13話
ついに佑輔が報われる日が来たのか?!
いやいやそんな展開じゃおもしろくないでしょ…な回。
不憫な佑輔、お楽しみください。←鬼
これが最後の恋だと思っていた。それなのにこんな結末って…。
一体何がいけなかったんだろう。
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彼女の様子が変わったのにはすぐに気がついた。
弁当を渡す時、頬をほんのり染めて、何か言いたげに口を開いたり閉じたりしているから。やっと俺を好きだってことを自覚したんだと確信した。返事は早く聞きたいが、挙動不審な彼女も可愛いからしばらくはこのままでもいいかな、なんて思っていたんだが。
どうにももう我慢できなくて、つい催促してしまった。弁当箱にメモを入れたから、絶対に彼女は見るはずだ。きっと明日伝えてくれるに違いない。
二人のこれからを想像しながら、楽しみな気持ちで一杯だった。まさかこんな展開が待っているとも知らずに。
ようやく俺の思いが報われる日が来たと、朝からありえない高さのテンション(家族全員が遠巻きになるくらい)で家を出た。ついについに!俺のものになる!
午前の就業中も、後輩に「今日なんかいいことあったんですか?」と聞かれるくらい態度に出ていたらしい。いいこと?これからあるんだよ!
そして待ちに待った昼休み。彼女の待つ1階へ急ぐ。
ああ今日は一段と可愛らしい。彼女の前に立ち、弁当を渡す。さあいつでも大丈夫だ。俺の心の準備はできている。どっからでも来い!そしてやっと決心がついた様子の彼女が勢いよく顔を上げ、俺に愛の告白を…
「ごめんなさいいぃぃぃぃ~~~」
は?今何が聞こえた?
俺に弁当を押しつけるようにして、彼女はあっという間に走り去った。俺の耳が正常ならば、「ごめんなさい」と聞こえたんだが。いやいやそんなまさか。
内心否定したい気持ちでいっぱいだが、ほんの少しの冷静な理性が残酷な宣言をする。
ごめんなさい……つまり振られたわけだ。
さっきまでの陽気な俺は一瞬で消え去り、今は燃え尽きた灰のようになっている。
なぜだ。どこで間違えた。てっきり彼女も俺を好いていてくれると思っていたのに。やっぱり押しが足りなかったか。それとも弁当交換は重かったか。無理にデートしたからか。妄想であれやこれやしたからか。勝手に嫁発言したからか。
ネガティブな感情ばかりが湧き出て、歩くこともままならないくらい動揺した。
よたよたと自分のデスクに戻り、弁当を食べ始める。たとえ振られたとしても、彼女の作った弁当は米一粒残したくない。
午前の踊りだしそうな雰囲気はどこへやら、すっかり意気消沈した俺を見て、上司が不審な目を向けているがかまうものか。彼女を手に入れられなかった俺なんて何の価値もない。
ああ今日も彼女の弁当は美味い。ここまで戻ってくるのにどこかでぶつけたか落としたのか、中身が少し寄ってしまった。蓋の裏にくっついた海苔に虚しさがこみ上げる。
もう泣いていいかな。
上げて落とす☆