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異世界革命の戦乙女~ヴァルキリー~  作者: 北斎 侑紀
序章 異世界転移
1/6

 無限に存在する世界の一つに、

 大きな変革が起きた。

 それは、一人の戦乙女(ヴァルキリー)と過酷な運命を背負った少女によって引き起こされた。

 二つの巨大勢力の争いを納め、

 世界を一つに纏めた少女達は後にこう呼ばれた。


 “変革の女神”と。


 彼の者は言う。彼女達が居なければ、

 世界は更なる混沌へと堕ちていただろうと。

 ある者は言う。彼女達こそ、

 世界を破滅に導く魔王だと。


 望まずして戦乙女(ヴァルキリー)となった少女。

 そして、自ら過酷な運命を背負う少女。

 出会うべくして出会った二人の少女達。

 

 この物語は、二人の少女が世界に変革をもたらすまでに至るまでの成長を記した物


 事の始まりは、数ヵ月前までに遡る。



             ◇◇◇



 僕ーー早乙女遥(さおとめはるか)は今、

 草木が生い茂る森林にいます。

 なぜ居るのかと言うと、

 僕自身現状が把握出来ていないんだ。

 ただ、言えることは一つ…………。迷いました!!


 空が枝木で覆われていて、

 太陽の位置すら分からない始末。右を見ても木、

 左を見ても木。

 木、木、木、木ばかり、

 いい加減この景色見飽きてきた。

 スマートフォンを取り出しても、

 こんな森の中じゃあ電波なんか届かず圏外になっている。

 

 どうしたものか…………。

 無暗やたらと歩くのは、得策じゃない。体力を無駄に消費し、行き倒れてしまうかもしれない。

 かと言って、ここでじっと動かず救助を待つってのもな。そもそも、救助がくるなんて確証ないし。


 取り合えず、河辺でも見つけられたら良いんだけど。

 耳を澄ませてみても、

 流水の音なんか聞こえない。

 うだうだ考え込んでいても埒が明かないし、木に印を付けながら進もう。そうしておけば、もう迷うことの無くこの場に戻ってこれる。

 僕は手頃な石を手に取り、

 木に矢印を書きながら進んでいく。


 僕の体内時計では、既に午前十二時は過ぎており、

 エネルギー源を寄越せと胃が喚き始めた。

 サバイバル知識に疎い僕には、

 どの草が食べられるのか分からない。なので、空腹を満たそうにも食料を確保出来ずにいた。

 空腹に耐えながら、歩くこと数十分。

 水の流れる音が聞こえてきた。


 僕は、走った。水と言う名の希望に向かって。

 水があれば空腹を満たせなくとも、

 紛らすことなら出来る。

 音を頼りに、ひたすら走った。

 自分の体力の限界も忘れて。

 木々の間から、河辺が見えた。

 僕は、飲める水なのか確かめもせず川に顔を突っ込んだ。そして、ガブガブと勢い良く川の水を飲む。

 水っ腹になりそうなほど飲んだ後、息を吐いた。


 この川に沿って下っていけば、

 森から出れるかもしれないな。

 大概、川ってのは海に繋がってるもんだ。

 となれば、休息をとった後、出発しよう。

 海辺に出ればここが何処か分かるかもしれない。

 淡い期待を胸に一歩踏み出す。


 上空を大きい影が通り過ぎていった。

 それは、蜥蜴(とかげ)蝙蝠(こうもり)の翼を生やしたような生き物だった。

 僕は、唖然とその生き物を見送った。

 あれは…………そう、伝承に名高い幻獣“ドラゴン”!!


 って、いやいやいや。そんなん、存在する分けない!

 何かの見間違いだ。

 ドラゴンなんて空想の中の生き物だ。

 それが、堂々と空を飛んでるなんて。

 僕は、頭でも逝かれてしまったのか?

 目蓋(まぶた)を擦り、もう一度見る。


 ドラゴンは、悠然と空を飛んでいた。

 白昼夢でも幻でもない、現実だ!



「嘘…………」



 本当にいたのか、ドラゴンって。

 マジか!! すげぇ!! 

 近くで見てみたい、

 そんな好奇心に駆られ僕はドラゴンの後を追った。

 思いの外、飛行速度が速く気を抜くと引き離されてしまう。

 追っかけて行くと、

 鎧姿の騎士らしき男性が倒れていた。

 不審に思い男性に近寄る。呼吸は荒いがちゃんと生きていた。

 その男性を岸辺に引き上げ、鎧を脱がす。

 念のため言っとくが、僕はホモじゃないぞ。濡れた衣服を脱がす為だ。

 このままじゃ、風邪ひいちまうからな。

 

 脱がすと、健康的な肉体美が露になった。

 オホッ!

