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再生のプロローグ  作者: 出落ちの人
憂と剣編2
28/30

第28話 送信元は

 OWA日本支部、そこにある第三訓練場で木刀のぶつかり合う音が何度も響く。さらにそれ以上に、木刀が勢いよく空を切る音も聞こえる


 ある人物が片足で地面を滑る。片手で木刀を持ってバランスを取りながら、ゆっくりともう片方の足も地面につき、停止した。その人物は持っている手で勢いよく木刀を振り下ろす


「流石、良い剣筋だね」


 この人物は志田(しだ)優里(ゆうり)という。彼女は表面上だけではあるが剣の(きわみ)という組に所属しており、このOWA日本支部の中でもある程度上位の剣の技術を持っている


 彼女はOWAの隊員が使用する剣術のほとんどを使うことができる稀有な存在であり、彼女のような存在はOWAの中を世界規模で見ても両手で数える程度しかいないようなものである



「いやまぁ…結構凄い稽古だったので、そりゃあ誰だってこうなるんじゃないですかね…」


 そんな優里と現在相対するは、比較的最近OWAに入隊した少年、空閑(くが)形真(けいま)である


 彼について特に語ることはないが、今彼はOWAの総合的最高権限保持者(ワールドリーダー)である埋橋(うずはし)龍目(たつめ)という人物に実質的な稽古を、短期間ながらつけてもらっている


 今は龍目がこの場にいないので、この第三訓練場に偶然いた優里と練習がてら木刀で打ち合いをしてる


 形真は両手で木刀を優里に向かって前傾姿勢でいる。結構全力を出していたのか、肩で息をし、額には多くの汗が流れながら、優里を真っすぐ見ていた


「さて、結構形真くんは疲れているようだからもう攻撃は飛んでこないだろうし。じゃあ今度は私のターンだね」


「な、何の構えなんですかそれ」


 優里は右目を閉じ、木刀を持っている右腕を上げて形真のみぞおちに標準を合わせる。顔は薄っすらと笑みが浮かんでいる。少しだけ息を吐いて、そして構えを崩して勢いよく形真に突進する


 優里は両腕で木刀を振りかぶっている。形真はそれに反応して冷静に防御の姿勢をつくる。優里はそれを見て木刀の握り方を軽く変えてつぶやく


変技刀術(へんぎとうじゅつ)


「来た…!何かの剣術────」


 形真が完全に言い終わる暇もなく優里は急速に間合いを詰めてきた。形真は改めて防御の構えを取る


転術(てんじゅつ)…っ!」


 優里は間合いに入ると即刻、木刀を振りかざす。形真はそれを見て、攻撃を相殺するために少し力を入れて木刀を振る


(な、何だこれ!?)


 突如、形真の視界が傾いて膝が崩れ落ちる。形真は心の中で驚くと右足の関節付近が少し痛んだ感覚がした。形真はその原因を考えずに最低限受けようと、両手で木刀を持って優里の攻撃を受ける


 しかし流石に身体が少し崩れているので完全に受けることは出来ず、背中からマットに激突した。形真は小さなうめき声を出して地面に転がる。案の定受け身は取れたので、うめき声に対してのダメージは形真に入っていない


 形真は急いで立とうと身を捩ったがもう遅かった。額に木刀がかざされており、マットに転がったまま形真は身動きを取ることは出来なかった。そんな彼を優里は静かな笑みを浮かべながら見下ろしていた


「優里ってさ…時々容赦ないことあるよね。形真ならまだしも、私でも見えない技使ってたし」


 そう言った彼女は盾石(たていし)(ゆう)という。案の定彼女もOWA日本支部に所属しており、形真と完全同時に入隊した。いわば幼馴染とかいうやつで、優が上で形真が下という関係性で長年を共に過ごした仲である


 そんな彼女の声を聴いて、優里は形真の額から木刀を外す。そして肩で木刀を担いで優の方を見た


「いや?これでも容赦してるよ。本当に容赦してなかったら形真くんは脱臼は必至、軽い悶絶だけじゃすまされないよ」


 優里はそう言うと声を出して軽く笑う。優はそれを聞いて納得したように「へ~」と声を漏らす。形真はというと、結構顔を青ざめさせながらゆっくりと立ち上がった


「ってことは…やっぱり僕は優里さんとは結構な実力差が────」


「そう、5倍くらいは確実にあるよ」


 優里は形真の質問にノータイムで答える。形真はその返答を聞いて全身を脱力させてうなだれ、マットに崩れ落ちる。優はそんな形真を慰めようと考え、口を開く


「大丈夫だって(けい)。私とは2倍くらいしかないから」


「それは大丈夫って言わないよ…」


 形真は更にうなだれ、薄暗い雰囲気が彼を包む。そんな時、訓練場の扉が開いてとある人物が入ってきた


「おぉ、志田優里と盾石優もいるのか。空閑形真は……どうやらご愁傷さまのようだな」


 入ってきたのはOWA総合的最高権限保持者(ワールドリーダー)である埋橋龍目であった。彼は総合的最高権限保持者(ワールドリーダー)という役職についているのと同時に、日本支部総司令の役職にもついている


