随分ぶっ飛んだお話
何か変な客人は―――
―――何故か想像以上にくつろいでいた。
「何これ〜!ベット超フカフカ!!部屋超広い!!もしかしなくてもお坊ちゃま?」
「うるさい」
なんなんだろう。この異常なほどの騒がしさ。
常識がある人間の所業だとは到底思えない。
ベットの上で跳ねる。
部屋中走り回る。
勝手にクローゼットを開ける。
何かするたびにいちいち叫ぶ。
頭が痛くなった。
「おい」
「すげぇな〜。いいな〜。俺もこんな部屋に住みてぇな〜」
「聞け!!」
「なんだよ。急に叫ぶなよ〜」
なんだろう。この途轍もない疲労感。
人の話聞かない。
迷惑な奴。頭おかしいんじゃないか?
そういえば自分のこと『雷獣』って言ってたな。
「お前、『雷獣』ってどういうことだ?何の比喩だ?」
「残念ながら比喩じゃないんだよな」
「なんだよ。本当に雷獣、だなんていうのか?」
「あぁ。俺等雷獣は、此処よりもっともっと上のほうにある世界で暮らしてるんだ。大抵は下界なんて降りてこないんだがな」
「何でお前は降りてきたんだよ?」
「面白そうだったから」
「それだけ?」
「それだけ」
そのあといろいろな話を聞いた。
まとめるとこんな感じだ。
『俺は雷獣の“コウ”。雷獣の世界って案外退屈なもんでな。稲妻にのってこの人間界……俺等は下界って呼んでるけど、とりあえず此処にお邪魔したわけだ。で、たまたま俺が落ちたのが、あそこの木だったってワケ。ホントは鉄塔とかだったら綺麗に着地できたんだぜ?けど木は脆くてな。うっかり落っこちちまった。……あ?この服?これは俺等の民族衣装。格好良いだろ?』
こいつの名前はコウというのか。
髪も目も金色で、おかしな格好も不思議と似合っている。
「お前の名前は?」
「……ケイ」
「ケイ、か。お前の髪と目。すげー綺麗だな!」
「コレがか?」
「あぁ、銀色に輝いててすっげー綺麗だ。そうだ!俺のことも話したんだから、お前も、お前のこと話せよ。交換条件だ」
俺が此処に居る理由。それは―――