14話
なぜ「ごめんなさい」だったのか。
その理由と本当のメッセージはこちらです。
今頃彼は気付いてくれたでしょうか。
恥ずかしすぎて、こんな方法でしか伝えられなかった意気地なしな私でごめんなさい。
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きっと彼も私の気持ちに気付いているんですね。今まで散々待たせてしまったのだから、明日こそは彼に気持ちを伝えようと思います。
でもちゃんと「好き」と言えるでしょうか。自慢じゃありませんが、自分から言ったことなんてないです。元彼の時も向こうからでしたし。もう直接言う自信がありません。0%です。なので、何か違う伝え方はないでしょうか。
彼と同じようにメモ。メールで伝える。きちんとした手紙。プラカード。尻文字。
…だめです。それをしている自分が想像できません。後半なんて明らかに私のキャラじゃない。
やはり弁当が縁で繋がった私たちですから、弁当にメッセージを込めるのがいいですよね!弁当で伝えるとすると、ハート型に食材を切るとか?うーん、もうちょっとインパクトが欲しいところです。
ああでもないこうでもないと悩みながら、それでも嬉しい気持ちで彼への返事を考えました。ようやく決めた頃にはとっくに日付が変わっていましたが、納得できる方法を思いついたので満足です。これならわかりやすい、且つ弁当を使って伝えられます!
そして異様に気合の入った弁当を持って出社し、決戦の時を待ちます。もうやだ。手の汗が止まらない!
やって来ました昼休み。彼を待つ時間がこんなに長く感じられたのは初めてです。がんばれまどか。絶対うまくいく。自分を信じろ。君ならできる。YES, I CAN!!
…結果からお伝えしますと、やっぱり言えませんでした。しかも「ごめんなさい」なんて誤解されそうな捨て台詞とともにダッシュで逃げてしまい、自分の不甲斐なさに只今トイレで一人反省会中です。
せめてダッシュで逃げるだけならましだったんですけどね。はは。なんて今更言っても仕方ありません。弁当は渡すことができたんですから、きっと彼には伝わっているはずです。
ようやく返事ができたことで肩の荷が下りた気分の私には、その頃彼が絶望に打ちひしがれているなんて、夢にも思っていませんでした。
すっきりした気分で午後の業務を終え、駅に向かって歩いていると紗代さんと遭遇しました。彼女にも相談に乗ってもらいましたからね。とりあえず報告です。
てっきり「よくやった」のお言葉が頂けると思っていたのですが、紗代さんから意外な情報が。どうやら彼は私の返事を喜んでいなかったようです。というか、悲しみ(哀愁?)漂う後姿だったとか。
あれ?私、彼に「付き合おう」と言われましたよね。それで「好き」ってお返事を…。
思考が絡まってぐるぐるし始めた私を見て、紗代さんが一連の流れの説明を要求してきたので、事細かに伝えました。私が話し終わると、紗代さんはそれはそれはながーい溜息を…デジャヴ?前にもこんなことが。まだ混乱している私に紗代さんはきっぱりと「あんたそれじゃわかんないわよ」と。
だめでしたか?すごい自信あったんですけど。
ごはんの上に海苔で「スキ」作戦。
というわけで、直接伝えられなくてごめんなさいという意味の「ごめんなさい」でした。
本当のスキ、前回でヒントというか布石が…。
この作戦おかしいだろ!という文句もあるかと思います。が、実際蓋の裏にくっついた海苔を見て考えたアイディアなので、ないとも言い切れないかなっと。