 形真や優と初対面の時、誤ってそっちのほうの役職を言ってしまったのは彼らには未だ秘密である


 そんな龍目は左手に木刀を持ってこの第三訓練場に入って、この場にいる3人それぞれに目を向けた。そして最後に優里に目を向けて問う


「志田優里、形真の剣筋はどうだ?その様子だと形真の全力と遊んでたみたいだが…」


「遊んで…っ!?」


 形真は「遊んでた」という言葉を聞くと、上ずった声でそう言う。優里はそんな形真に気付くことなく、龍目の問いに対する返答を考える


「そうだな…多分稽古初日よりかは結構良くなってると思うよ。まだまだ無駄は多かったり、技術に対して体力が見合ってなかったりするけど、そろそろ何か剣術を覚えさせても良いレベルなんじゃないかな?」


 ちなみに、龍目による形真への稽古は現在は4日続いている。現在の稽古は形真が自身の能力である「変形(へんけい)」を完全に使用できるようになるまでの、残り1週間のリハビリ期間内において行われる


「なるほど、お前もそう思うのか。俺もそれについては同感。だが詰白(つしろ)(りん)、あいつに空閑形真の剣筋を見せるのが一番手っ取り早くて正確だが……あいにくあいつは丁度残り1週間、ロシア西極(せいきょく)支部から帰ってこない。他の使い手にアプローチしてもいいが、空閑形真が完璧に覚えられる保証はない。空閑形真の前線復帰までの猶予を考えると、こっちの判断で考えるしかないか……」


 龍目は短い髭が多く生えている自身の顎を触りながら、ブツブツと考え事をつぶやいていた。つぶやき終えると、形真の顔を真っすぐ見て言う


「空閑形真。お前はこれからとある剣術を残りの1週間で覚えてもらうことになる。お前本人の承諾の是非は考慮しない。これは絶対だ。ついでに覚えるだけじゃ意味がない、完璧に使いこなせるようになってもらう」


「え、あ、はい」


 形真はそんな龍目の発言に対して、か弱く返事をする


「お前に覚えてもらう剣術は…流剣対技(りゅうけんたいぎ)というものだ」


──────────────────


「形真、よくあのエグい1週間を耐えきったな…」


 鍵山(かぎやま)正吾(しょうご)さんが僕に対して、心配しているような声色でそう言った。僕はそれに対して、か弱く頷き、そのままテーブルに突っ伏した。そして優里さんが口を開く


「まぁ、形真くんはその分1週間前と比べて格段にレベルアップしてるよ。運が良ければ優を越しちゃったんじゃないかな?」


「いやいや、それはないでしょ。この1週間で私は優里に何度か稽古つけてもらったし、形と違って任務を2つこなしてるからさ。実戦だと獲得できる経験値はやっぱり段違いだよ」


 優は自信満々にそう言って胸を張る。正吾さんはそんな優を見て適当な相槌を打ちながら、コップに入っている麦茶を静かに啜った


 僕、空閑形真は龍目さんからの1週間の剣術の稽古を完全に終え、日本支部の食堂のいつものテーブルに突っ伏していた。1週間+αの疲労で、今は結構何かをしようという気力が起きない


 今は丁度12時の真昼時。いつもの僕であれば好物の天丼をゆっくりと食べている時間帯であるが、今の疲労でそんな脂っこい食べ物を食べれば必ず胃もたれというものをしてしまい、確実にリバースしてしまうだろう


 僕がそう考えながら突っ伏していると、コトンと、僕の目の前にコップが置かれる音がした。僕は誰が置いているかの見当はついていたが、一応確かめるためにゆっくりと顔を上げる


「はい、お前のお茶だ。その様子だと今日は基本何も口にしなそうだし、最低限お茶でも胃に入れておけ」


「あ、ありがとう…形兄(けいにい)


 知ってはいたが、どうやら不破(ふわ)形司(けいじ)、形兄が僕に気を使ってお茶を持ってきてくれたようだった。やはり一番信頼すべきは形兄かもしれない


 僕がそう考えていると、形兄が近くのテーブルにある椅子を持ってきて座って言った


「ところで形真。リハビリ期間的なものも終わったことだし、新規の任務の連絡は来てるか?」


 前言撤回、やっぱりみんな変わらないかもしれない


 とりあえず僕はむっくりと起き上がって椅子の背もたれに寄りかかりながら、スマホで連絡が来ているかを確認する


「うっ…」


 僕はスマホの画面を見て小さくうめき声を出す。それを聞いて優が席を立って、僕の後ろに素早く寄る。そしてスマホの画面と僕の横顔を交互に見て、笑いながら言う


「ドンマイ、形。とりあえず今から寝ておいたら?」


 ヒヒッ、と優は気味の悪い笑い方をする


「…その様子だと新規のがあるようだな」


 形兄は憐れむような目でそう言ってきた。しかし多分本心では憐れんですらいなそうだ。そう考えていると正吾さんも僕の後ろに回って、スマホの画面を覗いてきた。プライバシーとは存在するのだろうか…


