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4話

今回は彼視点です。


俺の目の前には、開けたくても開けられない弁当がある。

だが現在は昼休み。俺が弁当を食べるのに何も問題はないはずだ。


それが自分が妹に作った可愛らしい弁当でなければ…。


**************************************


相田佑輔、25歳。会社員。

仕事にも余裕ができ、都内で両親と弟妹と暮らしているごく普通のサラリーマンだ。


さて、問題はこの弁当だ。

俺が朝早くから起きて作ってやった弁当がなぜ俺の鞄に入っていたのか…。そういえば今日は鞄が心なしか重かったな。


8歳下の弟と、10歳下の妹は高校生。

数年前、人並みに反抗期を迎えた彼らに俺は戸惑った。こちらが話しかけてもそっけなく、しまいには「うざい」とまで言われた。あれは刺さった。

そこで俺は考えたわけだ。

どうにかして彼らと良好な関係を築くために、自分の趣味である料理を活用することを。


その目論見は当たり、兄弟仲は円滑になり、今年高校に入学した妹からの要望で弁当を作るまでになった。妹曰く、俺の弁当は女子受けがいいらしい。

そんな流れで今日もせっせと弁当作りに励んできたわけだが、なぜその弁当が俺の手元にあるのか。

最近「弁当男子」なる言葉を耳にするようになり、俺がそれに該当しても不思議ではないはずだが、如何せんこれは妹仕様の弁当なのだ。20代半ばの男が食べるには躊躇する。

そこで苦肉の策として、誰か弁当のない女子社員に食べてもらおうと思ったわけだ。


エレベーターを降りて、たまたまそこにいた西森さんに。


言っておくが西森さんと俺の間には同期社員という関係しかない。

むしろ会話したことも数えるほどしかないんじゃないか。

そんな相手からいきなり弁当を渡されて、今思えばさぞ彼女は困ったことだろう。しかしこちらも背に腹は代えられなかったのだ。


弁当を彼女に渡したことで多少すっきりし、いつものように社食で手早く食事を済ませて自分の部署に戻る途中。

彼女の横顔が目に入った。

意識して探していたわけではない。エレベーターホールの横に彼女の部署の部屋があり、中が見えただけだ。

弁当を前にして何か考えているようだ。むしろ渡してから20分は経っているはずだが、まだ食べていなかったのか。

自分が押し付けたものの、今更ながら迷惑だったのでは…という考えに至りそうになったとき、ようやく彼女が箸をとった。


そして次の瞬間、俺は「可愛い」と思ったのだ。

彼女のふんわりと緩む口元と、全身から醸し出される「おいしい!」という空気を。

会話文で説明するのに自信がなかったので、もう彼にやってもらいました(笑)

まどかちゃんにはまだ伝わってませんがね。

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