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再生のプロローグ  作者: 出落ちの人
入隊編
4/17

第4話 OWAという組織

 僕、空閑形真(くがけいま)は、謎の男に入らないかと言われてから30分程度たった今

 色々と急展開をへて、自身を不破形司(ふわけいじ)と名乗った男に先導され、OWAの日本支部というところの灰色の廊下を歩いていた


 「空閑・・・だっけか、友達が気になるか?」


 ついさっきまで一緒に歩いていた盾石優(たていしゆう)は一足先に面接室というものに入っていった。別に心配というものはないのだが⋯


「まぁ・・・優は一々一言多いので・・・」


「だろうな、あの雰囲気だと」


 優はその面接室に入っていく瞬間、「っしゃー!やるぞー!」と言いながら部屋に入っていった。面接室というのだから面接をするのだろうが、あのハイテンションだと下手したら落ちそうな気がする


「友達の心配してると自分も痛い目に遭うぞ。よし、ここだな。お前にはここに入ってもらうぞ」


 形司さんの目線の先には会議室という文字が書かれた看板があった。おそらくあそこに入るのだろう


「お前の友達が面接をしながら、お前にはこの組織の説明を軽く受けてもらう。知っておいて基本のことを学んでもらうからな。じゃ、俺は外にいるから」


 僕が部屋に入ると形司さんはそういって扉を閉めた


 部屋の中を見渡してみると、学校の教室のような広さの部屋に数十個の椅子や机がスクリーンに平行で並べられていた。そのスクリーンにはさっきエレベーターのなかで見たロボット⋯いや、AIが浮かんでいた


「えっと・・・君、さっきエレベーターで⋯」


「エレベーター?あぁ、あそこのと今君が見てる僕は別物だよ。僕みたいなAIは量産型ってのだからね、数区間ごとに分かれて存在してるんだ」


 そういえばエレベーターから降りた後の大きな空間には2体ほど居た気もする。そのどちらも離れているところにあった

 そう考えているとAIが「ささ、どうぞ」と着席を促してきたので近くの椅子に腰掛けた


「うん、座ったね。では、これからOWAの説明をさせていただくよ!まずは自己紹介、僕はアルタ。日本支部にいるAIだ」


「アルタ・・・え、僕は──」


「空閑形真くんだね、佐賀県在住の」


 OWAという聞いたことのない組織、社会の授業でもその名前が一切出てくることはない、つまり習うことはなかった。社会の授業を参考にしているのが少しバカバカしいかもしれないが・・・

 聞いたことがないということは裏の組織っぽい何かだろうと思っていた。が、初めて来た僕の住んでいる地域が特定されるほどの情報網が敷かれていたとは思いもしなかった


「それじゃあ説明を始めるよ。この組織の名前であるOWA、正式名称は「Organization of world ability」。意味は、能力による世界の組織。その名の通り、この世界の表と裏に存在する能力を使った組織だ」


 もう少し日本語訳の意味をひねったものにできなかったのかな、というツッコミはさておき、アルタの説明は続く


「君は小学生じゃないから知っているだろうけど、能力学、分かる?」


「あ、はい」


 能力学、それは能力というものがあるこの世界に存在する中学生から習い始める学問。細かく分けると、能力歴史学、能力科学・・・とかがあるらしい。高校になるともっと増えるらしいのがかなり吐き気がするところだ


 ・・・さっき授業を参考にするのがバカバカしいと思っていた自分が恥ずかしく感じる。というよりも学校で習ったことを将来使うのかという疑問の答えが、今使う、なのが何とも言えない感情を引き出している


「能力学はうちの組織の中で最も重要な物事の1つだ。実はこの世の中の能力科学の半分くらいはOWAから出た理論だったりする」


「へー・・・」


 何かAIに自慢話されているようで複雑な気持ちだ。アルタの説明はとどまることを知らず、どんどん続く


「OWAは各国に支部が存在する、基本的には一国に1つ。アメリカやアフリカとかは例外だけどね。支部の建物は地下にあるんだけど、能力が使われていてね。この建物を外から見るとすると実は一戸建てと同じくらいの大きさなんだ」


「へ、へー・・・」


 数分前に色々急展開があったことと、今行われているのが授業を受けているみたいなのも相まってか、水泳の後の国語みたいにだんだんと眠くなってきた




「──丈夫?聞いてる?」


 気づかないうちに眠ってしまったのだろう。アルタの声で目が覚めた。どれくらい眠っていたのかは分からない


「あ、あぁ、大丈夫だよ・・・」

(眠い・・・何か大事なものを覚えれなかった気がするけど・・・もういいや)


「そう⋯ま、これで説明は終わりだよ。次は面接だよ。頑張ってね」


 するとドアの方からガチャリと音が聞こえた。音の方向を見ると優と形司さんが部屋の外で立っていた


「あ!形〜その顔は寝てたやつでしょ。分かるわー私も面接眠かったもん。どんまい」


「い、いや。寝てないから。うん」


「楽しく会話してるところ悪いが、チェンジの時間だ。形真、次は面接だ」



 寝起きで少し重い体を一生懸命動かし面接室の前に来た。実はさっきよりこっちのほうがキツイのではないかという考えがよぎったが眠くてあまり頭は働かなかった


「え~っと、失礼します・・・」


 そう言って入ってみると部屋の中はさっきの会議室よりも殺風景で狭かった。机が1台に椅子が2脚。椅子は対面式で置かれていた


 一方の椅子には⋯女の子、小学生だろうか。性別は違うが雰囲気がさっき会った埋橋龍目(うずはしたつめ)に似ている気がする。が、子供なのはこちらも同じことだろう


 少女に「どうぞ」と言われたので椅子に腰掛けた。まじまじと彼女の目を見てみるとどうやら緑のようだ。何故か引き込まれるような感覚に襲われる


「では面接を始めます」


「あ、はい」


 最初は個人情報を聞かれた。名前や住所、親族の名前など、色々だ


「そうですね。貴方にはあまり意味はありませんが、何が目的でこの組織に入ろうと思ったのですか?」


 こういう系の質問は面接ではあるあるだ。が、いざ答えようとすると難しいものだと思う


 入ろうとする意味。謎の男への恩返し、でも十分なのだろうか。でもここに来たのはその男に言われたからだ。その理由だとその男に言われたから、ということになってしまう


 でも、ちゃんとした理由があるのだとすれば・・・


「あの・・・1ついいですか?」


「はい、どうぞ」


「えっと・・・この組織なら、世の中のほとんどの情報が回ってくるみたいなことって・・・」


「ありますよ。さっき説明を受けたときにそうあったはずです」


 本当に大事なところを聞き落としていた。寝てしまった自分が恥ずかしい。でも


「あ、じゃあ・・・僕、今日珍しく夢を見たんです。その夢には消息不明の母の姿がありました」


「夢・・・」


「はい・・・あ、馬鹿げてますよね。でも僕はその夢の内容をもっと知りたいんです。この組織でなら知れるかなって・・・」



「それが、僕がこの組織に入る理由です」



 自分ではいい出来だったと思う。でも、優に聞かれていないようでよかった。これを聞かれていたら一生ネタとしてこすられ続けられるだろう


「なるほど・・・ではこれで終わります。お疲れ様です」


 少し疲れた・・・、そう思いながら僕は部屋を出た

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