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異界の旅人 ~己が為に彼らは旅をする~  作者: 鈴風飛鳥
第1章 「遭遇」 ~そして物語の幕が上がる~
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第1話 「非日常は突然に」

 前回から引き続きありがとうございます。 また誤字脱字など見つけたら、そっとお知らせください…


追記:文章を少し訂正しました

 ピーヒョロロロロ――……


鷹のような鳥が壮大な青空を優雅に飛んでいる。緑深い森は風に揺られて木々の葉が擦れあい、サワサワと心地良い音を奏でている。かと思えば心地よい音とは裏腹に、森の奥からはグルルルルと獣のような低いうめき声の鳴き声や、キェーッと甲高い動物の声が聞こえてきた。


 そんな不気味な森のひらけた場所に、青年が一人、うつ伏せの状態で倒れていた。気絶しているようだが、目立った外傷は見当たらない。全体的に茶髪の青年は、前髪だけ金髪に染めておりヤンキーのような顔つきであるが、この場に不釣り合いなジャージ姿である。


 「うっ……」


 苦しそうな呻き声をあげると、青年は徐々に意識を取り戻す。ゆっくりと目を開け、上体を起こし辺りを見廻した。そして、


「――ここ、何処だ……?」


 青年――日向奏多(ひゅうがかなた)は、身に覚えのない周りの景色に驚きを隠せず、思わず目を丸くした。

 とりあえず傍に落ちていた自分のリュックを拾うと、よっこいせと身体全体を動かし立ち上がる。木々の隙間から差し込む日の光の先、奏多は目を細めながら空を見た。


 ピーヒョロロロロ――……先程から奏多の真上、遥か上空を鷹のような鳥が旋回しながら飛んでいる。


 その時だった。――ガサガサガサと明らかに何かが草を這う音が聞こえてきた。びくっと身体を震わすと、奏多は思わず身体を低くして身構えた。ガサガサと徐々に音を立てながら近づいてくる――。そして、奏多の目の前に現れたのは……。


――体調4~5メートルはあるだろう、巨大な花の植物だった。


 「……」


目の前のありえない状況に声を発することも忘れ、立ち尽くす奏多。すると、


 「グヴォエオオァァアアッ――!」


と、訳の分からない奇声を発しながら、巨大な花の植物は奏多へと襲い掛かった。


 「はぁぁああ!?」


 混乱しながら叫ぶも、持ち前の運動能力と危機察知能力の高さにより、後方へ飛び退く。

しかし、今の危機的状況が去ったわけではない。巨大な花の植物は、未だに奏多を標的として認識しているようであった。ジリジリとにじり寄ってくる巨大な花の植物に、奏多は思わずたじろぐ。


 (……このままじゃ埒が明かねぇな。……いったいどうすれば――)


 額に汗が滲む。激しい運動をしたわけでもないのに鼓動が早くなる。

 巨大な花の植物から一歩でも遠ざかろうと、右足を後ろにひいた瞬間――。


 ピィーィィイイ!!


 (……?)


 何かの鳴き声を近づいてくるのを感じた奏多は空を見上げる。

 すると、空を旋回していた鷹のような鳥が、ものすごい速度で奏多たちに迫ってくるのが見えた。


 ――次の瞬間、鷹のような鳥がバサバサと音を立てながら、奏多と巨大な花の植物との間に割って入る。

今まで鷹だと思っていた鳥は、真っ白な羽の生えたカラスであった。


 「!!」


 驚きと同時に、そのカラスの姿に一瞬見惚れてしまう奏多。

赤色の瞳に、まるで透き通っているかのように見える真っ白な羽。くちばしも、真っ白で体調は羽を広げれば2メートル程とかなり大きかった。


 カラスは奏多を一瞥すると、何事もなかったかのように巨大な花の植物の方を向く。巨大な花の植物はというと、先ほどまでの奏多に対する威勢はどこへやら、怯えるように真っ白なカラスの方を向いていた。



 (……今のうちに!!)


 真っ白なカラスと巨大な花の植物が対峙している隙を突き、奏多は森の奥へと走って逃げた。何処へ向かっていいのかも分からない、此処が何処なのかすらも分からない奏多は、ひたすら安全な場所を求めて走った。




 ――どれくらい走ったのだろうか。どれくらい時間が経ったのだろうか。少なくとも、まだ日は沈んでおらず、日が少し傾いた程度である。走り続けた奏多は、自分が倒れていた場所とは違った森のひらけた場所で疲労した身体を休ませていた。

 先ほどまで上がり切っていた息も今は正常だが、走ったせいで木の枝や葉っぱが服や背負っていたリュックにくっついたままだ。それらを払い落としながら、


 「……なんでこんなことになってるんだっけ?」


 焦りや混乱を振り払うように、奏多は今の状況を整理しつつ、この状況に陥る前の経緯を思い出していた。


 ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございます。次回は、彼がここに来るまでの経緯の話となります。時間軸があっちこっちするのでわかりにくかったらごめんなさい。不定期投稿ですがよろしくお願いします

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