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7話

お気に入り登録が200件を超えました。

初めての投稿作品にもかかわらず、たくさんの人に読んでいただいているようで感激です。

皆様ありがとうございます。

あれは大学2年の秋でした。その頃の私には、お付き合いしている男性、つまり彼氏がいました。初めてのお付き合いに戸惑いつつも、甘い気持ちに酔いしれていた時期です。

社会人の彼は私をいろいろな場所へ連れて行ってくれました。基本出不精な私も彼に合わせて出かけていたので、それなりに好意を持っていたのは間違いありません。

問題が起きたのは、動物園へデートに行った時のことでした。


前々から私の手料理が食べたいと言っていた彼のために、初めてお弁当を作ったんです。彼に少しでも美味しいものを食べてほしい、と得意メニューの中からこれなら!と思う自信作を丁寧に作りました。それまで味わったことのない恋愛の幸福感に酔っていた私は、これから起きる出来事を微塵も想像していなかったのです。


お弁当のふたを開ける瞬間。わくわくしますよね?

初めて手料理を食べてもらうことに緊張していた私でしたが、それ以上に彼が喜んでくれると信じていました。なのに、開けたお弁当を見て彼が発したのは

「何これ?」

という言葉だったのです。

今だったら「何それってどういうこと?!」と問い詰めるでしょうが、当時は恋愛初心者の私です。相手の言葉に固まるしかありませんでした。

私としては良いと思って作ったメニューでしたが、どうやら彼の想像していたものとは全く違ったようで、そこからだらだらとダメ出しをされたんです…。「初めての弁当がこんなんありえない」「これを弁当に入れる意味がわからない」「普通はからあげとかおにぎりだろう」「外で人に見られるのが恥ずかしい」などと、もう全否定のオンパレード。いっそ泣いてしまえば良かったんでしょうね。でもその時の私は予想もしていなかった彼の態度に怯えるばかりでした。

確かにお弁当らしくないメニューだったかもしれません。でもそれを指摘するにも言い方というものがあると思うのです。彼の言葉で、お弁当だけでなく私の人格まで否定されたようでした。悲しくて悲しくて、少しのごはんを食べるのが精一杯だったのを思い返すと、今でも苦しくなります。



しかしその後も同じようなことが数回繰り返され、しばらくすると、もうすっかり相手への愛情が消えてしまいました。むしろあんたなんか消えてしまえ、などと少々過激なことも考えていたはずです。自分の誠意に対して同じだけのものが返ってこないことに、諦めや蔑み、怒りや悲しみでいっぱいでした。

そんな相手とうまくいくはずがなく、彼とはきっぱりお別れしました。今頃どうしてるんでしょうね。知りたくもありませんが。

彼とは決別しましたが、残された負の記憶が今でも時々蘇ります。私がお弁当を作らないのもそれが理由です。


***************************************


という話をなぜ彼に向かって話しているんでしょうか。

確か今日は同期の飲み会で、なぜか彼に壁際に追い詰められて…。

どうして洗いざらい話してしまったんだ私!あんなに酒は飲んでも飲まれるなと家族から忠告されていたのに!


でもこんなどうしようもない私に、彼は黙って頭を撫でてくれました。

その温かさに、今まで我慢していた涙が止まらなくなってしまい、同期のみんなに慰められたのはいい思い出です。

ちょっとシリアス?な回でした。

この話を聞いた相田君、次はどう出るのでしょうか。


次回彼視点です。

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