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10話

ここで彼の弟に語ってもらいます。

なんで弟?私にもよくわかりません(笑)

閑話的な話なので、気軽な気持ちで読んでくださいね。

俺と妹は今、衝撃的な光景を目の当たりにしている。

あの兄貴が女を泣かせた。しかも慰めている!


どういう関係?!


***********************************


きっかけは家のパソコンだった。うちはリビングにパソコンが置いてあって、家族共通として使っているのだが、先程から兄貴が真剣な表情で何かを調べている。


ここで兄貴のことを少し紹介しよう。

兄貴は今25歳。会社員で、研究職に就いているらしい。趣味は料理。顔はまあまあいい方だと思う。

俺と妹が小さい頃から面倒見がよく、頼れる兄貴だ。俺も兄貴のような男になるのを目標にしているくらいだからな。ご近所でも評判のブラコン弟妹なのだ。


話を戻すと、兄貴が調べているものに興味が湧いた俺は、こっそり後ろを通ってみたんだ。すると、兄貴が見ていたのは都内の有名動物園のホームページだった。

…デートか?!と思ったのは当然だろう。だって想像してみろ!25歳の男(独身)が一人で動物園!ない!!少なくとも兄貴に限ってはない!

即行で妹の部屋に飛び込み、作戦会議が始まった。



そして日曜日。昨日から兄貴の様子を見張っていた俺たちは、ピンときた!心なしかおしゃれをした兄貴が出かけたのを見て、顔を見合わせる。

ついに今日か…。俺たちの大事な兄貴がどんな女と会うのか、しっかり目に焼き付けてやる!



動物園で待っていたのは、一言で言うとふわーっとした人だった。なんか顔色悪い?

兄貴とデートだというのに、ため息をつきながら歩いている。もしかして兄貴が無理矢理連れて来たのかと不安になった。でもそんな女の人を、兄貴は微笑んで見ている。謎だ。

動物を見るのも早々に切り上げ、二人はテーブル付きのベンチに向かい合って座っている。女の人は今にも倒れそうだ。兄貴が持っていた彼女の荷物の中から弁当らしき箱が出てくる。

…なぜ重箱5段もあるんだ。二人でそれは多いだろ。

しかし、ふたを開けた兄貴が何か言った瞬間、俺たちは衝撃を受けた。


兄貴が女を泣かせた!


なのに食べる手を止めない兄貴。たぶん「美味い」とでも言っているんだろう。でも待って!その人ずっと泣いてるよ!

しばらくすると女の人の隣に座った兄貴が彼女を慰め始めた。こっちからは兄貴の顔しか見えないが、次第に彼女も落ち着いたようで、一緒に弁当を食べ始めた。

ここまでで俺と妹の気力はもう残っていなかった。家族のデート現場を見るなんてやめたほうがいい。

もう薄ピンクのオーラの兄貴なんて見たくねえ!



家に帰ってふて寝したあとリビングへ行くと、テーブルの上に見覚えのある重箱が…。兄貴に目線で「何これ?」と尋ねると、「食っていいぞ」とのこと。ならば遠慮なく。

美味い。兄貴の料理と同じくらい美味い。なんていうかほっとする味だ。

美味しさのあまり心が緩んだのか、正直な感想が出てしまった。

「嫁に欲しいな」

……なんてね。やばい。空気が凍った。


「俺の嫁にな」


わざわざ訂正されなくてもわかってます!ただの独り言だから!そんなに威嚇しないで!

妹よ、そんな「お馬鹿…」みたいな目で見るな!

あああぁぁぁ、5秒前の俺、お口チャック!!

ここの兄弟はお互いにブラコンシスコンです。


弁当の件で補足すると、まどかちゃんはデートという認識がなかったので、もしかしたら他に誰か来るのかもしれないと考えていました。

なのであの大きさの弁当(重箱)になったわけです。さすがに食べきれなくて彼が持ち帰ることにしました。

まどかちゃんとのデートを無事終えて上機嫌な彼は、心優しくも弟におすそわけしましたが、その後の発言により問答無用で取り上げます。弟とはいえ男なので。

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