 って、違う!! 手当てだ、手当て!!

 よく見ると、結構美形だなこの人。

 顔の骨格が顎にかけてスラッとしてて、

 鼻が高い。丹精な顔立ちだ。

 しかも、金髪!

 さぞ、モテモテなんだろうな。羨ましい!

 

 歳は、僕と同じくらいか、ちょっと上みたい。

 倒れてた所を見る限り、

 上流から流されてきたみたいだ。

 一体なにがあったんだろう?


 適当に枝と落ち葉をかき集めた。

 そして、火打ち石のように固い石を手頃な金属は…………無いから、この人の鎧を代用し打ち付ける。

 ガチィン、ガチィンと打ち付けること十回目。

 少し火花が散り、落ち葉に着火した。

 メラメラと落ち葉が燃え上がる。

 これで、焚き火はよしっと。


 後は、この人が目を覚ますのを待つだけか。

 大した傷もないし、多分気絶してるだけだと思うんだけど。



「ううぅ…………ッ」



 男性が目を覚ました。

 ゆっくり身体を起こし、周囲を一瞥する。

 起き抜けか目の焦点が定まっていない。



「…………ここは」



 男性と目が合う。

 なるべく、警戒心を仰がないよう自然な笑みを浮かべ僕は、

 男性に声をかけた。



「良かった、目が覚めたね。

 って、言葉通じるよね?」

「…………君、は?」

「僕は早乙女遥」

「サオトメハルカ?…………妙な名前だな」



 妙とは失礼な。確かに男っぽくない名前だけどさ。

 自分じゃ気に入ってるんだよ、

 遥って名前。

 初対面なのにズバッと物を言う人だな。

 不機嫌さが顔に出ていたのか、

 男性はハッとなり手を振った。



「すまない、気に障ったのなら謝る。

 珍しい名前だったもので、つい…………」

「ううん、気にしてないよ」

「そうか…………。あ、まだ俺の名を言って無かったな。

 俺は、ジーク。ジーク・ハザルド。

 ヘリック共和国の騎士だ」

「ヘリック共和国?」



 聞いたこともない国名に首を傾げる。

 その反応にジークは怪訝に眉をしかめた。



「知らないのか? 大陸を二分する大国だぞ」

「そうなの?」

「そうなのって…………常識だぞ。君、どこの出身だ?」

「日本だけど…………」

「ニホン? 聞いたことの無い国名だな」



 顎に手を当て考え込むジーク。

 薄々気付いてたけど、ここ所謂、

 “異世界”って奴だよね。

 さっきのドラゴンといい、この騎士様といい。

 まぁ、まだ判断材料が少ないけど。でも、そう考えなきゃあのドラゴンは説明出来ない。


 と、ここであることを思い出す。



「ねぇ、そこに服干してあるから着なよ。

 いくら、焚き火しているからって言っても風邪引くよ?」

「ん? そう言えば、なんで俺上半身裸なんだ?」

「なんでって…………、服が濡れていたから脱がしたんだよ。

 あのまんまだと風邪引いちゃうかも知れなかったからさ」



 そう言い、岩に干してある衣服を指差す。

 日射しが強いおかげか、生乾き程度には乾いていた。

 ジークは服を手に取り、着衣した。

 そして、僕の方へ振り向く。



「助けて貰った事については感謝する。

 だが、一つ疑問がある。

 君のような“女の子”が何故、

 こんな魔物が多く生息している森の中にいるんだ?」

「それは…………って、女の子?」



 ジークの言葉に引っ掛かりを感じた。

 彼は今、“女の子”と言わなかったか?

 確かに、名前だけでなく容姿も中性的で見方によれば女の子に見えなくもないが。はっきりと間違われるなんて初めてだ。

 


「えっと…………、僕の事?」



 再度問う。



「ここに、女の子は君しかいないじゃないか。

 それとも何か? 俺が女に見えるのか?」

「え、嘘…………だよね?」

「嘘を言ってどうする。本当だ」



 僕は、川に近寄り水面を覗き込んだ。

 そこに写ったのは、

 二重瞼でクリッとした目をした少女だった。

 少女はじっと僕を見つめている。

 首を傾げると、少女も首を傾げた。

 

 そんな、まさか…………有り得ない!!


 困惑の色が少女の顔に浮かんでいく。無論、僕も一緒だ。

 これは、もう認めるしかあるまい。



「なんで、こうなったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」



 僕は、異世界に飛ばされ果ては女の子になってしまった。

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