「へ~なるほどな。結構レベルの低いタイプの任務か」


 任務の内容は、コンビニ強盗の確保である


 真夜中の某県にてコンビニ強盗が連日発生しているらしい。それと同時に犯人は万引きも行っており、パンや飲み物の食料品を基本としたものを盗んでいる


 どうやらその事件は全て同一犯の犯行であり、防犯カメラや被害にあったコンビニの店員の証言などで、ある程度犯人の顔は割れているらしい


 犯人の名前は藤本(ふじもと)(せい)。48歳の男であり、前職はとある中小企業で働いていた作業員で、その会社が数年前に潰れて以来、現在まで無職であると考えられている


 某県内のコンビニを上手く転々としながら強盗と万引きを行っており、個人情報が割れている前提があれど事件を捜査している警察が全く尻尾をつかめなかったらしい


 しかし先日、非常勤の警官が強盗中の藤本晴と遭遇。覆面パトカーも使用し現行犯で逮捕しようと動き、応援も要請して警察側は迅速に確保に動いた


 しかし応援が到着する時間もなく返り討ちにあい、覆面パトカーは黒煙を吹き上げるほどに大破、1人で追っていた非常勤の警官は両腕が全治半年の骨折となった


 その非常勤の警官の証言によると、単純な身体能力によるもので骨折したのではなく、どうやら能力をしようしたものによる骨折であるらしい


 警察は以前、「(かん)事件」という対能力者での悲惨な事件が起きたという前例が存在するので、今回の事案も能力を持つ者の犯行と分かった瞬間、対能力者において一定の有利を取ることが出来るOWAに当事案を持ってきた


 そしてその事案が僕に降りてきたようだった


 僕がそうやって任務の内容を細部まで逐一読みながらそう考えていると、どうやら昼が終わってもいいような時間になっていた。少し考えすぎたのかもしれない


 他の4人は昼を食べ終えたようで、各々席を立って寮の自室へ帰ろうと準備を始めていた


「僕も帰るか」


 僕もみんなに合わせて席を立ち、形兄について帰ろうとした。ふと任務の連絡をしてきた送信元を確認する


 そこには要害(ようがい)加楽苦郎(からくろう)という名前があった


 要害加楽苦郎さん、その人はOWA日本支部が誇る組である青憂団(せいゆうだん)の幹部、及び参謀を勤めている人である


 僕はそれを確認すると、眉間にしわを寄せて決意を固めた


──────────────────


「微妙な気温だな、ここ…」


 僕はスマホを片手に、人気がなく、電柱についている街灯が一定の間隔で灯っている夜中の路地を1人歩いていた


 任務の内容をしっかりと確認した頃から大体半日経ち、当たりが暗くなった時にやっと任務先の某県に到着した


 ここに来るときには形兄についてきてもらい、指定されている場所への行くための道をある程度教えてもらった。到着時、形兄の『今回は俺は干渉しない。初だが、1人で頑張れよ』という発言を最後に解散した


 その時はまだ9時半くらいだったので、適当なコンビニを転々としながら時間を潰した。完全に真夜中となった今は僕1人でそこへ向かっていた


 今は夏ではあるのだが、時間は夜。とても微妙な気温で暑いのか丁度いいのかよく分からず、服で仰ぎたくても仰げない。とても気持ち悪かった


「えっと…次の曲がり角を右か」


 僕はスマホの画面に表示されている地図を見ながら、目的地へ足を急ぐ。人気が少ないと言えど数人はおり、目的地へ着くまでに3人くらいの人とすれ違った


 流石真夜中、すれ違う人は全員黒っぽい服を着ていたり、何やら特殊な服を着ていたりして、昼間では見ないような人を見ることができた


「それって流石真夜中…なのか?」


 自問自答しながら目的地へ向かうために、曲がり角を右に曲がる。そしてスマホが目的地についたとの音を出すと、目的地が僕の目に入った


 深夜なので真っ暗な住宅街の中にポツンと明かりを灯しているその建物は、コンビニだった。周囲の暗い雰囲気のせいで、すごく薄気味悪く感じてしまう


「ここだよね…うん、行こう」


 僕は少し心配しながらもそのコンビニの自動ドアに近づく。小さな機械音と、よくある入店音を鳴らしながら自動ドアは開いた。入った瞬間、僕は多分気まずそうな顔をしてレジにいるであろう店員を見る


