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あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
始めまして!豆腐屋と言います。初めて書く小説なので多分いろんな失敗をすると思いますが、生暖かい目で見守ってもらえると幸いです。では!
地球と言う惑星において最も大きな大陸とされるユーラシア大陸の極東に位置する弓状列島、日本の南、九州を代表する大都市福岡における 一般家庭の話。
長い長い坂道をヒィヒィ言いながら自転車に乗って駆け上がる、いまだ中学生らしさが抜けきっていない高校一年生の青年、明野修介はこの坂道の辛さをも忘れてしまうほどの悩みの種を心に潜ませていた。
夏休みも終わり残暑が続く9月の上旬、本日は青天なり。暑さを逃がさない心折設計のオンボロ体育館とともに生徒諸君は始業式を迎え、長い長い無駄話をするハゲ頭はいつ話を終えるのかと式の終わりを待っていた。
そのような態度では生徒諸君の秩序と平和と格式とその他諸々を鍛えぬかれた肉体で守る体育教師の目に止まらないはずもなく、全員立て!遅い!座れ!立て!……とスクワット運動による下半身強化をしていたことは言うまでもない。
そんなスクワット運動でさえ修介をとある悩みから開放させることは出来なかった。 とりあえずこの後に行われる、実力テストまでは忘れようと考えながら生徒指導担当の熱血教師の話を聞き流していた。
修介を悩ませていた内容はただひとつ、父方の祖母、である。
修介の家庭は一応は一般家庭であるものの現在の流行である核家族とは逆行していて、父方の祖父母と両親と姉と修介と言う家族構成で二世帯6人家族である。この家の大黒柱である父、大介は単身赴任なのでこの家には住んでいないため、5人暮らしと言った方が正しいかもしれない。
祖母は鑑察所にて定年まで十数年勤め、定年以降は趣味の庭弄りや何やら折り紙で一風変わった鶴を作ったりと老後を気ままに過ごしていた。
そんな祖母は現在肺ガンを患い、入院している。ガンは脳にまで転移してしまっていた。
手術も考えたが祖母はすでに齢80近く、病魔に侵されたその身体で耐え切れるとは思えなかった。
ゆっくりと苦しまずに逝ってほしい。それが家族が出した結論だった。
「それにしてもホテルみたいな病室だよなー」
修介が学校帰りに祖母のところへ行くのはいつのまにか日課になっていた。それは地理的な理由もあるし、何より祖母が寂しい思いをしないようにと思うところがあったからだ。
祖母は部屋にあるテレビでいつも相撲を見ていた。下校からこの病室にくる時間が丁度相撲が始まる時間なのだ。
「あんたが来たらいっつも負けるけん来んでよか」
祖母はいつもこうして修介を迎えた。以前のように好きな力士が勝っても両手を上げて喜ぶこともしなくなった祖母だが、軽口だけはどこまでも冴えていた。
祖母と孫、世代の差は大きく話が弾むことはそうなかったが、木の柔らかい暖色と同じ色をした夕焼けがゆったりとした二人を包み込んでいた。
「引き出しに飴ば置いとるけん食べんしゃい」
「うん」
相撲は終わり、祖母も眠くなったのか目を瞑っている。
多分また来るのだろうとため息を一つ零して数分後、叔母様がいらっしゃった。
叔母であり、祖母の娘である彼女は子どもはおらず、夫との二人暮らしをしている。
今まで修介の母が祖父母の面倒を見ていたのだが、祖母の容態が悪化したこと聞き、介護に駆けつけてきているのだが、これも修介の悩みの種である。
「さあ、トイレに一人でいけるようにリハビリしましょうね」
もちろんバリアフリーのトイレなのだが、脳に転移して半身のほとんど感覚がない祖母にとってはトイレすら辛いものだ。人の手を借りるのは仕方の無いことだが、どうしても修介には納得いかないことがあった。
この病院の看護士がすでにリハビリをしているにも関わらず、彼女はリハビリをさせようとするのだ。さらに、看護士のリハビリを何度も目にしていた修介にとって、叔母のリハビリの仕方は祖母にとってただの拷問でしかない。
いきなりトイレに連れて行くのではなく、まず上体の起こし方から……と小言はいくつもある。
さらには夕食を食べるのにも箸を使わせていた。右手は最近やっと少し動かせるようになった程度であると言うのに、箸など持てるわけがない。修介がスプーンで食べさせてあげると「また修介に甘えて」と一言残す。
意見したところで、叔母は聞く耳を持たなかった。修介にとって自分がとった良心からとった行動だとしても、正解なのかどうかはわからない。彼は介護士でも医療関係者でもないのだ。それでも修介は祖母が出来るだけ幸せに逝ってくれるようにと考えていた。
修介はこの辺りから叔母には異様な不信感を抱いていた。
また今日も修介は祖母のところに来ている。
「ばあちゃん、今日は勝っとうね」
「あんたが来たけん負けたったい」
祖母は強い力士が好きだ。だから、横綱が好きなはずだろうに。なんともまあ、素直じゃないこと。
またいつもの様に、時間は過ぎていく。
今日は妙に祖母の声に張りが無いと修介は感じていた。祖母ももう長くはない、だからいろんな人が会いに来る。たくさんの人に会って疲れたんだろうと納得して今日は早めに帰ることにした。
書いてて、どうしてこの題材でなくてはならないのかと言う壁にぶち当たりました。