20話
私はまだ25歳なんです。
しかも彼とは交際一カ月です。
ちょっと展開早すぎませんか?!
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久しぶりに実家の兄が遊びに来ました。この4歳上の兄、最近お嫁さんをもらったばかりなんですが、わざわざ独り暮らしの妹を心配して顔を見に来てくれるぐらいには仲良しです。ちなみに私と顔そっくり。
今日は義姉の誕生日が近いのでプレゼントを買いたいが、女性目線の意見が欲しいとのことで、デパートにお供してきました。報酬はダブルチーズバーガーセットです。好きなんで。
それにしても新婚さんてパワフルですね。惚気の勢いが…もうお腹いっぱいです。私のことなんて、「最近職場では変わったことないのか。ちゃんとやってるか。」ぐらいしか聞きませんからね。あとはずーっと義姉の話です。まあ長い春でしたから、ようやく結婚できて嬉しいんでしょう。うんうん、と半分は右から左にスルーでしたが。こんなめんどくさい男のところに嫁いでくれるなんて、本当にできたお嫁さんです。
それにしてもいい加減他の話はないんでしょうか。もう飽きました。プレゼントも買ったしお腹も膨れたし、今日のノルマは達成しているので、そろそろ兄には実家に帰ってもらいましょう。
そんな兄が聞いたら半泣きになりそうなことを考えていると、思いがけない人を見つけました。なんと彼が店の外にいるじゃありませんか。約束もしていないのに休日のこんな人混みの中で会えるなんてすごいですね。どうやら向こうも私に気付いているようなので、手を振ってみました。…なぜこっちへ来るんですか。顔が怖い。
「「誰?」」
ちなみに彼と兄の言葉です。片方はポテトをつまみながらニコニコと、そしてもう一方は私の隣の席に座り目を細めて不機嫌そうです。ああ紹介しろってことか。
「これは私の兄。そっくりでしょう?それから、こちらは同僚の相田佑輔さんです。」
ちゃんと紹介したつもりなんですがね…彼が不満そうにこちらを睨んでいます。ええええなんでですか?!簡潔にわかりやすく説明したつもりなんですけど。
すると、そんな私の考えが読めたかのように彼が兄に付け足しました。
「まどかさんと真剣にお付き合いさせて頂いております。」
…ああなるほど。ごめん。
私に彼氏がいるのがよっぽど意外だったのか、兄は目を輝かせて彼を見ています。そうでした、兄は他人の恋バナが大好きなんでした。くそぅ、こりゃ今日はまだ解放してもらえなくなりましたね、なんてこった。ちょっと馴れ初め聞くのやめてください。君も律儀に答えなくていいから。ほら兄が爆笑し始めたじゃないですか。こうなったら長いんですからね!!
ひとしきり笑った後、兄は涙を拭いながら(←ひどい!)思いもよらないことを忠告してくれました。
「彼氏いるなら親父達に言っといた方がいいよ。あの人たちお前に見合い勧めようとしてるから。」
はああぁぁぁ!!どういうことですか!!!
兄の話を要約すると。
浮いた話の一つも聞かない娘ももう25歳。そろそろ結婚して孫の顔を見せて安心させてほしい。しかしそんな気配もない。だったら自分たちがやるしかない!
という要らぬ気を回したようです。ほんとに要らんよ。
まったくあの両親ときたら…と呆れていると、そこに彼の更なる衝撃が。
「先程の挨拶をやり直します。まどかさんと結婚を前提にお付き合いしています相田佑輔です。どうぞ末永くよろしくお願いいたします。」
チョットナニイッチャッテルンデスカー
前話から間が空いてしまいました。ごめんなさい。ちょっと体調を崩しておりました。
また、近々引っ越しの予定があり家の中がばたばたしているので、更新が今までより少なくなるかと思います。できるだけ週2回くらいはしたいと思っているのですが、楽しみにしてくださっている方には申し訳ありません。
8/11誤字修正しました。