12話
まどか視点です。
前回の終わり部分で修羅場的な展開を想像した方もいらっしゃるかもしれませんが、すみません、すっごく小さいことです。
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エレベーター横の階段という定位置になった場所で、今日も彼を待ちます。手にはお弁当。今回も力作です!
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紗代さんに相談にのってもらい、少し頭を整理することができた私は、また以前のように彼に接することができるようになりました。やはり持つべきものは親友です。ありがたや~。
向こうからも特にアクションはありませんし、そんなに焦る必要もなかったんですね。ほっ。
それにしても遅いですね。いつもならとっくに弁当交換も終わって食べ始めている時間なのに。
エレベーターホールを気にしながら待っていると、やっと彼が下りてきました。でも手に弁当箱が1つしかありませんが…。
申し訳なさそうな顔をした彼の話をまとめると。昼休みに入り、私のところへ行こうと立ち上がったら後ろにいた女性社員にぶつかってしまったとのこと。その衝撃で彼女の弁当が落下してひっくり返ってしまい、悪いと思った彼は自分の持っていた(私に渡す予定だった)弁当を差し出したとそういう話でした。
だから今日は自分のを食べてくれる?と聞く彼にそれなら仕方ないねと頷いて、空の弁当箱だけ持って帰りました。
でもなんだかおかしな感じですね。自分の料理だから舌が慣れているはずなのに、いつもとは全然違います。彼の弁当を1回食べないだけでこんなに違和感があるなんて…。はぁ。今日の彼の弁当は何だったのでしょう。落としてしまったのは仕方ないですが、残念でなりません。
すっきりしないもやもやを抱えつつ昼食を終え、午後の業務に取り掛かりますが、頭に彼の顔がちらついてしまい集中できません。それでもなんとか仕事をこなし、更衣室で着替えながらまた考えてしまいました。どうしてこんなに心が燻っているのでしょうか。もしかして彼のお弁当が食べられないのがつらすぎてとうとうおかしくなっちゃいましたか。
なんて、本当はうすうすわかっているんです。彼の弁当を食べられなかったことは大した問題じゃない。私以外の女性が彼の弁当を食べたことが気になって仕方ないのです。これって独占欲というやつですよね。悔しいですが、紗代さんの言うとおりです。もうとっくに恋になっていたんです。
…とりあえず紗代さんにメールで報告しておきますか。「胃袋掴まれました」っと。
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恋の自覚をしたものの、またしても彼への態度がぎくしゃくしてしまい返事をするどころではなくなってしまいました。もういい加減言わなければと思っているのですが。直接顔を見て言えるほどの度胸は残念ながら私にはないので、何か手を考えないと…。はぁ。
また今日も言えなかった…と落ち込みながら帰宅し、明日の弁当の下ごしらえをします。いつになったら勇気が出るんでしょう。ため息を吐きながら空の弁当箱を開けると、メモが一枚入っています。
「返事は決まった?」
だからなんでわかるんですか?!
補足:まどかちゃんと相田君はそれぞれ2つお弁当箱を持っています。食べ終わった弁当は持って帰って洗い、次の日相手に渡すお弁当と一緒に返します。わかりづらくてすみません。
次は久しぶりの彼視点です。