもアスカとはすれ違わずに自分とだけすれ違うなどもっとありえない。

 

 狐につままれたような顔をする奏多だが、アスカは頭の中で整理する時間を与えなかった。


 「ほら、モタモタしてると置いていくわよ!」

 「えっ、は――!?」


 呆けている奏多の背中を押して、完成していたゲートの中へと放り込むアスカ。続いて自分と首根っこを掴んだままのズィルバーンヴォルフもゲートの中へと入る。


 全員がゲートの中に入ったところで輝きが増していき――――光が消え去ると、そこには誰もいなくなっていた。











 ◇――――


 ――時は遡って、アスカと奏多がシュバインとの対決を終えた直後。


 時刻は午前五時十五分。場所は時計塔の最上部。誰も足を踏み入れることができないはずの文字盤の長針の上。黒色のマントにフードを被った小柄な男が一人、水晶玉片手に上機嫌な鼻歌を歌っていた。


 「――なぁんだよ~今来たのかよ。もう面白い見せもん終わっちまったぜ?」


 誰かに向かって声をかける小柄な黒マントの男。

 隣を見ると、今までいなかったはず(・・・・・・・・・・)の大柄な黒マントの男が長針の上に器用に立っている。


 「……昼間、来た。色々、手を回しておい……たんだ」


 体躯に見合わない声量。男性特有の低い声はわずかながらに掠れている。


 「へっ、どうせま~たその辺ウロついてたんだろ。昔の癖で」

 「……別に」


 そっけなく返事を返す大柄な黒マントの男。表情は見えないが、めんどくさそうにしているのが小柄な黒マントの男には分かった。

 それでも、小柄な黒マントの男は話すのを止めない。


 「しっかし、あの豚。ガキどもにやられてや~んの。こっち側に引き入れなくて正解正解」


 持っていた水晶玉を大柄な男に見せつける。そこには長い髪を青色のリボンで縛り上げた茶髪の女と、前髪が金髪で後ろが茶髪の男が映り込んでいた。


 「……もともと、お前、の人選ミス……だがな」


 大柄な黒マントの男は水晶玉など見向きもしない。それどころか表情が


 「最初は面白そうだったんだけどなぁ。やっぱあぁいう自己中なのはダーメだな」


 小柄な黒マントの男は用済みとなった水晶玉を手の中で弄び始めた。


 「んじゃ、あのジェラルドとか言うやつに闇魔法教えたのはおめぇか」

 「……手頃、な、駒だった。それに俺、たちの……手を、煩わせる迄も、ない」

 「まぁな。おかげで面白いもんも見れたし」


 愉快そうに笑いながら両足をブラブラとさせる小柄な黒マントの男。


 「……そいつら、は。どうす、る……んだ」

 「ん~……」


 唸りながら再び水晶玉を覗き込む。

 少し悩んだ後、


 「今はいいや。そういう気分じゃねぇ」


 興味が失せたようで、水晶玉をポイッと大柄な黒マントの男の方へと投げつけた。

 そのまま立ち上がると、ずっと同じ姿勢で座っていた身体をほぐす様に伸びをする。


 「俺っちはもう帰るけど、おめぇはどうすんだ?」

 「……も、う少し、留まる」

 「そ~かい」


 小柄な黒マントの男は青い宝石が埋め込まれた指輪をはめた左手を宙にかざす。

 すると、異界を移動するためのゲートが現れた。


 ゲートに足を踏み入れる直前、大柄な黒マントの男に向き直ると、


 「でも早めに帰ってこいよ。でないと他の奴らがうるさくてなぁ~」


 ヒラヒラと手を振りながら念押しする。


 「なぁ? ――ベイルさんよぉ?」

 「……」


 ベイルと呼ばれた大柄な黒マントの男の返事はない。いつもの事だ。

 小柄な黒マントの男はそれを確認すると、ゲートの奥へと姿を消していった。


 残された大柄な黒マントの男は、朝焼けに染まっていくファルーレの風景をしばらく目に焼き付けていた。


 ここまで読んでくださっている方々、ありがとうございます。第2章本編はこれにて終了。しばらくは番外編や閑話を挟んでからの第3章に向けて準備運動します。番外編で何をやるかは後程活動報告にて通知します。


 次の話も早く投稿できるように頑張ります。では、失礼いたします。

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