 偶然なのかは分からないが、店員の人と目が合い、僕は驚くも軽く礼をする。店員の人は特に何も言うことなく前を向きなおし、あくびをしながら適当に「ぃらっしゃませー」とか言った


 こんな真夜中に未成年1人がコンビニに来て、何か言われるのではないかと思ったが、特に何も言われなかったので、僕は少し胸をなでおろす。とりあえず飲み物が置かれているところへ足を動かした


 その後適当にコンビニで作るタイプの商品を買い、レシートを片手にレジ横の作る場所へ行く。機械の扉を開けて蓋を開けたその商品をそこに入れ、カフェオレのボタンを押す。音を立てながらミルクだったりが容器に投入されていく


 僕はそれを静かに見ている、その時だった


 コンビニの自動ドアが開き、1人の人が入ってきた。服の上でも分かるくらいの一定以上のガタイの良さ、そして特徴のある服。僕はその人の服装の特徴を知っていた


「来た…っ!」


 灰色のパーカー、黒色のジャージのズボン、白色の目立つタイプの靴。藤原晴の目撃されている服装と完全に一致していた。僕はここに来る際、写真でその姿も見ていた。顔は見ていなかったが恐らく藤原晴本人だろう


 なぜ僕が藤原晴が来たコンビニに来ることができたのか。それはアルタによる今までの行動パターンの解析によると、今夜はこのコンビニに来る可能性が高いらしかったからだ


 僕は目の前の機械の隣にある棚にある、大きなストローを一本手に取って戦う準備をする


 藤原晴だと思われる目の前の人物は、僕には目もくれず、レジの方に一直線で向かっていく。レジにいる店員の人は、それに気付くと不思議そうにその人を見る


「え、あ…いらっしゃいませ────」


「レジに入っている札を全てだせ。さもなくば、これを見ればどうなるか分かるな?」


 ドスのきいた声がコンビニの中に響く。その瞬間店員の額に何かがかちゃり、と突きつけられる。それは布を被っていて、僕の方から見たら何なのかは分からないが、恐らく拳銃のようなものは音から確かだった


 突きつけられた店員の人は、悲鳴を上げる間も与えてもらえず、恐怖を顔に浮かべながらレジに手をかける。藤原晴であるとほぼほぼ確定したその人は、その様子を静かに監視する


 僕はその瞬間にストローを能力、「変形」で変形する


『今回は討伐が目的じゃない。だから真剣は作るなよ』


 到着前に形兄に言われたことを思い出して、真剣ではなく木刀に変形する。変形し終わると即地面を蹴り、藤原晴に向かって低姿勢で突っ走る


「な、子供っ!?」


 藤原晴は案の定驚き、一瞬たじろぐ。僕はその隙を見逃さず右に木刀を振りかぶり、瞬時にその人の懐に飛び込む


「はっ!成長期の奴は夜更かし厳禁だろ!」


 藤原晴はたじろぎつつも、そう叫んで構えているそれを僕に向けてくる


 銃口であろうそれが僕の目に入り、少し恐怖心が沸き上がったが、そんな感情を無視して突進し、力を込めて藤原晴の右腹部に、木刀による一閃を叩き込んだ


「がっ……!」


 その勢いのまま僕は、藤原晴の横を通り過ぎて止まる。藤原晴はうめき声を漏らしたと同時に引き金を一度引き、コンビニ内全体に銃声を響かせる。そして同時に空薬莢が地面を跳ねる音がする


 しかし咄嗟に標準を合わせたからなのか、僕に当たることはなく、床に穴ができた


「逃げて!」


 僕は藤原晴に向き直り木刀を構えると、さっきまで銃口を向けられていた店員の人にそう言う。店員の人はそれを聞くと我に返ったような表情をし、急いで店の裏に走っていった


 ここには木刀を構えている僕と、拳銃のようなものを持ち、右腹部を抑えて悶絶している藤原晴がいた。僕は藤原晴に向かって、一応、一応とあることを質問しておく


「あなたは…藤原晴であってますか」


 藤原晴は僕に背中を向けながら、弱弱しい不気味な笑いを出す。目の前の人はゆっくりと首だけ後ろを向いて僕の質問に答えた。店内の照明を反射して、藤原晴の右の黒い眼が怪しく光る


「だったら俺をひっ捕らえるのか?ははは…やってみろよ、生ぬるいガキが」


 その瞬間、突如として僕の腹部に痛みが走った。と同時に少しだけ後ろに身体が引っ張られ、そのまま見たくもないのに腹部を見てしまう


 血が出ていた。そこには穴が開いており、弾丸が貫いたような大きさの穴が開いていた────


藤原晴(そういやこのガキ、コーヒー飲もうとしてやがったな……これが終わったら俺も飲むか)

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