表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放令嬢の【土壌改良】は神スキルでした。不毛の地で楽園作ってたら、今更元婚約者と偽聖女が土下座しに来ましたがもう手遅れです!  作者: 黒崎隼人


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/17

番外編2:愚かな王子の独白

 冷たく、固い石の床。ここは、私の新しい城だ。光も届かず、希望もない、牢獄という名の城。

 私は、アルベルト・フォン・クライス。かつて、この国の第一王子だった男だ。

 全てを失った今、私の頭に繰り返し浮かぶのは、一人の女の姿だ。エリアーナ・フォン・ラピス。私が自らの手で捨てた、元婚約者。

 なぜ、私は本質を見抜けなかったのだろうか。

 私は、派手なものが好きだった。分かりやすい力が。リリアの「光の奇跡」は、まさに私の理想だった。人々を熱狂させ、私を「聖女を従える偉大な王」にしてくれると信じて疑わなかった。

 それに比べ、エリアーナの【土壌改良】は、なんと地味で、みすぼらしいスキルだったことか。「土いじり」など、貴族のやることではないと、心底軽蔑していた。彼女が屋敷の隅で土に触れている姿を見るたび、苛立ちを覚えたものだ。

 だが、現実はどうだ。

 国が飢え、民が苦しんだ時、リリアの光は何の役にも立たなかった。それどころか、国を蝕む呪いそのものだった。

 本当に民を救ったのは、私が捨てたエリアーナの、地味な土いじりの力だった。

 彼女が築いたという辺境の楽園。報告で聞いたその光景は、私が夢見た理想の王国そのものだった。それを、彼女はたった一人で、あの不毛の地から作り上げてみせたのだ。

 もし、あの時。

 もし、私が彼女の価値を正しく理解していたら。彼女を支え、共に国を治めていたなら。

 今頃、私は英雄として、民に慕われる偉大な王になっていたのかもしれない。隣には、本物の聖女であるエリアーナが微笑みかけてくれていたのかもしれない。

 ……なんと、愚かな。「もし」など、もはや存在しないというのに。

 私は、自らの浅はかさで、嫉妬で、見栄で、全てを台無しにした。最高の宝石を、ただの石ころだと思い込んでドブに捨てたのだ。

 牢獄の窓から見える空は、今日も曇っている。いや、私の心が曇っているから、そう見えるだけなのかもしれない。

 エリアーナ。

 君は今、どこで、どんな空を見ているのだろうか。

 謝って、済むことではない。だが、言わせてくれ。

 すまなかった。

 この遅すぎた後悔と懺悔は、誰にも届くことなく、冷たい牢獄の闇に溶けて消えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